2006-11-07 12:23:02

地下鉄(メトロ)に乗って

テーマ:映画

メトロな揺れ レトロなルーツに 心揺れ 



 昭和39年へタイムスリゥプ。ふうむ、東京オリンピックの年。ところが、終戦直後や戦争中も出てくる。おんや、地下鉄って、そんな昔からあるの? 自分の知識の無さに、あとから地下鉄の歴史を紐解いてみた。な、なんと、知らなんだ、1927年(昭和2年)に既に上野駅~浅草駅間の銀座線が開業してるんだ。へええええ。戦後になって、銀座線のほかに1954年(昭和29年)池袋駅~御茶ノ水駅間で丸ノ内線が開業。例の東京オリンピックの年1964年(昭和39年)には北千住駅~中目黒駅間で日比谷線全線が開通してるんだ。
 てなところから、この映画が、当初の昭和39年やら主人公の堤真一やらで、あの「三丁目の夕日」感覚で観に行った自分の先入観が崩壊いたしました。いい意味での崩壊、そして再構築。
 では、自分の親の若い頃を見せられて、親に対する思い違いをしていた自分、親に対して、アナタの子であってよかった、などと簡単に再構築できたのか、と言えば、そうでもないざんしょ。そんなんでいえば、三兄弟の母親の過去は見せていただいてはおりませんね。むしろ、父が母以外に愛した女性、それは、あばばばばネタバレですが、主人公である堤演じる次男真次の愛人みち子の母親の方なんですね、思い切り見せられるのは。ああ、だからか、タイムスリップするのが次男を演じる堤真一だけでなく、愛人みち子役の岡本綾もか、ってね。
 しかも、オヤジが出世前に生きて帰ってきたら一緒になろうとした千人針の相手は、なんと他に愛する男がいて・・・。その女性と一緒になったから三兄弟が存在するのだろうけど、またネタバレするけど、長男はオヤジの子じゃないんだねえ。母親は別の男性を愛していて、その男と出来た子。いやはや、タイムスリップで知らない親たちの若かりし頃の若気の至りというか、青春というか、そんなのを知ることになります。
 この作品でもっとも話題となるのは、みち子が常盤貴子演じる我が母親お時に問うシーン。母の膨らんだおなかの中は、自分。そして父親は、大沢たかお演じるアムールこと小沼佐吉。つまり、真次の父親。愛人関係ということだけではないんだ。そんなんで、彼女は、自らの存在を過去において、もともとないものとしてしまう。
 確かにこの件は、作品の中で重要な場面かもしれません。しかし、もし、そうであれば、現代に戻った際の、誰からしてももともといない存在なのです。しいていえば、長男を失い、生まれてくるはずの娘まで失う親父の佐吉、そして、その愛人のお時、さらには、ともにタイムスリップした真次。この三人へのおしおきというか贖罪とでもいうべきでしょか。
 伏線でドストエフスキーの「罪と罰」という小説が出てきますが、どうなんであろう。この伏線の意味ありげというかテーマ性を、ここにクローズアップするよりも、実は、私はもっと印象深いのが、映画ならではといえばいいか、オムライスなんですな。堤真一と岡本綾が喫茶店でお茶とお食事を。岡本綾はサンドイッチ。堤がオムライスを食べる。そして、タイムスリップ先のアムールというバーで、常盤が作るオムライス。ケチャップは好きなだけかけな、のオムライス。もう、これで十分にお涙進呈。もし、堤との関係を続ければ岡本は常盤の二の舞を演じることになる。しかも、もし、子どもができたとすれば、その両親の父、つまり祖父は同じ人間、そこまで考えての行動かどうか否か。そう考えるよりも、私は、父と母との愛情、そして母の手作りのオムライスに、彼女の心の奥を垣間見させられたように思えてなりませぬ。これは主人公は、堤じゃなく、岡本の方じゃないのかな。
 父が死んだあと墓に参る次男三男と母親。父と長男は今ごろ天国できっと・・・、という話がやりとりされる。しかし、そこにはお時の娘みち子はいない。真次の記憶の中だけで彼女は生き続ける。そこにこそ、この映画の魅力があるのかもしれない。みち子の存在を誰も振り返らない、いや振り返られない。真次だけ。そして真次の記憶と同様、私たち観客の記憶に刻まれたことで、その余韻を噛み締めるしかない、そこが魅力だと感じるのは私だけでしょうか。私たちの中には、そんな記憶の中でしか生きられない存在があるような気がします。
 ところで蛇足ですが、あのタイムスリップの瞬間の映像と音だけには、ちと参りましたなあ。


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