花田少年史~幽霊と秘密のトンネル~
テーマ:映画ハムカツに こだわる自分の 歴史観
ハムカツが好きなボクである。だからか。印象に残っている、同級生の女の子。桂って名だっけ。同じ同級生の仲良し壮太と義理の兄弟になっちゃうとか。桂のお父さんと壮太のお母さんが再婚? 四人での食事のレストランでのシーン。桂の父が彼女の好みをお披露目する。とんかつやコロッケなんかよりハムカツだよな、って。どうやら、食卓はずっとハムカツ一辺倒のようだ。荘太の母が気を使って色とりどりのお弁当を彼女に食べさせようと荘太に渡す。でも、荘太には、いらない、ハムカツが好きだって言ったろう、と。意地を張っているのである。ほりゃあ桂だって、きっといろいろなもんが食べたいはずだよ。家へ帰っても父は仕事で一人。冷蔵庫からおもむろに出すのは冷えたハムカツ。食パンにボンと載せて挟む。おいおい、ソースかマヨネーズあたりかけた方がうまいぞ、と見ているボクは、アドバイスしたくなる。そして目頭を押さえる。
ボクはハムカツとミンチカツが好きである。昔、我が家には大量のパンの耳の蓄えがあった。パン屋さんが耳だけ集めて安く売っていたのだ。そのパンの耳、放っておくと、すぐ固くなる。だから、蒸し器で蒸かすのである。へにゃへにゃほくほくになったパンの耳にハムカツを載せる。そこにソースかおマヨをちょいと垂らす。パンが温かいので中身は冷たくても絶妙の温度バランスになる。
まあ、いくらそんな経験からアドバイスしたって、冷えた心までは絶妙の温度バランスにはならないか。ただ、彼女の意地っ張りと主人公の一路との喧嘩は、きっと心の温度バランス調整かもしれないね。
この「花田少年史」、一見、夏休み狙いの幽霊物語の食パンに、お笑いとペーソスの人情絵巻なる具のてんこもり、あたかもダブルビッグバーガーを相当大きな口あけていくつも食べねばならないじゃん、てか。いくら面白漫画化してても、軽い気持でよく噛まないでいると、おなかの中で消化不良起こしちまうよ、なあんてね。そんな、食欲旺盛なはずの若者の観客の嘆きも多かろうて。確かに、きっと作り手も、主人公と同じくらいの少年たちにも共感して欲しいが故に少年たちにも楽しくあらねば、としたんだろうね。そして、その主人公の一路のキャスティングには、堂々の須賀健太くんなんでしょうねえ。そうそう、あの「三丁目の夕日」の。でも、去年のお化け大行進の神木くんも思い出す。
ところがところが、「三丁目の夕日」も「妖怪大戦争」も、実は主人公と同世代ではなく、むしろ主人公と同世代の息子(娘)を持つ親が真のターゲットではなかったろうか。「三丁目」はもちろん描かれている時代からすれば大量狙撃の下手な鉄砲でも当たりそうな団塊の世代をも巻き込んでいるけど。
そして、この「花田少年史」もターゲットは、主人公の世代の子どもを持つ親、つまり杉本哲太演じる荘太の父と西村雅彦演じる一路の父の世代なのである。おそらく、子どもや若者には食傷気味だったり消化不良だったりしかねないこのお話、その世代には素晴らしい味わいであるに違いない。まるでおふくろの味のような懐かしい味わいもあるのである。おふくろの味といえば、その味付けに、もたいまさこ演じる犬のジロの飼主だった吉川婆ちゃん幽霊が一役買っておる。
運動会で子どもを応援する親、砂浜で遊ぶ親子、さらには両親の夢多かりし青春時代と恋愛・・・、この少年史、花田家の一路役の須賀くんは、お話の進行役でもあるのだ。つまりナレーターでありキャスターとしてもおるのだ。だから、カメラ目線も多く登場する。うんにゃ、急に大林監督の「野ゆき山ゆき海べゆき」を思い出した。あの映画の林泰文くんだ。
さて、お化けの話をちょっとだけしよう。お化け(死んだ人)が何人か登場するが、もちろん重要なお化けはお化けなのに成長する少女だ。お化けでまた大林監督の映画を思い出す。「異人たちとの夏」。私たち日本人にとって、お化けは怖い存在だけじゃない。心に潜む、現実に触れたらもろくも崩れるかもしれない、だから心の中だけにとって置くような。蚊取り線香、じゃなく香取聖子は、一路といかなる関係か。一路の父と母の恋愛時代と深く関わっているこの少女は、ある意味では、一路にとって、もう一人の姉と言えかもしれない。そして、ここでも、彼女と真の父親との関わりが・・・。
さてさて、締めくくり。この物語が親子、特に父と子の関係がテーマの根幹としてあるのはもうお分かりだろうけど、そうした中をあちこちバタバタ動き回り活躍する、篠原良子演じる一路の母には、その母としての活劇ぶりに拍手喝采を送りたい。そして、やっぱり、ボク的には、桂が冷蔵庫から取り出したハムカツに感謝かな。ボクの少年史がふつふつと甦った。して、帰りに、無性にハムカツを肴にして一杯やりたくなったのであった。












1 ■TBありがとうございました。
こちらからもTBさせていただきました。
ハムカツに こだわる 歴史観 すばらしい・・・。