2006-04-01 07:17:39

リトル・ランナー

テーマ:映画

サンタから もらえなくなって 幾歳月 


  

 ああ、なんだか、かったるいなあ。あれとこれと、しなければいけないけど、面倒臭いなあ。あれは仕事だから、ま、仕方がないけど、これはプライベートだから別にパスしてもいいだろうねえ。
 早い朝、布団の中で目を醒ましながらも抜け出せずにあれやこれや沸々考えていると、いきなりサンタクロースが出てきて「行け、行けえ」と叫んだのだ。ガバッと飛び起きてみる。「リトル・ランナー」だ。
 実は、この映画、ある意味、とってもよくあるお話で、感動場面では涙がうるうるだったんだけど、きっとすぐに忘れちゃうかなあ、いくつもの涙うるうる映画の河を渡ってもきたし。
 サンタクロースが出てきたら、いきなりボストンマラソンを走るラルフ・ウォーカーの懸命な表情が浮かんだ。おお。彼は名前からすれば歩く人? この主人公演じるアダム・ブッチャーって子、よいなあ。14歳の設定だけど、実際も撮影当時15歳くらいらしいね。
 昏睡状態の母親は軌跡でもない限り目覚めない。ボストンマラソンで優勝したら奇跡だ。この二つの軌跡が繋がる。なんて短絡思考だ。しかも、よくよく考えれば優勝したいのではない、母親を目覚めさせたいのだ。こう置き換えたらどうなる。優勝したいのではない、好きな女の子から好かれたいから。おいおい、それってスポーツマンからすれば不純な動機じゃん。でも、そこがいいのだ。短絡であろうが不純であろうが。
 よくマラソンランナーの孤独というテーマが描かれたりする。自分との戦いの象徴として。また、ボクシング映画だが、ロッキーなどは、ある意味ヒーロー物語だ。そちらの方のが短絡でもなく不純でもなかろう、そう思う。しかし、この少年の日常は、それが例え思い込んだら試練の練習の時も、そうしたアスリートの影も光も見られない。そんじょそこらのガキが近所の散歩コースをもくもくと走っているに過ぎない、そう見える。しかも、このガキ、学校で煙草は吸うわ、プールでマスかくわ、自宅で酒飲んで家を燃やすわ。でも、既に父親がいなく母親も病の床なのに、けっして悲壮感は漂っていない。日常にいる、例えば自分の子どもの友だち、此処彼処、どこにでもいそうな子ども。
 奇跡を応援する神の姿がサンタクロースというのも、おいおいサンタは神かよ、なんて、とんちんかんっぽいが、これも短絡的でよろしい。私たちはこうした短絡を排除して、いかに論理的に考えようとしすぎる毎日か。私にだって、ふとサンタさんがやってきて「行け、行け」と叫んだのだぞ。
 考えることと行動することのギャップ。パッと閃くと、それを実現させるためにいろいろ論理的に組み立て始める。そうすると、あまりにも用意周到に客観的論理的な失敗のない道のりを歩もうとし、ついには無理である、とか危険だとか、そうした正確な判断が行動に移すことを諦めさせる。それは戦略的かもしれない。でも、そんなことしてたら軌跡は絶対に起きないぞ。
 奇跡とは人間の判断領域を越えているものなり。何も神を信じてるのではないぞ。ある意味、コーチをした神父じゃないけど、私は無政府主義者とは言わないが、ニーチェが好きな無神論者だ。神は死んだ! そう言いながら、神社へ行って「八百万の神々よ、救いたまえ、助けたまえ、お願いします」などと拍手を打つ。
 人の願いとか気持なんて、純粋か否か正しいか否か真か否か、そんな人間の二律背反的思考では捉えられない。私たち自身の拙い思考能力では判断できやしない。
 早い朝、布団の中で目を醒ましながらも抜け出せずにあれやこれや沸々考えていると、いきなりサンタクロースが出てきて「行け、行けえ」と叫んだのだ。ガバッと飛び起きてみる。「よし、行こう。ボストンへ。そうすりゃ、不純異性交遊も夢じゃない。彼が好きな女の子も逆に迫ってきたじゃん」そう思って私は陽のあたる坂道へ威風堂々と駆け出した。
 主人公のランニングの練習風景シーンを思い出した。草むらを走りながら、いつのまにか地面から足が離れて空を駆けているように見えたのは私だけだろうか。そう空想に耽ってたら坂道の途中で石ころに躓いて転んだ。あっ、そか。別にボストンマラソンに出なくても不純異性交遊はできるか。そんな私には二度とサンタさんは現れんだろうなあ。

 心に残る映画って、こういう作品なのかもしれない。

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