2006-02-25 11:30:20

県庁の星

テーマ:映画

県庁も 市町村も 自立心 



 なんかテレビドラマを見ているみたい、という印象は免れないかもしれませんが、今やテレビと映画はボーダーレス、テレビ局では小説のようにテレビは長編小説で映画は短編小説というような捉え方もあるようですから、そんなに重要なことじゃないかもしれません。
 主役は、「踊る大走査線」で「事件は会議室でおきてるんじゃない。現場でおきているんだ」を絶叫した織田くん、お相手には今や彼女が出れば必ずヒットするという柴咲さん。でもね、この作品のもうひとつの見所は、お二人の脇を固めるベテラン俳優じゃないでしょうか。県庁側で言えば、県の実力者を演じる石坂浩二様と県知事の酒井和歌子様。それから、民間代表で言うと、スーパーの店長勤める井川比佐志様。もひとり弁当合戦を仕掛けた副店長を加えてもいいでしょうが、ま、中堅どこかなあ、と思いまして、また今度。


 まずエリート側でいきますれば、石坂様は、日本の大衆に大人気を誇る番組「水戸黄門」の黄門様に抜擢されましたね。でも、ちょいと貫禄が足りませんでした。反省なされたのでしょうか、「白い巨塔」では風格も含めて熱演。して今回は、まるで「越後屋あ~、おぬしもワルやのう」的悪代官みたいな役に見事になりきられました。ロバート・デニーロ張りの役なりきりウエイトコントロール、わざわざお太りになられたのですか? 今や大変でしょ、市川崑監督から指名の蘇れ石坂金田一耕助で一生懸命ダイエットされてるのでは。
 続きまして、県知事の酒井和歌子様。清純派女優のイメージが私にはめっぽう強いんです。ふと思い出した「細うで繁盛期」で有名な花登筺のテレビドラマ「おからの花」、じゃなかったかな。なあんか、かわいそうな役だったような。それが、なななんと県知事様とは・・・。女性知事様も最近ちらほらお見掛けするようになりましたね。詳しくは分かりませんが、大阪府知事、思い出しました。主婦代表的で生活者に近いから県政に新風を巻き込むのかなあ、確かにそんなん感じさせるシーンもありましたが、そのあとの知事室で石坂様と同席の場面! うぐぐ、なんですと! 「前向きに検討する」とは、前向きにゴミ箱に捨てるのを見届けることですかあ。ひどいひどいわ。あの酒井和歌子様が、そんなん態度でいられるなんて、もう県民もだますほどの踊るポンポコ狸親父、いや狸親母(これ、なんて読むの?)。
 かわりまして片や民間。スーパー満天堂の店長、井川比佐志様。田中邦衛様と共に「安部公房スタジオ」に参加されておられましたね。ごく普通の日本人を何気なくこなす味のある役者様になられました。店長ったって店では長かもしれませんがチェーン店という会社経営からすれば、トップでなく使われの身。できれば面倒くさいことから逃げていたい。売り上げもよく知らないんだから甚だしい。県庁の星こと織田くんに、ご丁寧な対応振り。ごまをするよなコーヒーのお勧め、丁重なおもてなし。で、実際の対応は、パートのベテラン柴咲さんに押し付け。この実態、別なるナイス・エピソード挿入でよく分かります。消防査察の場面。査察官の前には柴咲さんと副店長。あなたは何処へ? あらら、売り場の陰に隠れてらっしゃる。同じ行政への逃げ腰ですね。行政側はまったく県民のことを考えていない一方で、実は、このように一般県民も日頃は行政なんか知らぬ存ぜぬ。できれば関わりたくない、深入りしたくない。関わるイコール行政指導、ありがたいことよりも迷惑千万ばかり。本来、行政とは何のためにあるのか、なあんて、公務員側ばかりじゃなく民間人も考える気もありませんって、民間代表役を見事に演じてられてますね。
 ところで、民間側、ちょっと影は薄くなりますが重要な脇役の脇役がいました。オンブズマンのベンガル様とお役所と癒着する建設業者代表の中山仁様。ベンガル様は、大林監督作品でよくお目にかかりましたよね。あ、この間「ピーナッツ」では草野球の監督役でお目にかかりましたか。中山仁様といえば、もう何はなくとも「サインはV」ですよね。スポ根全盛の頃、女子バレーボールを題材にした漫画といえば、この「サインはV」と「アタックNo1」。仁様もバレーボールチームの監督役でしたね。お二人とも出番は少ない。ベンガル様は二場面ほどでしたか。仁様なんか、一回と半分。半分はドアホンでの声だけ。しかも、その一回の方の、織田くん演じる県庁さんこと野村に、夕食の席で「ノムさん、飲む?」ですって。ぷ~っ! 
 はい、この民間お二人を加えれば、民間側の行政に対する三つの人種が見えてきました。仁様のような行政と陰で多額な金飛ぶ交流盛んな私腹肥やしタイプ。そして、ごく普通のほとんど行政に無関心な井川様タイプ。行政に民間の目でメスを入れるために無報酬活動するベンガル様タイプ。
 さて、私たち観客一人一人が、自分はどのタイプって、そうやってこの作品を観ると、私たちも反省すべき点があることに気がつきます。私自身「ああ、自分も井川店長かあ。ほんと、気がつくの、遅いんだよねえ」そう思っ・・・、あれえ、この言葉、誰か言ってませんでしたっけ。
 あっ、ごめんなさいませ。観客の中には、公務員の方もいらっしゃるかもしれませんね。失礼しました。全てのお役所の方が決してああだとは思いません。なんせ、これフィクションですし。でも、これと似たような県知事様や県の実力者様が実際におられるとすれば、まじに由々しき問題かもしれません。世の中なるようにならないことや、どうしようもないことってありますが、ああいう意識の方がいるとすれば、納税者は本当は黙って見過ごしていてはいけないんでしょうね、ほんまに。
 また、そういう方ばかりではないにしろ、例えば、映画の中の象徴的な県民を見下すように聳える県庁の建物、つい、東京都庁を思い出しましたが、高層に限らず立派な庁舎、あちこちでよく見かけたりします。あと、会館とかホール等の建築物。行政って、事務手続きについで、ついつい、そういう器作りが仕事になりがち。でも、建物は立派だけど中身はいつも利用者なしの空っぽ、とか。これでは器作って魂入れず、ですね。何かしたいことあるから、その入れ物を作るのが本来ですね。中身なければ入れ物要らぬ。そういうことに、みんなで気がつくべきかもしれません。


 ええっと、ここまで大回りをしてきましたが、脇役人を眺めてきた上で、改めて主人公のお二人を見ますれば、主人公中心でずっと見ているのとは違う見え方に気がつきます。


 織田くん演ずるノムくん・・・学生時代からずっと一番の成績で先生からもチヤホヤされながら県庁エリートになったあなたは、出された問題に全問正解の答案用紙を提出する学校教育の延長で県庁での業務をこなします。物語の主流となる民間企業との人事交流研修は、石坂浩二様の問題に、あなたが正解としての答えを出したのがきっかけですね。その時オンブズマンのベンガル様に対しては庁舎から見下ろすだけでしたね。中山仁様とは「ノムさん、飲む?」の間柄でした。
 さて、言いだしっぺのあなたが交流研修のメンバーに選ばれた。おそらく満天堂への出向は、天国から下界に降りた感覚だったのでしょう。井川比佐志様や柴咲さんたちに出会うわけですが、その下界こそが県民の現実世界だったのですね。ところが、民間企業との人事交流研修は醜聞が出るなどで失敗と判断されます。さあ、挫折の始まりはここにありました。これまでエリート街道まっしぐら、周囲の仲間も同じような人種ばかりだったため、唯一これまで経験したことのない、まさかの挫折は、あまりにも驚きだったでしょう。行政癒着企業の親玉である中山仁様のご令嬢との結婚話もごわさん。仁様は姿も見せずドアホンの声だけで門前払い。だいたい好きでない相手と結婚しようとすれば相手だって愛されてないって気がつきますよ。ばっかじゃない? 失礼。ま、女性もエリートの地位とステイタス欲しさに付き合うケースもありましょうが。
 世の中に通用する正解とは絶対的なものじゃないんですよね。「政治は人の上に人を作り人の下に人を作る」ために正解はころころ変わる。だから、努力で必ず人の上に立てるなどとという保障はない、人の下になってしまうことだってある、それが社会なんでしょう。いいように使われてチョン。しかも、そういう世の中に対して挫折を知らないと余計に大変。そういうことって、学校教育では教えてくれませんし。ちょっと知るのが遅かったかな。
 でも、その挫折のおかげで生きる価値って何かを見直すべきことに気がついたわけです。他のエリート仲間よりも、ある意味で救われたのです。人の心の痛みを文字通り身をもって知ったわけでもありますから。県庁に戻ってからのシーン、あなたは庁舎から見下ろしたベンガル様と同じ目線で交流を始めましたね。素敵です。まあ、誰だって好きで挫折する人はいません。できれば避けて通りたいものですから難しいですね。


 柴咲さん演ずる二宮さん・・・避けて通ってきた、といえば、あなたも同じかもしれませんね。しかも、あなたは、よくよく考えれば満天堂店長の井川様と五十歩百歩だったかも。石坂様にも仁様にもベンガル様にもお会いになったことがありませんし。 でも、ノムくんと出会い、彼と直面し、そして彼の変貌振りを通して、気がつくんですね。
 あなたにとって、他を知らないことと、満天堂という職場が自分にとってかけがえのない場所であることはイコール。それ、エリート意識とは別の意味でのしがみつきかも。だけど、それでいいんだ、じゃなく、本当は心の底では、この職場このままでいいんだろうか、と思ってたんですよね。マニュアルや組織図がなくても民間は回っていく、と叫ぶあなた。確かにそのとおりですね。でも、在庫の山や衛生管理のずさんさ、いずれは潰れるかもしれない、そういう危機感もほんとは感じてられたんですよね。
 ところが、ノムくんの挫折を契機に心の奥底のものがムラムラと浮上するんですね。彼が挫折したときに、あなたを頼ろうとしたように、あなたも彼を頼りたいと思っている気持ちがふつふつと沸いてくる。県庁さんという呼び名が次第に店長さんに聞こえてきます。県庁さんが自分の職場を守ってくれる存在になっていく。それは自分自身を守ってくれることでもあるかのように。「県民は県庁の会議室などでなく街の中で生きているんだ」そう叫ぶノムくんの声が聞こえてきたんじゃないんですか。
 開店前の朝礼でいつも目の前にいた彼が不在。いつのまにか自分が生きる上で必要な存在となっていることに、ふと気がついたこと、いたく分かりますよ。
 ところで、どうでもいいけど、その朝礼、真ん中で仕切ってられるの、あなたじゃなく奥貫薫さんじゃありませんか。薫さん、「ピーナッツ」での手術、成功され元気になられて、スーパーにお勤めなんですね。えっ、同じ初監督でも、あちらは内村監督、こちらは西谷監督か。ぜんぜん別でしたね。しっつれいいたしました。


 ということで、この主人公のお二人さんに、な~んとはなしの恋愛感情が見え隠れ。この物語には恋愛などいらん、そういう風に思われる方もおられましょうが、でも、お互いの生き方に共感でき支えあおうとするから恋愛もできる、それもあるんではないでしょうか。
 まあ、主人公お二人がこの後どうなるかはフジテレビジョンに聞かなければ分かりませぬ。えっ、もうテレビ化を目論んでおられるんですって? 確かに映画が興行的に成功すれば、テレビ番組の提供スポンサーにもいいプレゼンテーションできますよね。ああ「海猿」手法が見えつ隠れつ。
 なんか、すぐ話がそれますが、思い出しました。「私っていつも遅いんだよね、気がつくのが」という言葉、これ、柴咲さんでしたね。そう、県庁さんへの恋愛感情。ってこともありそうだけど、この映画における相手役の県庁さんを県行政に置き換えられませんか。県民として納税という義務を遂行していれば、逆に権利を主張することもできるわけですよ。そういうことに「ああ、私っていつも遅いんだよね、気がつくのが」です。けど、遅くても気がつくことが大切でしょうね。県庁さんも遅い挫折でしたが、それで大切なことに気がついたわけですし。ほら、少しでも気がつけば、少しずつでも変わるかも。ただのコーヒーを100円にするような小さなことでも。
 この映画「気づくことが大切」そう言っているようです。そうだ、私も気がつきました。私たち、よく税金の無駄使いなんて叫んじゃうけど、じゃ、使わさせないように私たち県民が行政に指導してやればいいんですよ。よし、年度末の予算消化のための道路工事中だらけ、あれ、スーパー満天堂でのAチームBチームに分かれてのお弁当合戦のように、予算を使い切る発想を改めるため、予算を余らせることができた人に報奨金を出す、このアイデア、お役所に提案しようっと。えっ、そんなことより、まずは、権利の第一歩である選挙にちゃんと投票へ行くことから、ですって? あいたたた。参ったあ。踊る大選挙戦がオチですかあ。こりゃあまた、しっつれいいたしました。

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コメント

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2 ■しいな様

お久しぶりでございます。
目の付け所がいろいろあるのは、小生、目が八つばかしあるゆえ。ヤツメウナギかな。
たくさん笑ってくだしゃんせ。

1 ■「踊る大選挙戦」見たいです

こんばんは。お邪魔します。
>薫さん、「ピーナッツ」での手術、成功され元気になられて
あいかわらず、目の付け所が色々あって、楽しいですね!
ちょっと変わった切り口のレビューいつも笑わせてもらってます。
選挙投票もがんばっていきましょうね(笑)

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