2006-01-10 12:18:25

キングコング

テーマ:映画

愛情は 美女と野獣が 根源か 



 観ようかやめようか、三時間以上だから覚悟いるよね、で暫く敬遠していたけど、なんかナオミ・ワッツの表情が頭から離れなくて観てしまった。
 いやああ、娯楽の真髄を観させて頂きました。そう、エンターテイメントって、娯楽ですよね。ほんとに、楽しめました。これ、映画の様々な要素のてんこもりですよ。もちろん、ピーター・ジャクソン、「ロード・オブ・ザ・リング」の監督さんだから、それなりにやるだろうとは思ってましたが、「ロード」作品は正直言って私としてはRPGゲーム的で眠気を誘うものでありましたので(実際、眠ってしまった)、今回の三時間以上もどこかで眠気を誘うかなあ、と思いきや、全くなかったよお。そういやあ、「ロード」作品の前から、この「キングコング」撮る構想があったって言うじゃないの。だから、ここまでできたんでしょうね。
 でも、飽きるとこ、しいていえば、真ん中あたりの、やたらおかしな虫が登場して、戦場のピアニストさんだったあのエイドリアン・ブロディまでが死にもの狂いで戦うシーン、あたりかな。それと、監督役の最後まで生き延びる、誰だっけ、クローズアップがいっつも、同じ危機的期待感満ちる表情、ワンパターンのへったくそお。でも、これ、わざとかな。わざとかも。そう、アメリカ映画の監督は、いつもこうなのだって、そういうことですかあ。なら、あはは、ですわ。
 この三時間以上という長さで、前半は退屈という方、いるみたいですが、前半飛ばしたら、娯楽の楽しい要素のひとつでもあるシニカル精神がなくなっちゃうわね。この作品で分かるように、アメリカの映画って芸術というよりも娯楽、いわゆる商業、商品なんですよね。だから、監督が作りたい映画があっても、売れるかどうか、製作、いわゆるプロデューサーが判断する。プロデューサーは、半分経営者みたいなものだから、どこかで言いましたが、監督の指示でカメラ回しても、編集で監督よりもプロデューサーが売れる作品にするためにプッチンプッチン勝手に編集する、それがアメリカの映画の成り立ち。どうやら、この「キングコング」の初版の時も、同じ状況だったのでしょう。そんな中で、生まれた映画。
 そうそう、そのニュアンスがダイレクトに伝わったのは、エンディングロールの最後ですね。監督のメッセージが流れてきましたね。エンディング始まるといきなり席を立って帰られる方いらっしゃいますよね。この作品、観客が多かっただけ、たくさんの方がどんどん帰られましたが、これ、観れなかったでしょうね。監督は何を言ってらしたかというと・・・、もう一度ご覧になられたらよろしいのではないでしょうか。
 さてさらに、そうした、前半のストーリー性からいきなり、スピルバーグ得意なSFの世界へ。いやあ、参りました。ハラハラドキドキがこんなに連続で続くとは。しかも、ああ、これ以上はないだろうな。もう、治まるだろうな、なんて思ったら、いやいや、これでもかの、しつこくもっとエンターテイメント。ジュラシックパークが、さらにがんがんやってくる、ですよねえ。そこで、ナオミ・ワッツも戦場のピアニストさんも、普通なら百回くらい死んでてもいいくらい。でも、大丈夫なんですよね。
 さらに、恋愛物語は、タイタニック以上の、そのお二人さん。いやはや、戦場のピアニストさん、「戦場のピアニスト」での逃げまくりが本来リアルな生き方だと思うのですが、この映画では果敢勇敢な、愛のためなら前進あるのみを演じますね。ここでは、劇作家の役ですが、彼の裏返し的に登場する男優さんが、これまた面白い。この人のほうが、いいところばかり、役者技量でオレがオレが、で肝心なところで、すぐ逃げる。監督、ひょっとかしてもしかして、ハリウッド映画、この映画で、てんこもり批判したかったんじゃないの。そういうことからも、ユーモア要素もしっかり入ってますねえ。
 三時間以上でありながら、なんと、キングコングを眠らせてアメリカまで運ぶシーンは、ないんですねえ。きっと、そういうシーンも撮りたがる監督、いるでしょうね。でも、いきなり、シーンチェンジ。髑髏島から、いきなりアメリカですよ。たぶん、これ以上長尺はやばいと思って、そこを「はい、アメリカに到着、興行場面スタート」にガラリと移るんですね。正解ですね。もう南海の孤島ハラハラドキドキ・バージョンはもういいでしょう。
 アメリカでの興行シーン、大きな劇場ですね。何人のエキストラ? でも、そんなのはどうでもいいでしょう。それよりも、アメリカでのコングが劇場から逃げ出した後のシーンは、すごい。時代設定からすればまさかの、ハリウッド映画大好きのカーチェイス・シーンですよ。前作のリメイク版と違って、元版と同じ時代設定ですよ。して、コングが登るビルもエンパイヤ・ステイト。その時代にカーチェイスなんて、いやあ、凄い。車どうしでなく、コングとですよ。しかも冬、雪化粧。スリップもする。
 さて、さらに、てんこもりの、とてつもなく、いいシーン。コングの前にナオミ・ワッツ現れて、嬉しくて仕方がないコング。ナオミも涙ぐみ。人間どうしじゃないから、感情移入しにくいかもしれないけど、彼女の父親は、かつてピンク・フロイドのサウンド・エンジニアを務めていたんだぞ。まいったか。関係ないぞ。コングがナオミを握って駆けたところが凍りついた公園の池。そこで、コングが滑る。それがいわゆるダンス、舞踏会。愛する二人がクリスマスの明かりを浴びて踊る、そんなシーン。素晴らしい! どんなハリウッドのミュージカル作品にも、こういう自然界の恐るべき野獣と絶世の美女が踊る作品はないぞ。おそらく、この作品の一番のみどころであろう。何、エンパイアのてっぺんシーン? だめ、あんな高いところ。


 そう、そこへ、無鉄砲な鉄砲の弾。逃げるコングは、ビルからビルへひょいひょいひょい、スパイダーマンか。そして、エンパイヤ・ステイト・ビル。これは常套手段。そうかな? てっぺんで夕日がコングとナオミを照らす。髑髏島で、攫われたけど、始めてお互いの気持が交流した時のシーン、夕日。「美しい」という言葉。そのシーンの再来。単純だけど、うまい。美しさへの感動を、日頃人間どうしできないのに、獣と美女が交わす心のコミュニケーション。
 結果的には、原本どおりコングはビルのてっぺんからまっ逆さま。そして、戦場のピアニストさんが遅まきながらてっぺんまで登ってきてナオミと抱き合う。うん、これ、普通。でも、あんな高いところで、しかも手すりもない、高所恐怖症の私は絶対に立ってられません。ああ、愛とは恐怖も乗り越えねばならないものなのか。
 とにかく、これほどのてんこもりの娯楽を観られて、うれしい、ありがとう、ハリウッドの真骨頂、かな。
 もちろん、21グラムで大好きになったナオミ・ワッツのおかげで観れたし、21グラムよりも素晴らしいかどうかは、また別問題だけど、たぶん、監督さんもナオミ・ワッツが好きなんでしょう。私も単純に同じ気持でずっと観れましたあ。よかった。どうしよう、前の現代版リメイクのジェシカ・ラングも好きになっちゃったけど(作品内容はほとんど覚えてないけどね)、キングコングに出る女優さん、みんな好きになりそう。でも、ほんとは、今回の名演技、ナオミ・ワッツじゃなく、コングなのかもしれない。あの愁いを帯びたまなざしは忘れられません。
 そういやあ、よく考えれば、キングコングって、邦画からすると、ゴジラかもしれない。そうそう、かつて「キングコング対ゴジラ」って作品もあったじゃない。キングコングにしてもゴジラにしても、私たち人間は、仮想敵国ではないですが、そういう大いなる野獣を対立として引っ張り出さなければ、本当の人間愛っていうものを、よう理解できないのかもしれませんね。

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コメント

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8 ■くらのすけ映画社さま

こちらこそ、コメントおおきに、です。

7 ■しゅーサマ

>大きな山を一跨ぎ、キングコングがやってきた・・・

あ、これ、アニメのキングコングの歌でしょ。なんかあったなあ。

>確かコングと闘ったゴジラも50m以上あったと思う・・・
>このどのキングコングは7.5m.縮だのかな~(^o^)

ゴジラのときのキングコングの子供が今回のコングかも。

6 ■fooさま

>麻酔銃にやられながら、アンに手を伸ばすとこ

はいはい、あそこね。よかったですね、切なくなりましたよ。

船酔いですか。私は高所恐怖症ですよん。

5 ■ダーリン/Oh-Wellさま

こちらこそ、よろしうに。

>あのような、職務熱心な/自己陶酔的な映画監督ぶり・・・

あはははは~。そうですねえ、そういうシーンもっとあってもよかったねえ。

4 ■ご訪問ありがとう

トラックバックおおきにでした
これからもよろしくお願いします

3 ■コングは縮んだのかな~

shisyunさん、こんばんは!
大絶賛ですね・・・本当に迫力ありました・・・(^^)v
昆虫はたぶん、P.ジャクソンの趣味なんでしょうね~

大きな山を一跨ぎ、キングコングがやってきた・・・
確かコングと闘ったゴジラも50m以上あったと思う・・・
このどのキングコングは7.5m.縮だのかな~(^o^)

2 ■TBありがとうございました

私は、実は最後のとこより、麻酔銃にやられながら、アンに手を伸ばすとこ、つまり前半の山場に心をうばわれました。船酔い以外は、エンターテイメントとして天晴れでした。

1 ■*今後とも宜しくお願いいたします!


☆shisyunさん、お邪魔いたします。

昨秋、こちらのブログを或る方のブログと勘違いしてコメントを残してしまいましたダーリン/Oh-Wellです。(―今年はこう云ったミスの無いよう、皆さんと交流して行かねばと思う次第です^^;)

さて、先刻は『キング・コング』でのTBをありがとうございます!

早速、shisyunさんの本エントリーをしかと拝読しました。
劇中の多くのシーンや登場キャラクターをshisyunさんの実感と共に掬い取られ評されていて読み応えがありました!

>監督役の最後まで生き延びる、誰だっけ、クローズアップがいっつも、
>同じ危機的期待感満ちる表情、ワンパターンのへったくそお。でも、
>これ、わざとかな。わざとかも。そう、アメリカ映画の監督は、いつも
>こうなのだって、そういうことですかあ。なら、あはは、ですわ。

ワハハー(^^)、(良く言えば)野心的な映画監督カール・デナムに扮したジャック・ブラックですね。

僕は、このデナムに於いては、夕暮れ時の船上で陶然とした面持ちで“アン”に向けてキャメラを回しているシーンが最も印象に残りましたねぇ…、あのような、職務熱心な/自己陶酔的な映画監督ぶりを示すような撮影絡みのシーンなどが後一つでもあればなぁと惜しい気持ちが残りました。

***

さて、僕などは、初鑑賞時の際に、思いの外オリジナル版を重ねて鑑賞していたようにも、今、思えています。

再鑑賞の際は、もっとピーター・ジャクソンの為し得た188分そのものの醍醐味を受け止められればと思う次第です。

それでは、また、当方にもお気軽に遊びにいらしてください、
今後とも宜しくお願いいたします!!

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