2005-10-31 22:17:42

ドミノ

テーマ:映画

生きること 五分と五分の 二分の一  




 賞金稼ぎの娘の話、それだけで観てみようか、そう思ったのよ。ここんとこ、くさくさしてて、ちょいとスカッとしたい気持ちもあったし。ただ、それだけ。で、そのとおりでよしだったら、ここに書くこともなかったろうな。でも、書かざるを得なくなってしまったのよ。
 ほれ、観ようと思うと、最近は、公式サイトや様々な素人批評家のレビューサイトがあるじゃない。ついつい、観に行こうかどうしようかの参考にしちゃうのよね。
 で、監督がトニー・スコット。よく知らんわ、「トップガン」で有名。誰だっけ、あの有名な男優が主人公、かっこいいだけの。それに引き換え、メグを、あんないい加減な役に据え置く、まあ、ハリウッド映画って、男尊女卑みたいなとこもあるらしいから、仕方ないかア、ってね。そんな映画を創った監督作品なのよね。リドリー・スコットや、監督じゃないけど、あの「タクシー・ドライバー」でサックス吹いてたトム・スコットと間違えちゃうくらい、よく知らない。
 で、さらに誰、主人公のドミノ演じる女優。これも知らない。
 ああ、ミッキー・ローク、出てるじゃない。「シン・シティ」にも出てた、あのパターンね。あらま、クリストファー・ウォーケンが出てるじゃない。お久しぶり。あのベトナム戦争テーマの映画「天国の門」だっけ、凄いいい役だったね。
 それから、様々な素人レビューで、がっかりがっくり。中身が空っぽ、とか、さすがトニー・スコットだテーマなぞありゃしない、単に映像ぶち切れにして繋いだだけの効果重視とか、時間軸変えれば複雑になると思っているのかよ、などなどの不評。
 そんな前知識がいつのまにか入ってきて、観るのやめようかな、そう思ったけど、観ちゃった。ああ、我輩はバカであった。そんな前知識よりも、観たいと思った映画を見ればいいのよ。
 まず思ったのが、そういう不評のレビューに左右されるなよ自分、ってこと。だって全然空っぽじゃないじゃん。むしろ、てんこもりのギュウギュウ詰め。この映画には、「トップガン」みたいなスカッとさわやかコカコーラではすまない多くのテーマがひしめいている。
 ただ、まあ、映像が余りにも、シュール? いや、サイケデリックでスピードアップのフラッシュ的な処理、おそらく、その速さにお疲れして、中身が読み取れない人が多いのでしょうね。でも、あの手法は、ある意味、かつての前衛多かりし、イギリスのプログレかつサイケデリックな映像手法の流れかな。そうかあ、米仏かあ。うん、ハリウッド的じゃないかもしれない。だから、あたしには、非常に慣れ親しんでいてコ気味がいい。そうそう、最近の「シン・シティ」の漫画ファンなら涎的うれし映画みたいな。「シン・シティ」だって、全然新しくない。わしら、コミックや劇画、白土三平の時代劇好みからすれば、全然普通な手法。
 ただ、この映画と「シン・シティ」を比べると、いろいろなファンから槍玉に上がると思うけど、間違いなく、「シン・シティ」のほうが単純娯楽映画で、どう評価基準を並べ挙げても、この「ドミノ」の様々なテーマが錯綜している奥の深さには完全に敗北だわね。
 前者は飽くまでタラちゃんエンタだとすれば、後者はなんとオリバーくん的重さが潜んでいる。ああ、そういえば、映像的に、オリバーくんの「ドアーズ」を想起させる点もある。
 映像効果にしても、単に奇を衒うばかりじゃない、むしろ、テーマに対し表現としてはとっても自然であり、その手法が人生の流れの速いゆっくりを効果的に表現していた。だいたい、あれ、速過ぎるといって、通常のカット割と速度にしていたら、二時間ちょいで済まないでしょうね。でも、全然飽きさせない、あっという間。
 で肝心のテーマの話になると、ネタバレ起こすので余り言わないけど、でもネタバレって、本当は映画観る前に、できる限りいい映画観たい人が、いろいろあちこちのサイトで多少ネタバレ的なコメントでも仕入れにいくんだよね。みんなが感動したことを自分も感動したいからだし、観る前にその準備をする、みたいな。あたしゃ、みんな感動する映画、例えば、「セカ中」なんかは、どんな評価があろうが、いかんせん感動せずに「自己中」だとただひとえに思うタイプだから、どんなネタバレも構わんけどね。すまん余談。




 ところで、この映画、実在の人物と言う触れ込みもあったけど、観ていて、そんなのどうでもよくなっちゃった。というのも、たくさんの長き人生の場面描いてないし、シンデレラマンみたいな人生訓にもなっていないし。
 映画で描いているのは、あるひとつの事件。マスメディアやマフィアやFBIや、いろいろ絡んでいる。ああ、ネタバレ的だけど、そこで、一千万ドル、手数料の三十万ドルだけいただくのは、ある手術を受ける子どものため。残りは返そうとするが、賞金稼ぎの中のメンバーの一人がアフガニスタン。国に全部送るから返さない、とか言う。映画の中で二度出てくるが、世の中には3つのパターンがある。「金持ち」「貧乏」そして「中間」。一千万とられる輩は、アメリカの上部組織、マスメディア、マフィア、FBIなどなどの金持ちたちの錯乱劇。その中で結果翻弄される主人公たち。そして、貧乏は、アフガニスタン。その間の人間が、アメリカで必死に生きてて、子ども(孫)を救いたい別なる人種。
 この人種の話がまた面白い。混合された血を独自の個性として呼ぼうとする。それに反発する「わたしゃあアメリカ人以外の何者でもない」とする世間、そのアメリカ一色の一員になりたがる人々は、まさに、アメリカの象徴的人間、かつての野望、あの「トップガン」自体に潜んでいたアメリカ人偉い的ドリーム。この映画、かつての自作への反省もあるのではないだろうか。
 そういう件とか、塔の爆発やらとか、とにかく、この映画は、ある部分、アメリカでは賛同得がたき部分があるんですねえ。そういうことも察知できないっつうのは、アメリカに右へならえ、の日本人に飼いならされちゃった、ってことでしょうなあ。
 決して人を殺すわけじゃない賞金稼ぎの娘が、エレベーターの中で人が死んでも発砲せざるを得ない心理の場面には、何故か、目頭が熱くなりましたぞ。泣けてきました。泣ける映画ではないはずなのに。このシーンであたしゃ、このドミノ演じるキーラ・ナイトレイに惚れました。
 エンターテイメントに走りがちのハリウッドが最近ふんづまっている中で、この映画は、ある意味、方向転換を図らせるパワーがありますよ。なのに、その存在価値を無視しようとしている映画界がある気がしてなりませぬ。まあ、最後に言う彼女の台詞、どんな人間であろうが、結局は・・・、という諦念がすべてなのかもしれませんが。
 もっと問題作として叫ばれていいはずの作品ですが、ああ、見過ごされちゃうんでしょうね、この映画。残念でなりませぬ。
 それは、ともかく、周りの評価に惑わされず、これからも自分の目で映画を観ることにしましょっと。

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