2046
テーマ:映画どこでもドア 自己再認識の 旅へ誘う
こりゃこりゃまた、見たのチョイ前シリーズで、これも自分のHPにも掲載したけど、これもまたまた、このブログでも言わせてほしくって、書くね。
監督のウォン・カーウァイを知ったのは、もう随分前。十年以上前かな、既に世界に名だたる香港映画、それなりの評価を得ていたけど、そんなんお構いなしで、たかだか青春映画である「欲望の翼」作っちゃった。で、賛否両論というか、周囲からは、ありゃあ羨望だろうと思える批判も含め、当時、香港的B級以下のB級ラインを無茶苦茶にグルービングした作品に位置付けられたんだよね。
でも、ありがたきかな、私は、香港映画とか、純粋中国映画とか、ましてやハリウッド映画とか、そんなジャンルはどうでもいいだあ、なので、これ、すごく衝撃的だったけど。
それから五年後くらいかな、「恋する惑星」やら「天使の涙」を拝見し、むむむ、そう思えてきた。でも、まだまだ、ある意味での青春白書的な内容、ストーリー性よりも登場人物の魅力が目を引いたって感じかなあ。例えば、その一人、男性だったら、トニー・レオン。あと、女優だったら、やっぱ、カリーナ・ラウ。それと、フェイ・ウォン。
でねえ、あれよあれよという間に、例えば「ブエノス・アイレス」で男同士の愛情を描いたり、いわゆる青春映画じゃなくなってきた。そうしたらね、びっくりこいたのが、この「2046」。これは、もう参った。「花様年華」の続編だとか、60年代香港を描く三部作の最終篇だとか、いろいろ彼のこれまでの作品との因果関係が取りざたされてもいる作品だけど、いいんじゃいいんじゃ、まったくの一見さんで。かく言う私も「ブエノス」も「花様」も見ておらん、という始末なんだから。
「2046」は、彼の歴史なんかを知っている人よりも、自分の歴史を気にしている人でないと、作品を自分の身に染み入らせることは無理かもしれません。
それに、こいつ、いつもいつも思うことなんだけど、プロモーションが安直かつ短絡的な期待感をかきたてすぎ。期待感の中に、未来だとか、アンドロイドとか、どこかSF的な文句と、これは日本でだけだろうけど、さらに木村拓哉、恐らく見てもよく分からんという人までも何とか引きずり込もうとした。あんた、見なきゃそんだよって。そんな映画のテーマを無視し台無しにするプロモーター及びプロモーション制作スタッフ連中の厚顔無恥な浅はかさが、この作品では際立ちすぎてて、鑑賞後のギャップを多く生んでじゃったじゃないかえ。
簡単に言えば、「2046」を喜びそうな人たちが100人いるとすれば、1000人に騙くらかしてでも見せてしまえ的であり、結果、おそらくもともとの100人は変わらないのだろうけど、さきほどの1000人のうちの90パーセントは騙されたとか、よく分からんとか、何これ、という言葉が飛び交っちゃった。だからね、無理して一般受けを狙っちゃだめなのよ、あんぽんプロモーター様方よ。
ようは、この映画、SFだなんて思って見ちゃだめなんだってば。2046年という未来映画じゃないんだって。話の中でも出てくる、単に2046という部屋番号。で、その部屋の扉は、パラレルワールドへの入口。そして、そのパラレルワールドは、自分の心の中の、もうひとつの現実、そう思えば、いい、すんなり明解じゃない。
これは、心の中を覗き込む人間ドラマなのであり、まさに監督ウォンの年代以上、人生を振り返るであろう人たちに共感が得やすい作品なのであって、まだまだこれから経験をいろいろ積もうとする人には、早すぎた映画と言っても過言じゃない。だって表面的に見てしまえば「おうおう、いいおじさんが、何人もの女性と、ああだのこうだの、何言ってんの」なあんて、なりかねない。
でも、先のカリーナ・ラウやフェイ・ウォンはもちろん、「テラコッタ・ウォーリヤーズ」や「紅夢」のコン・リー
に、「HERO」や「LOVERS」のチャン・ツィイー、そしてマギー・チャンも出てくる女優オンパレードのお楽しみという観点もあるとは思うけどね、なはは(ところで余談だけど、「HERO」のテーマの奥深さに比べて「LOVERS」の水で千倍にも薄まった映画、なんなのよ、あれ。まあいいけどね)。
アンドロイド設定だって、いきなりアンドロイドそのものとして見られ、人間とアンドロイドとは仲良くなれるのだろうか、なあんて、あほちゃいますか。まるで「アイ・ロボット」みたいなテーマに勘違いされちゃうじゃないかあ(これも、プロモーションに罪があるのかや)。
できれば、若輩の方々は、自らが壮年・熟年に達してから、再度これを鑑賞されることをお勧めしますわなあ。何故なら、彼の作品、特にこの「2046」は、これまでの自分の生き方を顧みる人たちのための、自己再認識の旅へ誘うものなのですから。













1 ■TBありがとうございます
あんぽんプロモーター様方のくだりまったくその通りだと思います。一本釣りすべき魚を、地引網で曳こうとしているような不毛な漁でしたね。あれはウォン・カーウァイも、確信犯でしょう。おもしろがっているとしか思えません。