憮然とした表情の榊を無視して、森は続けた。

「それでは、皆この緑の羽根をつけるように。」

「はあ~?」

流石にこの命令には、全員が疑問の声を挙げた。

「なんだ貴様ら!それが上官の命令に対する態度か~!」

激昂する森に対して腰巾着の柴田が恐る恐る尋ねる。

「あの、少尉殿。自分は馬鹿なんで、ひとつ解る様に話していただけないでしょうか?」

「ふん!そんな事も理解できんのか!… 仕方在るまい説明してやる。よ~く聞いておけ。」

「はっ!心して拝聴致します!」

「緑の羽根は、我が組織の名前だからだ。」

☆☆☆☆

全員の頭の中に星が飛び交った。

(コイツは本当に国防大学出のエリートなのか?ただの阿呆じゃないか!!)

榊は内心の思いを隠して話しを先に進ませる事にした。

「少尉殿、お話しは解りました。それで作戦決行は何時でしょうか?」

「う、うむ…。作戦決行は、本日、ひとはち まるまる とする。皆、時計を合わせるように!」

「はっ!ひとはち まるまる 時。了解致しましたー!」

柴田が我先に声を張り上げる。

「では、皆、作戦に取り掛かれ!健闘を祈る!」

「イェッサー!」

掛け声と共に皆一斉にホテルの部屋を後にした。


各部隊は、三々五々散り散りに出発したものの、榊率いる第3グループはホテルのロビーに取り残されていた。

「班長、どうしますか?」

榊グループの重鎮、小川が声を掛けて来た。

「ああ…。」

榊は、気のない返事を返して来たが、その目は真剣そのものである事に小川は気がついた。

「班長、何かお考えがあるんですね…。」

「ああ…。」

2人のただならぬ様子に榊グループの紅一点、泉 昌代も気付き2人の傍に近寄って来た。
ただ佐仲だけは、のんびりとロビーのソファーに座っていた。
榊はその様子に苦笑いを浮かべて佐仲を呼んだ。

「佐仲もちょっとこっちに来てくれ。」

「はあ?何ですか」

「いいから、さっさと来んか!」

小川の剣幕に佐仲がすっ飛んで来る。

「ぷぷぷ…。」

「何が可笑しいんだ。女の癖に、俺を舐めてんのか!!」

笑われた照れ隠しに佐仲が泉に突っかかったが、この2人はいつもじゃれ合っているいいコンビだった。

「全員、聞いてくれ。」

榊の真剣な声に3人は、顔を引き締めた。

「私は、あの阿呆の命令なんか聞く気はない。」

榊の軍人とは思えぬ発言に皆息を飲んだ。

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