もう一つの春の怪談

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山田一郎

男性

H1、5、15 生

私のベッドに付いている名札だ。

そう、私は入院中である。

勤め先のファミレスで掃除中に入口の階段を踏み外して2階からそのまま1階まで転げ落ちてしまったのだ。

間抜けと言えば間抜けだが、幸い・・・不幸中の幸い、右足の骨折だけで済んだ。

で、ここ市民病院へと入院することになった。

市立病院外科病棟

ナースステーションを挟み病室は9室。

私は、7号室に入院している。

病院の夜は、下界とは違い早く始まる。

夕食が6時に運ばれてくる。

さすがにこの頃は慣れてきたが、最初は全く食欲がわかなかった。

食事が済むと7時に検温と問診。

ナースを軽くからかって、しばしの休息。

そうこうしていると、あっという間に9時。消灯の時間だ。

まあ、軍隊ではないからある程度勝手に過ごしているが…。


ある日、私はふと目を覚ました。

枕元の時計を見ると、深夜2時。

丑三つ時だ。



【コンコン!】



ノックの音がした。

一番端の1号室からのようだ。



【コンコン!】



ふと気付いた。

ナースはノックをしない。

誰だ?



【ギィー…バタン!】



えっ?

バタン!って…

この病棟は全てスライド式ドアで開閉式ドアはないはずだ。



その日は不思議に思いながらも、そのまま寝てしまった。

次の日の朝、1号室の患者が死んだ事を知っても、その時は気の毒に思っただけで深くは考えていなかった。



その日の深夜、また目が覚めた。

時間はまた2時。

丑三つ時だ。



【コンコン!】



また、ノックの音がした。

今度は3号室辺りからのようだ。



【コンコン!… ギィー…バタン!】


まただ!

私はさすがに気になり病室の外へ出た。

ナースや医者があたふたと3号室へ走り込んでいた。

私は背筋に冷たいものを感じた。



次の日の朝、私はナースにその事を話した。

しかし、思っていた通り全く相手にされない。



その日は最初から眠れず、時計を見つめ続けた。

2時。

丑三つ時。



【コンコン!】




きた!

私はベッドから飛びおき、外へ走り出た。

廊下には、誰の姿もない…。



【コンコン!… ギィー…バタン!】



私は恐怖に怯え自室のベッドへ潜り込んだ。

次の日、5号室の患者が死んでいた。


この7号室は、今患者が私しかいない。

今夜ノックの音がするのは、1.3.5ときている順からすると…。


そんな…。

まだ、死にたくない…。



夜がきた。



私は今日も眠れず、そのまま深夜2時を迎えた。



【コンコン!】



きた!

嫌だ!嫌だ!

死にたくない!

誰か助けてくれ~!



【コンコン!】



私は…。

頭が真っ白になった…。

咄嗟に出た言葉は…



















「い、いらっしゃいませ~!おひとりさまですか~~~~?」




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閑話休題
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