「あの阿呆の命令を聞く気はない。」

軍人の基本中の基本、上官の命令は絶対…。
ノンキャリで、その上その若さで、軍曹まで昇進した榊の言葉とは思えぬ発言に誰もが耳を疑った。

「どういう事ですか?」

佐仲が心配そうな声で問い質した。

「うん…。まず始めに皆に言っておく。私に異議アリであれば、強制はしない。阿呆の命令を無視する以上、あの阿呆が…ククク…生きて戻ればどんな仕打ちをしてくるか、想像は付くだろう。
抜けたい者は抜けてくれ。」

榊の言葉に不安気な表情を浮かべながらも、異を唱える者はいない。
皆の顔を眺めながら榊は先を続けた。

「私は、オッソーの分隊長として作戦を遂行する。
阿呆の作戦は穴だらけで、とても成功は望めない。
そこで、私は独自に新しい計画を考えた。
どうだ!
一緒にやって貰えるかな?」

「軍曹、我々は軍人であります。上官の命令に否はありません。」

笑いながら小川が答えた。

「しかし…ククク…その上官の命令に反する行動なんだぞ。」

「いやいや、我々の上官は分隊長殿で、あの阿呆ではありませんから…ククク。」

「ぷぷぷっ…、アハハ…。」

小川の言葉に全員が笑いをこらえきれなかった。

「ククク…。ありがとう。
そうと決まれば急がねばならない。
阿呆の作戦決行が、午後6時だから、それまでに準備をすませねばならぬ。
… 小川さんは、専門の爆弾作りを急いでやって下さい。
そんなに精巧な物でなくて構わないので、数を出来る限り多くして下さい。」

「はっ!了解しました。」

「泉は、情報テロ担当だ。機材を至急揃えてくれ。」

「はい!解りました。」

「佐仲は俺について来い。ちょっとやることがある。」

「はい!何処までもお供致します!」

「ぷーー!」

佐仲の言葉に全員がまたまた吹き出した。

「おいおい…ククク…それじゃ、柴田2世だぞ。」

「アハハ…違いねぇや~。」

「それじゃ、各自準備にかかってくれ。2時間後にもう一度ここに集合だ。
それから、携帯の電源は切っておけ。
阿呆から、チャチャ入れられないように。」

「はい!了解しました。」

「では、解散!」

小川と泉が急ぎ脚で準備に向かった。

「それで分隊長、我々は何をするんですか?」

「ああ…。俺とお前は…」

榊の信じ難い話しに佐仲は絶句した。


つづく
AD