君の名は

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その日は仕事が立て込んで、1日中あちこち飛び回りクタクタだった。
適当に夕食を済ませシャワーを浴び、一杯引っ掛けテレビを眺めていたらウトウトしてしまった。
ふと目を醒ましテレビをみると、砂嵐…。
なんだか懐かしい。最近は見た事があまりない。

「珍しいな…。」

一人言を呟いていた。

「いかん!一人言、言う様になったら末期症状だ。」

と、また一人言。

ちょっと凹み気味で残っていた酒を飲み干した時、突然テレビに女の子が映った。
誰だこの子?

女の子は自分でカメラをセットしてソファーに座り徐に話し始めた。

「おはよう… こんにちは… こんばんは… いつ見てるか分からないから、挨拶、全部。…。」

なんだ、こりゃ?

「今日は… とっても疲れたのです… お仕事きつかったのです… でもぉ… とっても、充実なのです。」

はあ?

「ぷっ!」

思わず吹き出してしまった。
その後も、その可笑しな放送は続いた。
ただ、変な事にその番組は、数分単位で終わりと始まりを繰り返し続けた。

いつの間にか僕はその番組の虜になった。
夜中で酒も入っていると云うせいかもしれないが、兎に角可笑しい。
テレビに釘付けなんて久々だった。

「あ~、面白れー!」

また、つい一人言。

「ありがとうなのです…。」

突然脈絡もなく、テレビの中の彼女がニッコリ微笑んで言った。

「えっ?嘘だろ!まさかな…。」

まさか、僕の一人言に返事をした訳ではあるまい。

「何が… 嘘、なの… 分からない… から、教えて欲しいのです…。」

「えーー!テレビが返事した!」

頭がイカレちまったのか…。

「ぷぷぷ… なのです… テレビは返事しないのです…。私が返事したのです…。」


「有り得ない。」

「それが、あるのです…。」

即座に彼女が答える。
この事態をどう理解すればいいのか…僕は混乱しまくった。

「大丈夫なのです…。」

何が大丈夫なのかさっぱり解らない。
しかし、実際にテレビの中の彼女は僕に話しかけているのだ。
異常な事態ではあるが、ちょっと酔っ払っていたせいもあり…。

「ま、いっか!」

「そうです…。いいのです…。」

彼女が微笑む。
よく見るとかなり可愛い子だ。
ラッキーなのかも知れない。
思い切って聞いてみた。

「君の名は?」

突然彼女がテレビから這い出しながら答えた。



「貞子!」



ひぇーーーー !


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