(有) AKB探偵社 8

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ここは秋葉原。

オタクの聖地。

もっとも最近では色々な人種が入り乱れてごった煮の様相を呈してはいるが・・・

我が(有)AKB探偵社はその秋葉原で老舗の探偵社になってきた。

依頼は人を問わず受けるし(貧乏人には貧乏人向けのお手軽調査があるのさ♪)他の探偵社に比べてはるかに仕事が早い(まあ・・・手抜きという言い方もある♪)人気の探偵社だ。

しかし、最近になって「大川端探偵社」や「匿名探偵」等、新興の探偵社が幅を効かせ始めて、我が(有)AKB探偵社はちょっと不景気気味だ。

なんせあちらは「オダギリジョー」とか「高橋克典」とか探偵の名が売れている。

名も無き探偵は辛いところだ。



暇を持て余してTVを眺めていた。


「・・・・・殺人の罪で服役、仮釈放中の・・・が、再び白昼のゴルフ場で殺人の犯行に及び多田 仁さんが亡くなりました。・・・・は取り調べでクイズで殺した等訳の解らない事を話しており当局は精神疾患の可能性も視野に入れ慎重に捜査を進めています。・・・・次のニュースです・・・」


あらら・・アイツまた・・・・

やめときゃ良いのに・・・騙される奴はずーっと騙され続けるのがこの世のしきたりなのだが・・・・

まあ、前回の殺しは俺が適当な相手を報告したので全くの人違い殺人と云うこちらにも後味の悪い結果になって、被害者には申し訳ないと思っていたのだ。

まさか殺す相手を探しているとは思わなかったからなぁ・・・・

今回はどの探偵が同じ目に合ったのか・・・ちょっと気になるな・・・


ぼんやりとタバコを燻らせていると珍しくドアをノックする者が居た。

コンコン・・・


「はい、どうぞ、開いてますよ」


ガチャ・・・


「失礼します・・・・」


ドアを開けて入って来たのは絶世の・・・・ブスだった。

一瞬言葉を飲み込むほど見事な造形な真性のドブスだった。

まあ、以前絶世の美女の依頼で痛い目に遭ったので、こっちの方が良いのかもしれないが・・・

仕事に対する意欲は湧かない。


「どうぞ・・・こちらへお掛け下さい。」


中央のソファーを示し、来客用の安いお茶を用意した。

勿論、自分用のグラム3000円のお茶など出すわけがない。


「寒かったでしょう。とりあえず、お茶でもどうぞ・・・」


「あ、ありがとうございます」


しばらく黙って眺めていた。

なんせ絶世のドブスなので二度とお目に掛かれないのは絶世の美女とおめに掛かるくらい同じく貴重な経験なのだ。


「美味しい・・・」


あらら・・舌の方もダメらしい・・・


「いや、粗茶で申し訳ありません・・・それで、どうされました?」


ソロソロ飽きて来たので用件を聞いてみた。


「あ、はい・・・・私の主人が家を出て行方がわからなくなってしまいまして・・・」


「は・・・・はあ・・・・」


私は心底驚いた。

まさか結婚していたなんて・・・凄い男もこの世には居たもんだ。


「その主人を探して頂きたいんです。もしかして何か事件にでも遭ったのではと心配で・・・」


「はあ、それはご心配ですね。それで家を出られてどれくらい経つのですか?」


「はい、かれこれ7年になります。」


はあ~?7年?これはもしや・・・・


「・・・・それで、もし見つかったら・・・このお金を渡して頂いて・・・」


「・・・・詳しいご事情をお話いただけますか?」


「あ・・・さすが探偵さんですね・・・普通の依頼じゃ無いとお解りになったんですね」


アホか・・・だれでも解るわい。


「まあ、職業柄、いろんな依頼を受けますので・・・」


「解りました。全てお話します。ただ・・・」


「判っています。他言は決して致しません。探偵には守秘義務がありますので」

そんなものはこの世の何処を探してもない。


「あ、はい・・・・では、お話します。実は・・・・」


下手くそな説明で長くなったので掻い摘んで説明ると・・・・

要するに旦那の親が亡くなって保険金だの何だの遺産が転がり込んだんだが、一次的な相続人は旦那でその手続が済んだので、旦那にはとりあえず死んで(戸籍上)貰いたい、と云う事だ。まあ、遺産を独り占めにしようって魂胆だな。

失踪宣告に七年必要だとちゃんと判ってそれまで待っていたようだ。

心配でどうのこうのは只の枕詞といったところか・・・

ホントに死んでいたらそれはそれでOKって感じだろう。


「ご事情はよくわかりました。お引き受け致しましょう。」


「ほ、ホントですか?・・・ありがとうございます。今迄行ったとこは全部断られてしまって・・・・」


それはそうだろう、マトモな探偵なら見つけた相手にまた姿を消せなんて依頼受けるワケがない。


「但し、かなり特殊な案件になりますので、料金の方は少々お高めになりますし、前払いでお支払い頂く事になります。また、見つからなかった場合も料金をお返しする事は出来ませんが・・・」


「それは構いません。・・・・大体おいくらほどになりますでしょうか?」


「そうですね・・・お探しするのに大体一ヶ月ほど必要になると思いますので・・その料金が必要経費込で100万円程度。見つけた旦那さんを説得する案件は少々手荒な交渉になる可能性が高いので、危険手当込で500万円ほどでしょうか・・・」


「・・・はい、承知しました。後で口座の方へお振り込み致します。」


あ!また失敗した・・・・もっとぼったくれたぞ、これは・・・・


「では、そのように・・・・ご安心してお任せ下さい。我が社の依頼の完遂率は95%を誇りますので・・勿論、稀に途中までの成功等無いとは言えませんが・・・」

と、言いつつ、壁に貼りまくってる客からの感謝状(封筒付き)に目配せをする。


「あ・・・凄いですね・・・皆さん、感謝して・・・」


結構疑り深い依頼人もこの感謝状にはコロっと騙される。

なんせ感謝状自体本物なので写真付きだの、証明書付きだのがワンサカあるのだ。

勿論私が自分で依頼人から貰ったものでは無い。

知り合いのマトモな探偵が貰った感謝状を1つ1万円で買い取って、封筒は自分でアチコチ出かけた時、適当に封筒だけ我が社に送った物だ。

中身はカッラポで配達された封筒を感謝状に取ってつけただけ。


「まあ・・・安心してお待ち下さい。誠心誠意努めさせて頂きますので。」


「はい、ありがとうございます・・・では、後ほど料金は振り込ませて頂きますので。」


満面の笑みを浮かべながら依頼人は帰って行った。



さて、仕事に取り掛かるか・・・・


ガチャ・・・ピポパ・・・


「あ・・・もしもし・・・・〇〇君?・・・ちょっと頼みたい仕事が有るんだけど・・・


あ、うん・・・・そう・・・・で、とりあえず、23区全部回って写真撮りまくってくんない?そう、全部欲しいんだ・・・あ、出来れば、ちゃんと町名が解る電柱とかも入れといて。・・・そう、どれくらい掛かる?・・・2日?OK。それで頼むわ・・・で、料金は?・・・え~!それは高いよ~。5万でやってよ~。・・・ハハハッ、分かった、分かった。じゃあ、真ん中の7万で。・・・ぷぷぷ・・・・うん、じゃあ、頼むね。」


ぷぷぷ・・・・電話1本593万円の儲けか・・・悪くない。




?????

ん?

探さないのか?って?

馬鹿な、探してどうなるんだ。

もし見つかったら・・・逆に面倒な事態になってしまうではないか。

適当に報告書でっち上げて、ご主人は納得されて二度とお姿を現す事はありませんって言っておけば済む話じゃないか。

そんな適当なって・・・


何を言ってるんだか・・・


ここは





A・・・・依頼したアンタが


K・・・・きっと


B・・・・馬鹿を見る



(有)AKB探偵社






ようこそ!




閑話休題
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