百鬼夜行抄 外伝 3-4 

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少々大騒ぎして鬼ババアに消えてもらったけど、物の怪の不思議なところがこれなのだ。


あれだけコワイだの何だの騒いでいたのに鬼ババアが消えた途端に何事も無かったかのように、皆元いた席に戻って素知らぬ顔でお好み焼きの続きを始めた。


「あれ?おにま・・・みんな知らん振りだけど・・・」


「うん・・・前一度経験したけど消えた物の怪は始めから居なかった事になるらしいんだ。」


「何それ!私知らなかった~」


しかし、ただ1匹の妖怪はその原則に反するらしい。


キョロキョロあたりを見回し、最後にこちらをチラ見して様子を窺っている。


こちらはそれに気付かない振りをしてこれ以上余計な事態を招かない様にすることにした。


それにしてもこの組み合わせはちょっと変だな~。


老夫婦は一見死人のカップルとして変では無さそうだが、いくら歳を取ってるからと言っても、一緒に死んじゃう確率は高くないし、若夫婦の方はそれに子供迄付いてる。


なんともワケありのグループの様だが、その上何故に我が家に丸ごと入り込んでいるのかも何やら作為が感じられてあまり良い気がしない。


結局鬼ババアもお爺ちゃん絡みだったし、なんかマジ嫌~な予感がしてきた。


なんて事を考えながらお茶してたら、テーブルの下から服を引っ張られた。


「んん?何だ?」


下を向くと若夫婦の子供が僕を見上げていた。


「お兄ちゃん、私おうちに帰りたい。」


「ん?おうちに帰りたい?う~ん、それはお父さんとお母さんに言ってくれないかな?」


「・・・・お父さん、お母さんじゃ無いもん。」


「えっ?違うの?じゃあ、誰なんだい?」


「・・・・知らないおじさんとおばさんだもん。」


「はあ?どういう事・・・・?」


「公園で遊んでたら一緒にお菓子食べようって・・・赤い車に乗ったの。」


なんと・・・誘拐かよ・・・・


「な、なに言ってるのゆうかちゃん、こっちいらっしゃい。」


メチャ慌てて若夫婦のお母さん役?の女が女の子を抱き寄せて自分の膝の上に乗せ、それからはこちらを見ようともしなくなった。


まあ、誘拐だとしてももう死んじゃっってるわけだし、慌ててどうにかしなくちゃいけないわけでもないので気付かない振りをしておいた。


そこへパタパタと文鳥の姿をしたカラス天狗が僕の肩に飛んできた。


「若様、大変でございます。」


「ああん?どうしたんだ?」


「一大事でございます。」


「だから、どうしたんだ?」


このカラスの一大事はあんまりあてにならない。


「ホントに一大事なんでざいます。若様の妖刀春雨が消えたのでございます。」


「な、何だと!!!だってあれは僕以外は持ち上げるのも一苦労する品物なんだぞ!」


「はい、ですからホントに一大事なんでございます。」


ホントだー、こりゃちょっと一大事かも知れない。


あれは物の怪退治の奥の手だから無いと困るぞ。


「どうしたの、おにま・・・」


タダ事でない気配に朱雀もこちらにやって来た。


「ああ、ちょっと困った事態になった。春雨が誰かに盗まれたらしい。」


「えっ?・・・じゃあ、この物の怪たち、どうするの?」


「う~ん・・・・なんとか能力だけで対応するしか無いな~」


「こんなに一杯、一度に大丈夫なの?」


「なに人事みたいな事言ってんだ。元はといえばお前が引き入れたんだろが!」


「そ、それは・・・」


「お前が半分くらいは担当な!」


「え~~~~!そんなに~~~」


「こら、最近お前怠けてるぞ。前は殆どお前がやってたじゃ無いか。」


「だってぇ~・・・最近、オシャレとかしなくちゃいけないし、がっこ(大学)の勉強も大変なんだもん。」


「うっさい!大体なんで僕の式神が大学なんか通って遊んでんだ。」


「あ、遊んでなんか・・・」


「嘘つけ!最近、合コンばっかり行って遊んでんの知ってるんだぞ!」


「あ・・・それは・・・あの・・」


なんてコソコソ小声で揉めてるといきなり老夫婦が立ち上がって踊り始めた。


”はいさっ、ほいさっ、どいさっ、こいさっ!”


何じゃそりゃ????




つづくっさ♪
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