主人の犬太郎さんの身の上話を聞いたり、余計な詐欺師をこれ又余分な貧乏神をくっつけてお引き取り願ったりしていたらあっという間に夕暮れ時になってきた。


これはちょっとマズイ感じになってきたので少し急ごうかと思案をしていたら、マタマタ余計な事をスケコマシが始めてしまった。


「ふ、・・小泉大先生が困っているみたいなので、私が先に妖気祓いを致してしんぜます。」


「えっ?祥明さん、大丈夫なの?」


「任せておきなさい。これでも安倍家の継承者なんだから!」


(無理だろあんたには・・・)


「・・・余計な事はしなくていいから、引っ込んどいてくれる?」


「ふん、偉そうにしているけど、大先生、なんにもしてないじゃないか。ちょっと引っ込んどいてもらうのは君の方だよ。」


「・・・あのね~・・・下手な事すると面倒な事態になるから、考えているんじゃないか・・兎に角、余計な事はしないでくれないかな~」


と、言っているのに・・・あーあ・・・余計な事を始めちゃった・・・


「南無・・・臨、兵、闘、者、皆、陣、裂、在、前!」


「あ、馬鹿!なんの準備もなく印を結ぶな~!!!」


こ、このアホ祥明が!!!



ぐお~~~~~~んん!!!!メリッ!!!ピシャ~~~~~!!!!ガタガタガタ・・・



轟音と共に家中が大揺れに揺れる。


「キャ~~~~~~!!!!!」


悲鳴をあげながら礼子さんが抱きついて来た。


(あ、祥明、いい仕事したかも(^O^)♪・・・およ!華奢なのに・・結構なボリュームな・・・「おにま!」・・・あ、また朱雀が睨んでる・・・)


「礼子さん、大丈夫ですよ。僕がお守りしますから。」


優しく耳元で囁いてあげながら、そっと抱きしめる♪(イテテ・・スズメめ、また、つねりやがった!)


「おにま!どうすんの?・・・・正体も解って無いのに・・・」


「あ、イヤ、正体は犬太郎さんの話を聞いていて大体解った。どうするかな~」


「えっ?ホントに?・・・じゃあ、早く退治して~」


轟音と部屋の揺れは一向に治まりそうに無く、流石の朱雀にも泣きが入った。


「ん?・・・もちょっとこのままで♪」


バキッ!!(イッてぇ~~~!!蹴りやりがった!!この!!!)


「仕方無い・・・礼子さん、ちょっと後ろに居てくれますか?」


「あ・・・はい・・・助けてくんろ・・・おねげ~しますだ・・」


う~っむ・・・カワイイのにこの田舎っぺな感じはちょっと・・・


「大丈夫、任せて下さい」


と、こちらで話しているうちに、祥明がトンデモない事になっていた。


「ぎゃ~~~!!!イッてぇ~~~~~~!!!!」


「キャ~~~~~~!祥明さ~~~~ん!!!」


祥明と佐瀬子ちゃんの悲鳴が重なった。


祥明が・・・この妖気の正体の狗神に食いつかれていた。


「だから余計な事をするなって言ったのに・・・」


「小泉先生!お願いします、祥明さんを助けて下さい!」


「・・・仕方ないなぁ~~~」


「お願いします!お願いします!・・ウウッ・・」


あらら・・泣いちゃったよ~


「分かったから・・・佐瀬子ちゃん、大丈夫だから・・・後ろに行って・・・」


「あ・・・はい・・・ウウッ・・」


と、佐瀬子ちゃんを後ろに行かせている間中、祥明の悲鳴は続いていた。


おやまあ・・・相当お怒りなようだな~・・・困ったなぁ、穏便に済ませたかったのに・・・無理っぽい・・


「仕方無い・・・荒っぽくいくしかなさそうだな・・・今日子、春雨取って。」


「はい・・・おにま、頑張って。」


朱雀から、我が家に代々伝わる妖刀春雨を受け取って、祥明に食いついている狗神にそっと近寄り、上段から一刀両断!!!ビュン!!!


バッサリ!!!・・・・の予定だったのに・・・


カキ~ン!!!!!


えっ?えっ?・・・・受け太刀????


あ!!!しまった!!!!!そうだった・・・このお話は妖刀村雨のお話だ!!!


「ガオ~~~~!!!!」


ヤバッ・・!!!!!!


カン!!カン!!カン!!カン!!・・・・


う・・・うわっ・・・負けそう・・・


カン!!カン!!カン!!カン!!・・・・


「おにま!おにま!・・・・」


「ガオ~~~~!!!!おのれ~~~~食ってくれるわ!」


あ、狗神が喋った~~!!!!・・・あ、そんな事で驚いている場合じゃ無かった・・


カン!!カン!!カン!!カン!!


くっ!!・・・渾身の力で振りかぶって・・・・ブンッ!!!!


ガキッ!!!!ガチャ~~~~ン!!!・・・・


両方の妖刀がお互いの妖力でハジキあって・・・・マズイ、素手になってしまった!!!!!


「ガオ~~~~!!!!覚悟しろ~~~~!!!!」


「あ、・・・イヤ・・・ちょっと・・・話しあいましょう、狗神様。」


「うるさ~~~~い!!!手遅れだわい!!!!」


だろ~なぁ~・・・・・どうする?オレ。・・・・


「ガオ~~~~!!!!ガオ~~~~!!!!」


飛び掛って来た狗神の首をスンデのところで抑えて・・・


「今日子!!!!足を開いて踏ん張れ!!!」


「えっ?なに?なんなの?」


「四の五の言わずに早くしろ!!!!」


「あ、・・・うん・・・こう?」


「そう!!!そのまま動くな!!!」


「えっ?なに?なに?・・・」


足を開いて踏ん張っている朱雀の・・・スカートの中に、狗神の頭を突っ込んでやる。


「キャ~~~~~~!おにま!なにすんの!!!!やめて~~~!!!鬼!!!悪魔!!!鬼魔!!!!」


何を言われても知ったことじゃない。それどころじゃないもん!!!


さあ!!!どうだ!!!狗神!!!!


「・・・・・・くん、くん・・・・」


「キャ~~~~~~!なに?なに?・・・」


「くん・・・・くん・・・・ペロッ・・ペロッ・・ペロッ・・」


「キャ~~~~~~!キャ~~~~~~!」


「ペロッ・・ペロッ・・ビチャッ・・ビチャッ・・ペロッ・・ビチャッ・・」


「キャ~~~~~~!どこ、舐めてんのよ~~~~~」


掛かった♪!!!!さすが、犬だわ・・・これぞ妖術バター拳・・てかっ。


じゃ、今日子のあそこ舐めてるうちに・・・御札をペタ、ペタ、ペタ、ペタ・・


「南無退散、狗神!!!!・・祥明、インはこう云う時に結ぶんだよ!!


・ ・・・・臨、兵、闘、者、皆、陣、裂、在、前!・・・喝!!!!!」


ガオ~~~~ン!!!!・・・・ピシャ~~~~~~!!!!!!!!


部屋中に眩い光が走り、直後に暗転、部屋の揺れも治まった。


ごろ~ん・・・・・今日子の足元に石佛の狛犬が転がった。


「ふ~~~~っ・・・終わった~・・・・」


「小泉先生・・・これで・・・」


主人の犬太郎さんが声を詰まらせ涙を浮かべながら僕の手を取って頭を下げた。


「あ、はい、もう大丈夫です。」


「・・・おどう!!!おどう!!!わ~~ん・・・・」


かっぺの礼子さんが泣きながら父に抱きついて・・・おい、オレに抱きつけ!!!


「小泉先生、ありがとうございます、ありがとうございます。」


スケコマシを抱きかかえながら佐瀬子ちゃんが礼を言って・・・ちぇっ!!!ふん、お似合いだよ、スケコマシとサセコって・・・負け惜しみかぁ~


横から恨めしそうに僕を睨む今日子が・・・・


「最低~~~~~~~~~~~~!!!!!!!」





後日談・・・・


「おにま、どうして犬太郎さんの話だけで狗神だと分かったの?」


「あ?なに言ってんだ。簡単じゃないか・・婆さんが伏姫、その旦那が房八・・ひっくり返したら八房で、子供達の名前が・・仁、義、礼、智、忠、信、考、悌・・って来て、本家が里見と来たら、八犬伝じゃん!」


「あ・・・・」


「なあ、そんな事より1000万、ちゃんと貰ったんだろうな?」


「あ、、あれ・・ちゃんと貰ったんだけど・・・」


「だけど・・・なんだ?ま、まさか・・・」


「あのね・・・・貰った小切手・・・不渡りですって・・・銀行の人から電話が・・」


「な・・・里目に電話しろ!!!」


「・・・したんだけど・・・一家で夜逃げしたみたい・・・」


「な・・・くっ・・・仕方無い・・・最初に貰った手付金の残り、有るだけ渡せ。」


「あ、あの・・・1000万貰ったし・・・あれくらいいいかなって思って・・・」


「おい!!!まさか・・・」


「ごめんな~~~い!」


「ダァ~~~~~~!!!!!お前90万も何に使ったんだ!!!」


ピンポ~ン!!!


「あ、来た~~~~~!!!!」


「あ?何が?・・・」


「は~い(^o^)丿」




「・・・・・これ?・・・これ、買ったのか?」


「うん!!!可愛いでしょ?」


「可愛いでしょ?って・・・これ90万??」


「うん!!!ちょっと高かったけど・・・・立派な血統書付きだよ~」


「・・・・?なんて種類だこれ?」


「え~っとね、、、ミックスって種類って・・・」


「ミ、ミックス~~~~?・・・・こ、この馬鹿!!!雑種じゃね~か~!!!!」


「えっ?・・・・」


「・・・・信じらんねぇ~(;´д`)トホホ…で、名前付けたのか?」


「うん!!!エヘッ・・可愛いでしょ?・・・あなたのお名前は・・・」


「あ・・・なんていうんだ?」


「お名前は・・・玉梓ちゃん♡♡♡」


「た、玉梓~~~~~~~~~~?????!!!!!!」



「ワンワン、ワンワンワン、ワンワンワン♡♡♡♡♡」




オシマイ・・・・・八犬伝篇


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