悪夢 #3-2

ドンドン!

ノックの音で目が覚めた。

ああ、夢だったのか…。

悪夢だ。

警官に撃ち殺されるなんて…。

ドンドン!ドンドン!

「五月蝿いなぁ、… ちょっと待ってくれ。」

「なぁに?」

愛人の瑠璃が、甘えた声で、俺の胸元に顔を埋める。

瑠璃の身体をそっと横にズラし俺はドアへと歩いていった。

その間も、ノックの音はひっきりなしに鳴り響いていた。

「分かって言ってるだろう。ちょっと待ってって!」

ドアのノブに手をかけながら、…

「誰だ!こんな朝っぱら…」

ドアを開けた刹那に俺は、言葉を失った。
目の前に妻が、鬼の形相で仁王門立ちしていたのだ。

「お、お前…、何故!?…」

余りに狼狽し、言葉が続かない。

「どいて!」

妻の剣幕に、私は抗しきれず中に招き入れる形になってしまった。

マズい!

しかし、時、既に遅し。

「キー!」

妻の怒りは、一身、瑠璃へと向かう。

「キャー、キャー、止めて!」

妻が、瑠璃を引きずり回している。

私はなす術がなかった。いや、恐怖で足が竦んでいたのだ。

「止めて~」

瑠璃の声が響きわたった。

何事か…?

妻が包丁を手にしているのだ。

「いかん!」

私は咄嗟に妻の前に立ちはだかった。

ズブッ!!

激痛が全身を駆け巡った。
刺されたのだ。

「うっ…」

そのまま、私は倒れ込んだ。
どうやら、刺され所が悪かった様だ。
すぐに、目の前が暗くなった…。

「キャーキャー」

妻のものとも瑠璃のものともつかぬ悲鳴が、微かに聴こえた。



ガンガン!

ノックの音で目が覚めた。

ああ…、良かった…。夢だったのだ。

悪夢だった…。

「1192番、出ろ」

戦慄が、身体を突き刺した。

そうだった…。
今日、俺は処刑されるのだ。

目隠しをされ、死刑台の階段を上った。


お願いだ!さっ さっ覚めてくれ!


【ガッターン】

休題
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