白い猫のハートの足跡

ハートフルな本が好き



ハートフルな人が好き



ハートフルな生き方が好き


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アン・ブラッシェアーズ, 大嶌 双恵
トラベリング・パンツジーンズ・フォーエバー

大好きな、トラベリング・パンツ シリーズの最終巻(現在のところ)です。
 
4人の主人公たちが大好きな私。
シリーズ1、2、3と読んで行くと、一緒に成長したような感じがして、本当の友人たちのように、身近に感じてしまうのです。

海外のガールズ小説では、私の中ではナンバー1なのです。

さて、この4巻目ですが、彼女たちがついに別々の進路に進んだ18歳、19歳の夏を描いています。

まず、カルメン
母子家庭のお母さんが再婚し、子供も生まれ、(3巻参照) 自分の居場所がなく、新しい大学生活にも馴染めず、自信がないカルメン。
まるで別人のようです。そこで知り合った美人の友人に救われるのですが…。

カルメンが最後に、自信を取り戻したこと、本当に良かった!!

美大に進んだレーナ
新しい恋が芽生えます。

遺跡発掘に出かけるブリジット
妻帯者に心惹かれるのですが…。
ビーは本当に魅力的ですね。憧れの女友達でしょうか。美人なのに心が綺麗。迷いながら成長しているビー、最高です。

映画のシナリオと、彼との関係に悩むティビー
元々、ちょっと屈折したティビーだから、今回の展開もとても分かります。

こんな4人ですが、離れていてもやっぱり最高の友達。

3巻までと違い、あまり家族は出てきません。
それぞれの自立した生活の中で起こることが中心です。それがちょっと淋しいような、でも、成長した証なんですよね。
個人的には、1~3巻までが好きかな…。

でもね。やっぱり、この4人の成長が知りたいので、これで終わりにならずに、4人が本当の相手と巡り会い、結婚し、子供を生んだり、生まなかったり、その後のことまで、ずっと見守っていきたいな。
シリーズが続くことを願ってます。
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足沢 良子, 葛西 利行, キット・ピアソン, Kit Pearson
床下の古い時計

素敵な作品と出会いました!

思春期特有の悩みと、家族の悩みをテーマにした作品ですが、そこにタイムトラベルの要素を入れたことで、ストーリーとしても引っ張る面白さがある一冊です。

12歳の夏休み。
両親が離婚することになり、夏の間、叔母の家族、いとこたちと暮らすことになったパトリシア。
お母さんのルツはキャリアウーマンの美人ですが、パトリシアは内向的で、太った女の子。色々なコンプレックスを抱えています。

いとこたちとも馴染めず、辛く悲しい思いの夏休みでしたが、ある日、コテージの床下にかくされていた、古い懐中時計を見つけたのです。
それは祖母が死んだ婚約者から贈られた懐中時計のようでした。

その時計のねじを巻くと、過去の時間にタイムトリップすることを発見したパトリシア。
そこでは、自分と同じように、悩み悲しむ、孤独な12歳のお母さんが暮らしていたのです。
辛い現実より、過去のルツたちを見ていた方がホッとできたパトリシアは、ことあるごとに過去にタイムトリップするのですが、ある日、時計が壊れてしまうのです。


先を急ぐのがもったいないと感じるほど、大切に読みたい一冊でした。
ストーリーは面白いけれど、パトリシアの心情を大事に読み取りたい。
そう感じると先を急げず、1章読んでは少し置いて、という読み方をしました。
最後まで読んだ時、私の冒険も終ってしまったようで、少し淋しかったな。

お母さんのルツは、今は、堂々としていて自信家の女性です。
でも、12歳のお母さんは、自分の母親から疎まれ、兄にはつまはじきにされ、孤独で淋しい少女時代を過ごしていました。
パトリシアは、12歳のルツに自分を重ねて、この少女を守ってあげたい、分かってあげたいと心から思うのです。

過去と現代を行き来するうち、時計が壊れて過去に戻れなくなります。
そして、現代に生きるほかなくなったパトリシアは、一つ成長するのです。

パトリシアの心の成長、自分に自信を持つ事、そして、お母さん、いとこたちと信頼しあう関係になること。それが出来て本当に良かったです。

多分、誰もが同じ。
自分の殻を破らないと、分かり合えない。相手を決めつけてこういう人だと壁を作っていては、仲良くなれないのです。
それは親子も同じです。


お母さんのルツとパトリシアは全然、違うタイプですが、一緒に暮らそうと決まってから、親子ではなく、運命共同体として、強い絆で結ばれたように感じました。

パトリシアにとても親近感を抱いた私です。

タイムトラベル物が大好きな私が、友人の紹介でこの本にめぐり合えました。
そのご縁にも感謝です。
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ローレン・ブルック, 勝浦 寿美
吹雪のあとで

5巻目のこの本が2月に出たあと、6巻目以降がなかなか発売されません…。
どうしたのでしょうか、とちょっと気になっています。
海外に住むテリーさん(ブックマークをご参照ください)より、長く続くシリーズと聞き、先が楽しみな私なのです。

この巻では色々な問題が山積みになります。
エイミーの元にやってきた妊娠した馬の出産。
来たその日に怪我をして、どうなることかと心配させられます。

ベンとお母さんとの和解がどうなるのか。

エイミーやルーが長く会っていないお父さんとの再会。

などなど、家族の絆、問題と共に、馬のケアもまざりつつ、5巻は短い中にギュッと色々なことが詰まった1冊となりました。

最後まで見守りたくなるシリーズです。
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今は絶版となったこのシリーズですが、根強いファンがいて、復刊ドットコムでも票を集めているようです。

どの時代も、バレエ少女の話は小説、漫画を問わずファンが多いと思いますが、数十年前に書かれたこの本を初めて読んだ私は、あまりの面白さに引き込まれてしまいました。

1巻目では、主人公ドリーナが10歳でバレエを習い始めてから2年後までが書かれています。
両親を亡くして、祖父母と暮らすドリーナですが、ドリーナが誰に言われる訳でもなく、自然と踊りが好きになり、音楽を聞くとそのリズムにのって体を動かす子どもでした。
それをおばあさんはいい顔をせず、他のことに興味を抱かせようとするのです。

でも、ドリーナは新しく入った学校で知り合った友達のジェニーがバレエを習っていることを知り、バレエ教室に見学に行くのです。

どんなに反対されても、習いたいと言うドリーナの熱意に負けて、習わせてあげることにしたものの、おばあさんもおじいさんも、ドリーナがバレエに飽きてくれることを願い、色々と興味を他に向けるようにするのですが、ドリーナの熱はあがっていく一方です。
そしてついに、おばあさんは引っ越すことを決意することになるのです。

どうしてここまで、おばあさんがドリーナを邪魔するのか。
大好きなおばあさんにバレエを反対されて、嘘までつかなくてはいけないドリーナの切なさと罪悪感に、読んでいる私も心が痛くなりました。

この小説が素晴らしい所は、ドリーナの気持ちが手に取るように分かること。
細かく心の動きを描写した素晴らしい児童文学です。

バレエを習っていなくても、きっと楽しめると思います。

この本が日本で出版されたのは30年前。
裏には小学校中学年以上とありますが、現代の子どもにはかなりの長編かもしれません。

ルビも振ってあるので、読み始めれば最後まで一気に読めるとは思うのですが、この本を見て、改めて日本の子どもの読書力が落ちているのでは、と感じました。

現在のところ絶版ですので、図書館で予約して借りて読んでみてください!


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ローレン・ブルック, 勝浦 寿美
強い絆

私の大好きなシリーズ第4巻目です。

ハートランドは心の傷ついた馬を預かり、癒して元気にする厩舎。
暴力で押さえつける調教ではなく、信頼関係を築き、馬自身の意思で命令を聞くようにさせるという心で調教する厩舎です。

厩舎の主だったお母さんが事故死、経営難、家族崩壊の危機などを乗りこえて、ようやく4巻まで来ました。

厩舎が満員になり、経営難を乗りこえたハートランドですが、大きな厩舎から勉強のために働きにきたベンがまた問題を引き起こすのです。
ベンが仕事をせず、自分の愛馬ばかり乗っているため、厩舎の中がぎこちなくなっていきます。
エイミーはベンが決して、お金持ちの我が儘なお坊ちゃんではなく、心に深い傷を追った少年だということを知り、助けたいと思うのです。

馬も人間も同じ…と言っては語弊がありますが、そのままを受け入れて、信頼してあげれば、きっと心は通いあうのでしょうね。

ベンもエイミーを通じて、自分の愛馬に怒りや悲しさをぶつけていたことを知り、深く反省します。
これで、ベンもハートランドの一員になりました!

次が楽しみです!
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ジーン・クレイグヘッド ジョージ, Jean Craighead George, John Schoenherr, 西郷 容子, ジョン ショーエンヘール
狼とくらした少女ジュリー

1973年アメリカニューベリー賞受賞の作品です。

この本も紹介して頂き読んだのですが、本当に面白かった!!
いえ、面白かったという言葉では申し訳ないくらい、感動で胸が一杯に。
読みながら、主人公と共に寒い北極圏を旅している気持ちになり、夢中になって読み進みました。
私が普段読むジャンルではないので、自分では探すことが出来なかったことでしょう!

ジュリー(マヤック)はエスキモーの13歳の女の子。
父も母も死に、父が決めた許嫁と結婚したのですが、その暮らしに馴染めずに、サンフランシスコに住むペンフレンドの元に行くため、ツンドラを横切ろうとするのです。

彼女のお父さんはエスキモーの中のエスキモー。
厳しい寒さの中、生き抜く知恵をジュリーが子どもの頃から教えてくれていました。
ジュリーは最小限必要なものだけも持ち、ツンドラの極限の寒さの中、寝床を作り、獲物を穫って生き抜くのです。

この本の中での一番の軸は、狼と心を通わす部分でしょう。
飢え死にしそうになったジュリーは、狼の群を観察し、誰がリーダーかを見抜き、群での力関係を観察するのです。そして、狼の言葉、動作を勉強し、自らリーダー狼、アマロクの懐に飛び込んで行くのです。
もしかしたら、殺されるかもしれないのに…。

そして、ジュリーはアマロクの子ども、カプと仲良しになり、狼の群と共に、着かず離れず生きて行くのです。
狼のリーダー、アマロクの勇気、愛情は、頭が下がるばかり。
人間が無くしてしまった物を、狼たちは持っているのです。
人間と狼がここまで心を通わせ合い、信頼し合えるということに畏れのようなものを感じました。
そして、本を読み進めれば、人間を憎いと思うのが私だけではないはず。

作者のフィクションですが、フィクションとは思えない程、リアルでした。体験談かと思う程、目の前に極北の地が見えてくるのです。
おまけに、ジュリーの知恵のすばらしいこと。
動物の毛皮が暖かいのは当然ですが、自分で穫った獲物の皮をはいで、テントを作ったりコートや手袋を作ったり。これだけで零下40度の野外でも寝泊まりし、歩いて行けるのだと思うと、驚きます。

ちなみにジュリーは狼から一方的に守られる訳ではなく、ジュリーも狼を守るのです。
お互いにお互いを思いやる愛情は、本当に素晴らしかったです。

まさか私が北極に行くことはないでしょうけれど、狼と心を通わせることが出来れば、生き延びられるのかも…と非現実的な空想をしてしまいました。

この作品は三部作のうちの最初の一作目ですが、二作目以降は邦訳されていないようです。
この後ジュリーはどうなっていくのでしょうか。

多分、私が色々と書いても、この本の感動は伝えられないと思うのです。
百聞は一見にしかず。
是非、実際に読んで頂きたい、一押しの一冊です。

中学生でしたら読めると思います。
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ロバート ローソン, Robert Lawson, 田中 薫子
ウサギの丘

この本も、テリーさんが紹介してくださった本です。

私は図書館から借りて読んだのですが、その時のタイトルは、「ウサギが丘」でした。
図書館の閉架書庫から取り寄せた本は、今から40年前の初版本でした。
久しぶりに空気を吸って、本も喜んでいるように感じました。

フェリシモから再販されているので、子供の頃好きだった方は、再度読めたり、また自分の子供に読んであげたりと、2代で楽しめるでしょうね!
私が借りた図書館の本は、字が黒ではないのです。
茶の濃い色でとても目に優しく、こんな気の利いた本が昔はあったんだ! と感動しました。

そして、ストーリーの前に、もっと感動したのが、挿絵です。
ロバート・ローソン本人が挿絵を書かれているのですが、本当に本当に丁寧で、繊細で、温かくて、活き活きとしているのです。
この絵を眺めているだけでも、十分、価値がある本だと思えるくらい、動物たちの表情、動作に命が宿っています。

さて、物語です!

うさぎの子供、ジョージイを中心として、お父さん、お母さん、ウッドチャックのポーキイ、その他にも、モグラ、狐、コマドリ、ネズミ等など。
沢山の動物たちが個性豊かに登場します。
子供向けと侮ったらビックリします!
何しろ、動物たちは、本当に心豊かに、生きているのですから。

動物たちの資源だった「大きな家」と畑は長い間無人でした。
そこに人間が引っ越してくるという噂から、物語は始まります。

越してくる人がいい人間であれば、動物たちはゆっくりと過ごせるのです。
でも、悪い人間だったら…。
動物たちの、「ああでもない」「こうでもない」というやりとりの笑えること!

私がまず笑ってしまったのは、ポーキイが、「前に住んでいた人間たちは、かすですよ。かす。やっかいばらいができて良かったですよ」と言う台詞。
何だか、笑ってしまいました。
(この部分だけ書いても、微笑ましく思う感覚は伝わらないかもしれませんが!)

それぞれの動物たちが個性豊かな会話を広げる中、事件が起こるのです。
それは、うさぎのジョージイが事故にあって人間の手で連れ去られてしまったのです。
みんなの心は重く、暗く、沈んで行きました。
ある日、絞首台のようなものを見つけた動物たちは、いっそう、元気がなくなるのですが…。

物語は、完璧なハッピーエンドです。
私がとても素敵だなと感じたのは、あらゆる手を尽くして畑を守っている人たちよりも、動物を大事にする「大きな家」の住人が、その動物たちから守ってもらって、素晴らしい畑を作ることです。

あとがきを読んで、また嬉しくなった私です。
1944年にニューベリー賞(アメリカの児童文学賞)を受賞した時の言葉がとても素敵でした。

「もし、このニューベリー賞が美味しいお菓子だったら、私はそれを切って、いちばん大きなおいしいところを、ウサギのジョージイ坊やにあげたい。このお話を作ってくれたのは坊やだから」

ロバート・ローソンという方の人柄が伺える言葉でした。

読み聞かせなら幼稚園から。自分で読むなら小学校2年生くらいから。
是非、この広々とした世界を、お子さんと一緒に味わって欲しいな、と思う私です。


ちなみに、うちの息子は6年生ですが、あまり読書はしないのです。
まだ私の読み聞かせを喜ぶので、この本を読んであげたいな、と思っている所です。
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小比賀 優子, 中村 悦子, Zilpha Keatley Snyder, ジルファ・キートリー・スナイダー
ビロードのへやの秘密

私の中で、海外児童文学に再び目覚めるきっかけとなった本です。
特にすごいドラマが待ち受けている訳でもなく、何とも言葉で説明できない細かな世界観なので、分かる人には分かる…という一冊かもしれません。

あらすじを簡単に。

12歳のロビンと、その家族は、仕事を探す父さんとともにおんぼろ車で旅をしていました。
旅の途中で、仕事を見つけた一家は、ラス・パルメラス村に落ち着くことになりました。

お父さんは肺の病気であまり無理が出来ません。
ボロボロの貸家に住むロビンですが、どこか現実とはちがう世界で生きるロビンは、思いつくままに『ふらふら歩き』をする癖があるのです。
この村に来る途中で目についた館(パルメラ屋敷)を散策するうちに、ブリジットというお年寄りの女性と知り合うのです。
彼女がロビンにくれた一つの鍵。
それが物語の始まりです。

「あなたにとって本当に必要であれば、使い道は分かるはず」
そんなような事を言って渡される鍵ですが、ロビンにとっては宝物となる鍵なのです。
にぎやかな兄弟、想像しい現実から離れられる、ロビンの現実と空想の世界を繋ぐ鍵なのです。

そして、ロビンが見つけた『ビロードの部屋』は、ロビンの心のよりどころとなります。
その部屋で空想に浸ったり、本を読む時間こそが、ロビンが自分自身を保つための空間となるのです。

ロビンも雇い主の令嬢、グエンと友達になったり、ブリジットと心を通わせたりするのですが、生きている人よりも、部屋に心奪われるロビンのことを、ブリジットは心配するのです。
ある日、お父さんの仕事の都合で、ラス・パルメラス村を引っ越すことになった時、ロビンは大きく葛藤し、そして成長するのです。


この本には、二重の楽しみがあります。
一つ目は、本自体を楽しむことが出来ること。
二つ目は、本の世界の中のロビンになって、ロビンと共に空想世界を味わうことが出来ること。

私も空想世界に飛んだ経験が沢山ある少女時代だったので、ロビンのことを自分のように思えたのでしょう。この本は、そんな空想世界を楽しむだけではなく、ふと書き留めたくなるような言葉にめぐりあえるのです。

例えば、こんなくだりがありました。

お金が入ったら、色々と買いたいものがあるという兄弟。
でも、ロビンはそんな兄弟を冷めた目で見つめるのです。
そんなロビンに対して、お父さんが「お前がいちばん欲張りだ!」と言うのです。
これは衝撃です。もちろん、ロビンにとっても。物をほしがらないロビンが欲張りなんて…。
そこでロビンは思いを馳せるのです。
「私は確かに欲張りだ。いつも満たされていない。いつも何かをほしがっているのだ」と。
お父さんから見たら、物をほしがる子供は単純に感じられたのでしょう。そして、物の方が簡単に解決できる欲なのかもしれません。
この視点にドキッとさせられました。

私も同じようなことを感じたことがあるのです。
色々なものが沢山あるのに、何かが足りないと思ったこと。
誰もがあるのではないでしょうか。
そのポカンと空いた大きな穴は、誰かが埋めてくれるのではなく、自分しか満たすことができない穴なのだと気付いたのは大人になってからです。

他には、うるさいと思っていた弟が傷ついた時、決してスッとした嬉しい気持ちにはならなかったこと。
そんな複雑な気持ちを、壊れないように、そっと丁寧に解き明かして行く場面などが、とても繊細で素敵だったのです。
自分の中の本当の気持ち。
沢山の思いや情報に埋もれている真の気持ちを、大事に破れないように開いて行く。
そんな場面に心が惹かれました。

私は心に残ったページにポストイットを貼りました。
またいつか読み返した時、その部分に目がとまるのでしょうか。

この本は、ある意味隠れ家的な面白さがあり、貧しい時代の生活や環境、友情なども面白く読めるのです。
その中に、そっと、子供が嫌にならない程度に、内面的な要素が丁寧に描かれています。
ですから、ロビンと同じ12歳で読んだとしても、中学生になって読んだとしても、大人になって読んだとしても、読み応えがある本だと思うのです。

興味がある方は是非、図書館で借りて読んで欲しいと思います。
ちなみに私は図書館で読んだ後、どうしても手に入れたくて、絶版となっているので、アマゾンの中の古書出品から購入しました。(高くなかったので良かったです)

私だけかもしれませんが、「秘密」って何だかワクワクしませんか?
バーネットの「秘密の花園」が大好きで、何十回も読み直し、海外ドラマや映画になるとそれを録画して、何度も観たものです。
鍵を開けると、そこに花園があったシーンなど、今でも心ときめきます。

そんなときめきを感じる一冊でもありました。
素敵な本との出会いは、どこに落ちているか分かりません!
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エリザベス エンライト, Elizabeth Enright, Irene Haas, 久保田 輝男, アイリン ハース
ひかりの国のタッシンダ

読み聞かせるなら幼稚園から。
自分で読むなら小学校2、3年~の童話です。

あらすじを簡単に。
白い髪の住人が住む国、タトラン国は、濃い霧が国を守ってくれていました。
そこに、鳥が赤ん坊を運んできたのです。それがタッシンダという女の子です。
金色の髪の彼女は一人だけ違う髪の色に悩むのですが、もっと悩んでいたのが、養父、養母です。
タッシンダをとてもとても可愛がるのですが、あの髪の色では嫁の貰い手がないのでは…と悩み、魔女に相談に行くくらいです。
そして、タッシンダは織物の才能がずば抜けていて、心も優しく、知能も明晰な少女に成長するのです。

安心して子供に読み聞かせできるストーリーです。
挿絵もとても綺麗で、大人にとっては先が分かる展開であっても、豊かな味わいがある子供向けファンタジーの良作だと思います。
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堀口 香代子, エリザベス・エンライト, Elizabeth Enright
ゆびぬきの夏




1930年代のアメリカ中北部の農家が舞台。
すごく昔に感じる時代背景にも関わらず、その健康的な内容が素直に心に入ってきました。

日照り続きで雨が降らないと、請求書のお金が払えない…。
請求書を手にしたお父さんの姿を見ると、10歳のガーネットの心は痛みます。

そんなある日、日照りでひあがった川の泥の中から銀のゆびぬきを見つけたのです。
指ぬきというのは、裁縫に使うゆびぬきで、鐘の形をした物です。

宝石を見つけたかのように嬉しくなったガーネットは、この指ぬきは魔法が使える! とひらめくのです。

まさに、その日、大雨が降り始め、お父さんの農場は災厄から逃れるのです。
そして、エリックという、とてもしっかりとした孤児の少年が迷い込んできて、一緒に働いてくれることになるのです。

この小説は、大きな事件が起きる訳ではなく、農場に暮らすガーネットという少女の日々(ちょっとした冒険をしたりもしますが)、人とのふれあい、出来事を綴った小説です。

最近の重いテーマの日本の児童文学を読んだ後、何とも言えない清涼感を感じました。

ガーネットは物語の最後に、沢山のハッピーなことが起きた夏を振り返って、とんぼ返りをぴょんぴょんとするのです。
その姿を思い浮かべると、子供は心配や不安も抱えつつ、こうして元気に明るく生きる力を本来は持っているんだろうなと思ったのです。

貧しくても全てが不幸という訳ではなく、現在の日本にない、心の余裕を感じました。
この本をひと言で説明すれば、「素直で伸びやかで健やかな小説」と言い表せるような気がします。

最後に豚の赤ちゃんの「オロオロちゃん」が品評会で賞を取るのですが、その賞品を、どう使おうかと考えるシーンがあります。
みんなでお祝いして、後は貯金をしよう。お兄ちゃんにアコーディオンも買ってあげたいし、いつか日照りが続いた時、お父さんに来た請求書を払ってあげられるかもしれない。
と、家族を思うガーネットの気持ちが、とても暖かく、こんな風に育つには何が大事なんだろうか、と、また日本の子育てを思い返した私でした。

アメリカの児童文学賞である、ニューベリー賞を受賞しています。
参考までに、挿絵もエンライト本人の絵ですが、とても繊細で、可愛らしい絵を眺めるのも楽しかったです。
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