金のゆりかご (集英社文庫)/北川 歩実

¥940
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実は読んだのは、ずいぶんと前なので、内容がおぼろげなのですが、とにかく衝撃的な内容で面白く、天才児教育とは善か悪かを、深く掘り下げたテーマで書かれた本でした。

人間が持っている「良い遺伝子を残したい」という本能を刺激する内容です。
そして、読みながらひしひしと恐怖が芽生えてきます。

書店で山積みになっているのを見て、これだけの名作が今まで埋もれていたことに気付きました。
文庫になり、多くの人の目に触れることが、とても嬉しいです!

知的ミステリーがお好きな方でしたら、読んで損はないと保証します。
良かったら読んでくださいね!

お勧め本を見かけた喜びで、再読せずに投稿することをお許しください。
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君たちに明日はない (新潮文庫 (か-47-1))/垣根 涼介

¥620
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借金取りの王子/垣根 涼介

¥1,575
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最近、お気に入りの作家さん、垣根涼介さんの連作短編集2冊です。
村上真介はリストラを請負い会社の、リストラ担当営業マン。
聞き慣れない職業ですが、会社に変わって、社員の素性を調査し、リストラ候補を絞り、面接をして自主退社に持ち込む営業マンです。

色々な会社の事情、そこに勤める社員たちの悲喜こもごもの生活、人物像。
それに絡めて、村上真介のキャラが生きてます。
イケメンといえばイケメンで、ちょっと軽い感じの年より若く見える、苦労知らずキャラだけど、実際はかなり冷静で頭のキレる男性です。
でも、世の中をちょっと舐めている所があって、その飄々とした部分が、リストラを告げるキャラに向いているのでしょう。

続巻を心から待望している、良く出来た短編集です。騙されたと思って一度読んで欲しい作品たちです。
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ワイルド・ソウル〈上〉 (幻冬舎文庫)/垣根 涼介

¥720
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ワイルド・ソウル〈下〉 (幻冬舎文庫)/垣根 涼介

¥720
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もう、手放しで大絶賛の本です。
本当に面白かった。テーマ、アイディア、スピード感、登場人物像、構成など、文句のつけどころのない作品です。

私は乱読タイプなので、色々な本を読んでもその後、細かいあらすじまで覚えていないのですが、読後に「この作品はすごい」と思った本のタイトルと読後の印象は記憶しているです。
私の好みも入りますが、このワイルドソウルはそんな感動を覚えた一作でした。私個人の「ミステリーベスト10」に入ります。

あらすじです。(アマゾンより抜粋)
1961年、政府の移民計画の中、衛藤一家は希望を胸にアマゾンへ渡った。
しかし、彼らがその大地に降り立った時、夢にまで見た楽園はどこにもなかった。
戦後最大級の愚政“棄民政策”。
その四十数年後、三人の男が東京にいた。
衛藤の息子ケイ、松尾、山本—彼らの周到な計画は、テレビ局記者の貴子をも巻き込み、歴史の闇に葬られた過去の扉をこじ開けようとする。


ケイは衛藤の移民仲間の忘れ形見です。発見した時は、言葉も喋れない野人と化していた子供でした。
松尾は、両親が目の前で殺され、命からがら、マフィアに助けられ育てられた男。
山本も、同じく、極貧を経験している高齢の男性です。

実は、この作品を読むまで、私は、ブラジル移民についてほとんど知識がなかったのです。
まさか、ありもしない楽園のビデオを見せ、純粋にそれを信じた善良な日本人を大量に船に乗せ、人間が住めない未開のジャングル放り込み、その後は知らぬ存ぜぬで、日本領事館でさえ助けを乞う日本人をたたき出すほど、残酷なことをしてきたとは…。

大勢の方が亡くなり、生きていても乞食同然の暮らしをするしかなく、その現実にビックリしてしまいました。もちろん、一部成功した方もいらっしゃったとは思いますが。

まだテレビも普及していないので、世界の情勢を知らず、お人好しの日本人が夢を抱いて船に乗ってしまうことを、誰が責められるでしょうか。
棄民と言う言葉も初めて聞きましたが、以前、朝ドラで「おしん」を見た時、明治時代には、口減らしのために子供を売りに出す親がいたことを知り、日本が戦後変わっただけで、その前はかなり貧しく公平ではない国だったのではないでしょうか。
色々な事を考えさせられました。

さて、物語は、このような移民の現状を前半にすさまじい描写力で書き、そして、現代の復讐作戦にもつれこみます。どこまでもユーモアを忘れない復讐作戦は、犯人たちに誰もが共感し、肩入れすることでしょう。

ネタばれになってしまいますが…



物語はハッピーエンドなので、安心して読んでください!


ああ、本当に面白く、素晴らしい作品でした。だから、読書はやめられません。


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午前三時のルースター (文春文庫)/垣根 涼介

¥620
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この本もミステリー好きの友人からの紹介で読みました。
デビュー作だそうですが、面白かったです。

まず、海外にとっても詳しい方なんですよね。実際に行っていないと書けないような内容でした。
作者のHPを見たところ、かなり海外旅行をされていて、そのプロ顔負けの写真も見ることが出来ました。HPもお勧めです。

さて、話しは戻ってこの本の話しです。

ベトナムで行方不明になり死んだと思われている父親が、ベトナムの観光ドキュメントに映っていた!
それを観て、父親探しのためにベトナムへ行こうとする利発な少年と、依頼されたガイド役の主人公の旅行ミステリーです。

出てくる登場人物が、かなり魅力的です。
利発な少年も、ガイド役の正義感があり賢い主人公。遺産で暮らす風変わりな友人。ベトナムで知り合ったタクシー運転手と娼婦。
どの人も魅力があるのです。

そして繰り広げられるマフィアとの逃亡劇。
文章で読むだけでもかなり臨場感があり、文才を感じました。

デビュー作なので、ちょうど読みやすい長さなのでお勧めです。中だるみなく、父親の失踪の謎とベトナムという国柄、頭脳を使った逃亡劇など、読みどころは沢山あります。

またこの作家さんの本を読みたいと思っている私です。

最終退行 (小学館文庫 い 7-1)/池井戸 潤

¥690
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新たな作家さんを発見しました!
もちろん、私が知らなかっただけで、ご存知の方も沢山いらっしゃるかと思います。
私、この作家さんにかなりはまりそうです。本当に面白い!(特に男性にお勧めかも)

エリートコースからはずれているが、とても正義感の強い東京第一銀行の副支店長・蓮沼が主人公。行内で不穏分子の遠山がリストラされる。この遠山がかかわっていたのが、金塊を引き上げる夢を追う小さな零細会社。
この会社を調べるうち、自分の銀行の幹部に結びつき、巨大な陰謀を知ることになるのです。


まず、銀行内部の様子が面白い。そして、全く知識のなかった、手形や融資のことなども分かりやすく書いてあるので、とても興味深いです。
タイトルになっている「最終退行」とは、銀行から最後に出る人(鍵をかける人)のことだそう。
主人公は過労死するんじゃないかというくらい、働いていました。

この本の面白さをうまく説明出来ないのがもどかしいですが、勧善懲悪、正義感、社会派、融資トリック、派閥争い、などの言葉に反応する方は是非!

次はこの作家さんのどの本を読もうかな~。ワクワクです。


乾 くるみ
イニシエーション・ラブ (ミステリー・リーグ)

久々に、やられた~! と嬉しい悲鳴をあげて読んだ一冊です。
恋愛小説ではあるのですが、すごく丁寧に、一つ一つの事柄や心の動きまで綴ってあり、丁寧すぎるくらい。
でも、いかした言葉で語る恋愛ものではなく、もっと日記帳のような匂いのする文面が、逆に面白さを引出しています。

飽きることなく最後まで読みつつも、何かしかけがあるらしいと、所々で違和感を感じつつ、最後にそうだったのか! と分かった時の喜び。
そして、もう一度、最初から斜め読みではありますが、読み返しました。

友達に教えたくなっちゃう本です。
もちろん、絶対にどういうしかけかは言えませんが。

あれこれ考えすぎると面白さが半減するので、読んでいない人は、ネットでネタばれを目にしないようにして、先に先入観なく読んで欲しいと思います。
ちなみに、私は読んだ後で、ネットでネタばれサイトを読んで胸のつかえをおろしました。

アマゾンの紹介文を転記しておきますね。 ↓
文庫本は現在、品切れのようです。

あ~、でも、面白かった!!

大学四年の僕(たっくん)が彼女(マユ)に出会ったのは代打出場の合コンの席。
やがてふたりはつき合うようになり、夏休み、クリスマス、学生時代最後の年をともに過ごした。
マユのために東京の大企業を蹴って地元静岡の会社に就職したたっくん。
ところがいきなり東京勤務を命じられてしまう。
週末だけの長距離恋愛になってしまい、いつしかふたりに隙間が生じていって…。

目次から仕掛けられた大胆な罠、全編にわたる絶妙な伏線、そして最後に明かされる真相…。80’sのほろ苦くてくすぐったい恋愛ドラマはそこですべてがくつがえり、2度目にはまったく違った物語が見えてくる…。




井上 尚登
リスク (角川文庫)

3編からなる短編集ですが、予想と違って、ブラックユーモアも含んだ、ユーモア短編集でした。
テーマは、日常生活に潜むリスク。

1話  郵便局に勤めていた父が亡くなった後、貯金がなくなっていることに気付き騒然となる。なんと、父は、貯金を崩してインターネット株取引をしていたのだ…。

2話 ある日住んでいた社宅から出なければならなくなり、家を買うことにした主人公。子供は2人の4人家族。住宅展示場に行くと、夢のような家。まさに夢ではなく現実にしようと夫婦で家探しの奔走がはじまる。

3話 別称「リストラ村」に異動になったロボット技術者の三好。ところが会社のネットワークにウィルスメールがばらまかれて会社は騒然。あることがきっかけでリストラ村が脚光を浴びることに…。


どの話も本当に面白かったです!
電車の通勤時間に読むにはちょうどいいかも。



井上 尚登
クロスカウンター

この作家さんを私が読むのは、デビュー作以来、2冊目になります。
間が長く空いてしまい、どんなタイプの作家さんだったか、はっきり記憶していないのですが、軽いタッチで書かれた本で、とても引き込まれました。

元大手外資系証券会社アナリストの七森恵子は、ある事件をきっかけにフリーの金融探偵に転身した。数々の潜入調査のなかで、ひとりの天才詐欺師の存在に気づいた恵子は…。

コンゲームのような金融詐欺事件を扱う、潜入探偵の本ですが、5作の連絡短編で出来ています。

正直なところ、1作目はとても面白かったのですが、その後の展開があまりにうまく行き過ぎて、謎の夫人の正体や、詐欺の黒幕の正体など、色々と興味はあったのですが、引っ張る力は弱かったように思います。

ただ、ストーリーとして読ませる何かを持っている作者だと感じました。

金融詐欺は普通の人でも騙されてしまう世界だと思います。
知識があったらあったで、なかったらなかったで、引っかかるかもしれません。

この作者の他の本も読んでみようと思っています。



海堂 尊
ナイチンゲールの沈黙

第4回『このミス』大賞受賞作、25万部突破のベストセラー『チーム・バチスタの栄光』に続くメディカル・エンターテインメント第2弾!
バチスタ・スキャンダルから9ヵ月後、愚痴外来田口&ロジカル・モンスター白鳥コンビが帰ってきた!


という前置きのシリーズ第2作目です。
主人公である不定愁訴外来(愚痴外来)医師、田口公平と、厚生労働省の変人・白鳥圭輔が組んでの事件解決物。
今回は主役がナースの小夜になっているため、二人の出番はあまり多くありませんでした。
また、ここに小児科と、大きな病をかかえる子どもたちの出現で、内容を深くしています。

田口先生は、頭がいいけれど、出世は出来ないタイプ。寡黙だけど、そこが聞き役には最適なのでしょう。
そして、キツくて鋭いマイペースの白鳥さんも面白いキャラです。

今回は、登場人物が多かったため、2人の出番が少ないのが残念。
でも、十分に楽しめました。
これだけ存在感のあるキャラを作ると、続編が楽しみになりますね。
作者も筆が勝手に動いているというような、滑るような文面で、あっという間に読む事が出来ました。

もし、本作が初めという方は、是非、前作の「チーム・バチスタの栄光」から先に読んでもらいたいと思います。前作はかなり秀作でした。

作者の海堂さんは現役の医師ですが、頭が良くて、何より気配りが出来る偉ぶった先生ではないと感じます。そうでないと、なかなか謙虚な文面にはならないですよね。

病院物が面白いのは、内部事情が分かるから。
現役医師が立場もあるのに、ギリギリの部分まで書いてくれているのは、好感が持てます。

今後も期待の作家さんの一人です。


荻原 浩
神様からひと言

先日読んだ「あの日にドライブ」に次いで、私の作者2冊目となる本です。

軽快でテンポある文章はとても読みやすく、笑ったり納得したり。
でも、自分と重ねられないのは、主人公が男性だからか、構成があまりに上手過ぎるからでしょうか…。

あらすじは以下です。

同棲した彼女に振られ、勤めていた代理店も辞めて、老舗の「珠川食品」に再就職した凉平。
本来のきかん気な性格のため、首切り部署でもある「お客様相談室」へ左遷されてしまうのです。

お客様相談室でのクレームの嵐に最初は辟易するのですが、彼がすごいのは、学ぶ力があること。
そして、めげないこと。
この2つは生きる力そのものです。

いつしか、クレーム処理のコツも掴み、その成果を買われて本部に戻る光明がさすのですが…。


クレームの数々と、謝罪の要領など、参考になることが多々ありました。さすが作者はサラリーマン経験者ですね。
主人公は負けん気が強くて、損も多いけれど、同僚には好かれる一途なタイプ。
この主人公にも好感が持てました。

飽きずに最後まで持って行って、ラストも爽やか。
作者の意図に乗って、読まされてしまいましたが、それもまたいいのかなと思います。

確かに地雷が埋まっていない日本です。色々なことを選ばなければ食べるに困ることはないでしょう。(多分)
そう考えれば、悩むことも迷うことも少なくなるはず。シンプルに生きよう。大事なものだけを離さないようにして。
そんな作者のメッセージが心地よかったです。

2作読んで思ったのは、荻原さんは社会人を経験しているので、視野も広くて常識人。
だからこそ、安心して読める作家さんです。


次は何を読もうかな!