白い猫のハートの足跡

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しゃぼん玉 (新潮文庫 の 9-36)/乃南 アサ

¥540
Amazon.co.jp

久しぶりに乃南アサさんの本を読みました。

あらすじです。
家庭環境の悪さと、上手くいかない人生に自暴自棄になり、通り魔をして暮らす学生、伊豆見翔人。
ある時、通り魔をした女性を予想外に深く刺し、逃亡した先は宮崎県の山村。
スマというおばあちゃんの家に滞在することになった翔人は、1年に1度の大きな祭りの準備にかり出され、若者のいない村で自分の存在感を感じ、役に立つことの喜びを覚えて行くのだが…。


自分に価値を抱けないまま、自暴自棄になっている性根の腐った青年。
でも、本当に腐っている訳ではなく、その奥にはまだ諦めきれていない善良な部分も残っていたのを、人から信頼されることで思い出して行く過程が、とても丁寧に書かれていました。

読み進めると、この青年が身を持ち崩して行く様子が、とてもリアルに伝わってきます。
まず、親から大事にされなかったこと。自分はどうせダメだと思い込んでしまったこと。
やってもダメだからやるだけ損だと思うようになってしまったこと。
こんな自分どうなってもいいと思ったからこそ、人からお金を盗ることに深い罪悪感を感じなかったこと。つまり、親のせい、社会のせいにして、逃げているのです。

甘えだというのは簡単ですが、こうなっていく過程は良くある思考回路にも思えました。
人は自分が大事にされる存在であり、価値がある存在だと思えない時、こんな風に身を崩して行くのかもしれません。

逆に自分が大事であれば、他者も大事に出来るし、漠然とした未来を信じることも出来るのでしょう。

家庭というものの重要性を改めて感じました。

中編程度の長さでしたが、読みやすく一気に読んでしまいました。そして、作者の意図にはまってしまい、最後はジーンとなってしまった私です。

こんなに簡単に更正するものかと突っ込まれるかもしれませんが、人が家庭で大事にされないという部分でつまづくのであれば、自分の価値を認識さえすれば、更正することも可能ではないのかと思うのです。
突っ込まず、素直な気持ちで読んで頂ければ楽しめる本だと思います。


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林 真理子
ウーマンズ・アイランド

今、一番新しいトレンディな場所、お台場をメインに、そこで働き、暮らす人々の本音と、生活。

林さんらしい、女性の嫌な部分や本音が描かれていて面白かったです。


連作短編なのですが、どの短編にも登場する俳優(かなりのプレイボーイ)。

私的には、ラストの俳優の独白はいらなかったかな。

謎のままでいた方がリアルでした。

かわいそうな生まれや育ち、依存症の事実など、あまり興味なかったかな。

単に女好きでいいじゃないかと思うのですが。

多くの男性がそうなのだし、美貌とステイタスとお金があれば、それを利用するのもまた一つの生き方ですし、意味をつける必要も言い訳する必要もないかなと感じました。


どの短編も、お台場を絡めて、生き生きとしたたかに生きる女性が登場します。

でも、なんとなく怠惰さが伝わるのは、林さんの腕のよさでしょうか。


面白かったけれど、2度は読まないなと思いました。

林さんの小説でも、何度も読もうと思うのもあれば、読み流して終わってしまう小説もあります。

そう、俳優が一夜の遊びをするかのように、一度読んで終わりの小説もあるのでしょう。

そして、それがつまらないからではなく、そういう読み方をされる意味のある小説だと思うのです。


相変わらず、林さんは文才があってすごいなあと感動。

読み流しながらも、文のうまさに舌を巻きました。



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乃南 アサ
晩鐘〈上〉
乃南 アサ
晩鐘〈下〉

久し振りに大作を読んだ感が強かった本です。

以前出版された「風紋」の続編です。

「風紋」は、不倫の果てに母親が殺されて、殺された遺族の家族が世間に翻弄され、苦しみ、後悔し、あがき、もっていきようのない怒りと苦しみと悲しみに悶絶するような長編でした。


 今回の「晩鐘」はあれから7年。高校生だった主人公が社会人になるのですが、まだ心の中に空虚感と家族への怒りを秘めて、なかなか幸せにはなれません。

 人の喜びを妬み、家族を許せなく思いながら、恋愛に依存し、やっとのことで生きているのです。


 今回は犯罪者の家族の生活が表に出ます。

犯罪者の家族だから不幸になってもいいということはなく、本を読んで、小学生の大輔の人生に胸が痛くなりました。


 殺された遺族の家族は、それぞれに幸せを模索し、何とか生きています。

加害者の家族は、心を荒ませて、深い深い洞窟の中を生きているのです。

 

 何の責任もない子供たち。加害者の兄弟。妻。

 でも、加害者の家族、血を引くものとして、幸せになることは許されないのでしょうか…。


 厚い2巻組のラストを読んで、思わず、ジワッと涙があふれました。


 作者の乃南アサさんが、数年後に、この続編を書いてくれることを切に希望します。

大輔を幸せにしてあげて欲しいのです。このままではかわいそうすぎる…。

 

 かなり読み応えのある、重い小説です。精神的に余裕がある時に、是非読んでみてください。

先が気になって、眠る時間さえ惜しくなる程です。

心に残る文章もあり、ミステリーとはいえ、先が気になる面白さもありつつ、深く考えさせられる小説です。

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林 真理子

読みやすく、あまりに面白いので一気に読んでしまいました。

林真理子の醍醐味が生かされた、花柳界の話です。


主人公は知華子という30代後半のキャリアウーマンですが、その知華子が受け取る祖母の手記を読むという流れで進む一冊です。



女の幸せとは何なのだろうか芸者だった祖母と母、二人に心を閉ざしキャリアウーマンとして多忙な日々を送る知華子は、祖母の死をきっかけに、母と祖母の背負った哀しい運命を遡ることになる・・。

大正から現代へ、美貌の女三代の血脈の物語。(アマゾンより)

その手記が大半を占めるのですが、これが面白い。


昔の時代、親に売られることがあったということ。

(「おしん」も売られましたよね。花柳界ではなくて良かったものの)

なんとも残酷な時代だったと思いますが、読んでいてとても面白かった。

洞察力が鋭いものの、世の中の流れに逆らえなかった祖母、母親の賢さと愚かさ、そして知華子。


最後にああ、なるほどと思ったのは、子供を死に物狂いで産むということは、「もう一人の私」を作りたいということ。「私」をどんどん広げたいからこそ、子、孫と途絶えることなく血が続いて欲しいと願う気持ち。


自分が出来なかったことを、未来の自分が叶えてくれるのではないか。

未来の自分が幸せになってくれるのではないかという願い。


その必死さが、祖母の手記から伝わってきました。


私も祖母の気持ちが少しわかるのは、一人しかいない息子ですが、幸せになって欲しいと願っているのです。その幸せとは、私が「あの時ああしていたら」ということを踏まえての行動のようにも思います。

それが押し付けにならないように、見守っていかなくてはと自戒しています。


子供は親の思ったとおりには育たないのだな。


この本を読んで、つくづく思いました。

実際もそうだと思います。


そして、きっとそれが自然なことなのでしょうね。


手記形式で、人の秘密を読んでいるような気持ちにさせる本ですよ。読んでみてくださいね!

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著者: 林 真理子
タイトル: 夜ふけのなわとび

林真理子さんの痛快エッセイです。

週刊文春に連載された、林真理子さんの独壇場。

読んでいて、笑ったり、スッキリしたり、面白い人だなあと嬉しくなったり。


何より、林真理子さんは、気前がいいと思うのです。

自分のことを恥ずかしげもなくさらして、面白おかしく落としたり、ちょっとそこまで言わなくてもと自分をかばったり。なんとも可愛い人だと思います。


小説も好きだけどエッセイも面白いです。


このタイトル、この本を読めば分かりますが、林真理子さんご自身がつけたそうです。

ご自身がおっしゃるには、タイトルのセンスがあまりないとのこと。

でも、どの本のタイトルもすごく言い当てていていいものが多いと思うのです。

林真理子さんの上手な謙遜なんだろうなと思いました。


短いエッセイが盛りだくさん。

コーヒーのお供にどうでしょう!?

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著者: 林 真理子
タイトル: 女文士
 林真理子さんは、文章がうまい上に、女のいやーな部分を書くのがうまいですね。

 この本も、目をそらさずにえぐり出すっていう感じでした。

 この本の主人公「眞杉静枝」は、実在の人物。林さんの筆力がここまで暴くか!? っていうくらい冴えています。

 静枝は、かなりの貪欲な女性。
 綺麗に生まれたものの、それを上手に生かすことが出来なかった人生だと思います。
文才も美貌もあったのに、自分を上手く扱えなかったのです。

 まず、最初に、満州で、無理やり結婚させられたのが人生のつまづきの始まり。
正直、第三者から見て、静枝の母親の心配はわかるけれど、この男と結婚していなければ、こんなに波乱万丈な人生を歩まなくてもすんだのでは? と思いました。
 この本の内容を信じるなら、静枝の美貌、もてることに嫉妬した母親が、年上の魅力のない生真面目(でも、性病持ち)の男と無理に結婚させて、そのお陰で静枝は、性病をうつされて、子供を産めない体になったのです。
 読んでいて腹立たしくなるのは私だけではないはず。
 この時代、しょうがないのかな。
 静枝が、一人で計画して、満州脱出を試みて、自分だけの力で日本に逃げ帰ってきたのは、すごいと思いました。
 YMCAの宿舎に下宿したことも、編集者になったことも、実力だし、幸先のいいスタートだと思う。
 
 でも、武者小路実篤の愛人になったことが、悪かったんじゃないかな? この人の愛人になったからこそ、有名になった部分はあるけれど、人に依存しちゃうと、女性は弱いよね。運が逃げていくのが見えるもの。

 女性にも、男性の強運に自分の人生を乗せてうまく生きていける人と、自分の運だけで生きた方が幸せな人の2通りがあると思いました。
 間違いなく、静枝は後者なんだけど、前者の生き方を望んだがために、一生、つらい思いばかりの連続だったと思う。

 武者小路実篤と別れた後、若い恋人・中村地平に強引に迫って同棲するものの、最初から地平は逃げ腰。とうとう、静枝から逃げてしまう。
 
 妻に先立たれた芥川賞作家の、中山義秀を狙って結婚できたけれど、あまりに家事が出来ず、不潔で、気の利かない静枝に暴力をふるい、とうとう、静枝は逃げ出してしまう。

 最後は、借金と麻薬まみれになって、癌で死んでいくのだけど、沢山のものを求めて、それを得られずに、でも、好き勝手に生きた女性の生涯。

 図々しく、人の気持を考えず、欲望多き女性。
現実には絶対にかかわりたくないタイプの人だけど、どうしても見捨てられない人が周囲にいたのも確か。

 麻薬のような魅力があった女性なのかもしれません。

 実在の人物をテーマにした小説って、私はすごく好きなんです。人の人生を読むことで、得るものって多いと思うのです。

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著者: 林 真理子
タイトル: ミカドの淑女(おんな)

白猫はかなり林真理子さんの本が好き。

その理由は、林さんの文章が上手いこと。

率直なこと。

視点が女そのもので、かなりシビアな目線が読んでいて面白いこと。

ストーリーテラーであること。

読んだ後、読後感がサッパリとしていること。

などなど。


この本は、林真理子さんの本のジャンルで分けると、伝記(林真理子さんの視点が入っていますが)といえるのでしょうか。

他に、こういうジャンルの作品をあげると、「女文士」「白蓮れんれん」「本を読む女」

などでしょうか。

「女文士」はとにかく面白かった。

そして、「本を読む女」は林真理子さんのお母さんをかかれていて、最高傑作だと思ったものです。

(人は身近な家族をここまでかけないものだと思い脱帽)


さて、そろそろ本題に移りますね。

「ミカドの淑女」のあらすじです。(アマゾンより転載)


その女の名は下田歌子。

女官として宮廷に出仕するや、その才気によって皇后の寵愛を一身に集め、ついには華族子女憧れの的、学習院女学部長となった女。

ところが平民新聞で、色恋沙汰を暴露する連載記事が始まり、突然の醜聞に襲われる。

ここに登場するのは、伊藤博文、乃木希典、そして明治天皇…。

明治の異様な宮廷風俗を描きつつ、その奇怪なスキャンダルの真相を暴く異色の長編。

 

正直、私はあまり面白いとは思いませんでした。

この下田歌子さんに魅力を感じなかったからかな?


作中にかなりの頻度で出てくる「平民新聞」なるものも、読むに耐えず。

私の好みではないけれど、面白いと思う人もいると思うような小説でした。

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著者: 梨木 香歩
タイトル: 家守綺譚

私のとっておきの作家、梨木香歩さんが去年(2004年)に出版された本です。

実は、発売早々、アマゾンで購入したものの、何故か食指が動かず、そのままになっていたのです。

突然読み始めたのはちょうど一昨日のこと。

読んでいくうちに、何度、本を閉じたことか!

 

「このままスルスル読んでしまうのがもったいない!!」

 

という訳で、1篇たった数ページの連作短編からなるこの家守綺譚を、毎日少しずつ寝る前に楽しみに読んでいるのです。

ほんの100年前の物語と言いますが、日本のいい時代、のんびりとした、物の怪たちと共存していた時代(本当にそんな時代があったのかどうかはともかく)を、丁寧に描いていて、読んでいる読者も体験したかのように、目の前に花が咲き、古ぼけた家を想像し、化かした狸が目に見えるのです。

話の筋は…。

主人公の「私」はお金がない物書きのため、早く死んでしまった親友の家を家守という形で住ませてもらうのです。

引っ越してきた早々、サルスベリの木に惚れられます。

床の間の掛軸から亡くなった親友、高堂が船にのって訪れ、それが突拍子もないことではなく、ちょっとは驚くものの、平然とあたりまえのように会話するのです。

そう、そんな不思議が有り得る物語です。

今まで読んだ中では、白木蓮がタツノオトシゴを身ごもる話は、目の前に風景が浮かび、印象深いです。

梨木香歩さんのすごいところは、風景や四季を、目の前に情景が現われるように書く筆力だと思います。数少ない洗練された言葉から、におい立つような季節感を感じるのです。

この古い日本家と、池のある庭に咲く、木や花たちの精との触れ合い。

それが、ありえない現実ではなく、有り得るように思えるのが感動です。

日本人に生まれてよかったと思える、そんな醍醐味溢れる連作短編集です。

 

私はこれを読んで、今市子さんの漫画「百鬼夜行抄」を思い出しました。

物の怪、気、植物の精など、ありえないけれどありえるような、そんなことが現実に起こってもおかしくない昔の時代の、心地いい話です。

 

<目次>

サルスベリ
都わすれ
ヒツジグサ
ダァリヤ
ドクダミ
カラスウリ
竹の花
白木蓮
木槿
ツリガネニンジン〔ほか〕

 


梨木香歩さんのほかの本はこちら


りかさん  

西の魔女が死んだ 

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著者: 永井 するみ
タイトル: 枯れ蔵

音大を中退して、農業大学を卒業した異色のミステリー作家、永井するみさんのデビュー作です。
第1回新潮ミステリー倶楽部賞受賞作。
この賞を受賞した作品はかなりレベルが高く、チェックしている賞なのですが、永井さんのこの作品は、あまり見かけない「農業ミステリー」です。
専門の知識があればこそ、書ける作品だと思い、とても興味深く読みました。

あらすじです。

富山の有機米農家の水田に、日本に存在しないはずの害虫「T型トビイロウンカ」が異常発生した。
有機米使用の商品を企画した食品メーカー社員、映美は調査を開始するが、その矢先、友人であるツアーコンダクターの不可解な自殺を知る。
友人の自殺と、害虫騒動が結びついて、より一層謎が深まっていく。


知識がないので害虫のことなど理解はできませんが、だからこそ面白いです。
自分の知らない分野のことを読めるから、本って面白いなとつくづく思うのです。

永井するみさんの他の作品はこちら。
「ソナタの夜」

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著者: 永井 するみ
タイトル: ソナタの夜

デビュー作 「枯れ蔵」から毎作、楽しみに読んでいる永井するみさんの新作短編集です。

最近はミステリーではなく、新境地として恋愛物を書かれています。
恋愛ものとは言っても、大人の男女の心の機微を描いているという雰囲気です。

この「ソナタの夜」の恋愛は、全編が不倫の恋愛です。
男のずるさと女のしたたかさがうまく混じりあい、永井さんならではの芸術の知識を交えた、30代、40代、50代が主人公の大人の恋愛ものです。

不倫がいいかどうかはここでは唱えませんが、文学としては成功していると思うのです。

若い時代には出来ない恋愛。
それは、相手に対しても自分に対してもある意味諦めて達観していること。
相手に多くを求めないこと。
自分の気持ちを自分でうまく騙せること。

でも、そんな風に達観しているけれど、心に浮かぶ嫉妬や好きだという思いは、年齢を重ねても変わらない感情で、それをどう料理するか、永井さんの手の内を是非読んでみてください。

7つの短編全てにちょっとした謎が隠されていて、それも物語に意外さや面白さを加えていると思います。

永井するみさんの他の作品はこちら
「枯れ蔵」
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