白い猫のハートの足跡

ハートフルな本が好き



ハートフルな人が好き



ハートフルな生き方が好き


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ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
いつか晴れた日に

先日、ジェーン・オースティン原作の映画「プライドと偏見」を観たばかり。
感化されてしまい、同じ原作者の、「いつか晴れた日に」を借りて先週末観ました。
私としては、この「いつか晴れた日に」の方が脚本も俳優陣も良く、まさにお気に入りの一作になりました!

あらすじを簡単に。

19世紀のイングランド。
ダッシュウッド家の主人が亡くなり、相続権のない妻と娘3人は、屋敷を追い出され、山荘に引っ越すことになるのです。
理性的で奥ゆかしい長女、エレノア。美人で明朗で積極的なマリアンヌ。そして、まだ幼い三女の三人姉妹と、優しい母親の家族です。

今回も結婚こそ女の生きて行く術となる時代の恋物語ですが、まず、長女エレノアは、家屋敷を奪い取った悪女? ファニーの弟、エドワードと恋をします。
エドワードも優しくおとなしい本が好きな青年ですが、ファニーに二人の恋が育たないように邪魔をされて
しまい、成就しないのです。

次に可愛いマリアンヌですが、年のいったブランドン大佐がマリアンヌに一目惚れをするのですが、マリアンヌは若くて魅力的なウィロビーに夢中になってしまうのです。

すんなり進まない恋にハラハラしたり、悲しくなったりしながらも、この時代背景や、綺麗な風景を楽しむことが出来る、本当に素敵な映画です。


この作品で主演のエマ・トンプソンがアカデミー賞の脚本賞も受賞しています。
特典映像で、アカデミー賞受賞のスピーチが入っているのですが、ユーモアたっぷりのスピーチは必見です!
エマ・トンプソンは多才な方なのですね。

また、人格の素晴らしいブランドン大佐。
どこかで見た顔だと思ったら、ハリーポッターシリーズで悪役名高い先生ではないですか…。
今ではすっかり悪役ですが、この映画では素敵な紳士です。

どの世代の人にも受け入れられる映画です。
私はきっと購入してしまうだろう…という予感がしています。
何度でも観たい映画の一つとなりました。
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ジーン・クレイグヘッド ジョージ, Jean Craighead George, John Schoenherr, 西郷 容子, ジョン ショーエンヘール
狼とくらした少女ジュリー

1973年アメリカニューベリー賞受賞の作品です。

この本も紹介して頂き読んだのですが、本当に面白かった!!
いえ、面白かったという言葉では申し訳ないくらい、感動で胸が一杯に。
読みながら、主人公と共に寒い北極圏を旅している気持ちになり、夢中になって読み進みました。
私が普段読むジャンルではないので、自分では探すことが出来なかったことでしょう!

ジュリー(マヤック)はエスキモーの13歳の女の子。
父も母も死に、父が決めた許嫁と結婚したのですが、その暮らしに馴染めずに、サンフランシスコに住むペンフレンドの元に行くため、ツンドラを横切ろうとするのです。

彼女のお父さんはエスキモーの中のエスキモー。
厳しい寒さの中、生き抜く知恵をジュリーが子どもの頃から教えてくれていました。
ジュリーは最小限必要なものだけも持ち、ツンドラの極限の寒さの中、寝床を作り、獲物を穫って生き抜くのです。

この本の中での一番の軸は、狼と心を通わす部分でしょう。
飢え死にしそうになったジュリーは、狼の群を観察し、誰がリーダーかを見抜き、群での力関係を観察するのです。そして、狼の言葉、動作を勉強し、自らリーダー狼、アマロクの懐に飛び込んで行くのです。
もしかしたら、殺されるかもしれないのに…。

そして、ジュリーはアマロクの子ども、カプと仲良しになり、狼の群と共に、着かず離れず生きて行くのです。
狼のリーダー、アマロクの勇気、愛情は、頭が下がるばかり。
人間が無くしてしまった物を、狼たちは持っているのです。
人間と狼がここまで心を通わせ合い、信頼し合えるということに畏れのようなものを感じました。
そして、本を読み進めれば、人間を憎いと思うのが私だけではないはず。

作者のフィクションですが、フィクションとは思えない程、リアルでした。体験談かと思う程、目の前に極北の地が見えてくるのです。
おまけに、ジュリーの知恵のすばらしいこと。
動物の毛皮が暖かいのは当然ですが、自分で穫った獲物の皮をはいで、テントを作ったりコートや手袋を作ったり。これだけで零下40度の野外でも寝泊まりし、歩いて行けるのだと思うと、驚きます。

ちなみにジュリーは狼から一方的に守られる訳ではなく、ジュリーも狼を守るのです。
お互いにお互いを思いやる愛情は、本当に素晴らしかったです。

まさか私が北極に行くことはないでしょうけれど、狼と心を通わせることが出来れば、生き延びられるのかも…と非現実的な空想をしてしまいました。

この作品は三部作のうちの最初の一作目ですが、二作目以降は邦訳されていないようです。
この後ジュリーはどうなっていくのでしょうか。

多分、私が色々と書いても、この本の感動は伝えられないと思うのです。
百聞は一見にしかず。
是非、実際に読んで頂きたい、一押しの一冊です。

中学生でしたら読めると思います。
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三島 由紀夫
夏子の冒険

私が三島にはまったのは20代前半の頃。
私の本好きの友人が三島にはまり、紹介してくれたのです。
「イメージと違って、とても読みやすく、面白いから!」 と言って紹介してくれました。
そして、三島がまさに天才だと、友人が絶賛していたのを覚えています。(その時紹介してくれたのは、「女神」という本でした)
現在でも、まだ読んでいない本はあるのですが(例えば豊穣の海シリーズなど)、この時期に一気に読んだ三島は、私にとってある意味、忘れがたい、すごい作家さんでもあります。

さて、その友人が紹介してくれたのが、この「夏子の冒険」という本でした。
友人がその時、私(白猫)には色々な面があって、ある一面に「夏子」を感じると言ってくれたのです。
読んだ後、まだ若かった私自身も、同じ年頃の夏子に共感したことで、とても記憶にある一冊なのです。

さて、私はこの本を2回読んだ記憶があります。
1度目は20歳になってすぐの頃、そして、2度目は今から5年程前でしょうか。
その後、読んでいないので、実はあまりハッキリと詳細を記憶していないのです。
でも、是非、この本を紹介したくて、うろ覚えながら書いている状態です。(そんな状態で紹介することをお許しください)

三島には、いくつかジャンルがあって、いわゆる純文学、誰もが手にとりやすい大衆文学、その他エッセイや日記などがあります。
この「夏子の冒険」は大衆文学に属していて、とても読みやすいのです。

連載が昭和26年と本には書いてありますから、今からちょうど、56年前となります。
細かな時代背景は確かに古いけれど、心理描写など、現代にも通じて、人間は時代を経ても変わらないんだなと感じさせてくれると思うのです。
私が読んだ時も十分、古かったけれど、その古さが昭和の時代の良さを感じさせてくれました。(他にも昭和の元華族の話など、面白い本が色々とあるのです)

夏子は色々なことに幻滅し、当時は結婚することが全てと思われていた時代に、その結婚もする気になれず、「修道院に入る」といい周囲を仰天させます。
そして、修道院のある函館に向かう船の途中で知り合った青年の目を見て、恋に落ちるのです。
その青年の意思に打たれ、一緒に熊狩りに行くのですが、最後に夏子がくだした決断は…。


この本での夏子の活き活きとした感性は、とても楽しめることと思います。
ハッキリと自分の意思を持った夏子に共感する人もあれば、なんだか我が儘だわ! と思われる人もいらっしゃるでしょう。

私個人としては、「決断したら未練なし! 」という潔い夏子の横顔を思い浮かべて、うんうん、とうなずいて読んだことを最後に付け加えます。

他にも三島文学にはお勧めが沢山あります。
また機会があったら紹介させてくださいね!
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ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン
プライドと偏見

ジェーン・オースティン原作の『高慢と偏見』または『自負と偏見』をキーラ・ナイトレイ主演で映画化したものです。
原作を読む前に、DVDで鑑賞しました。
私個人として元々、中世や18世紀を舞台にした映画は好きなのですが、この映画もなかなか素敵でした。
まず、映像が綺麗ですね!
そして、古い時代背景なのに、色褪せないストーリーが魅力的です。

結婚が、女性にとっての就職のような考えが時代背景にあります。
女性にとって、経済的にしっかりした相手と結婚することが、唯一の生きる道。
この映画でも、5人娘を持った母親が、キャラクターとしては愚かだけど、必死で娘たちを結婚させようと右往左往する様が、逆に愛らしく思えました。

長女は美人で男性にもてるのですが、主役の次女、エリザベスは賢く、自立した女性です。
他の姉妹はちょっと愚かな母親似なのです。
この長女、次女の2人の恋と、愚かだけれど、愛すべき家族の話を中心に描かれていきます。

2時間の映画では、きっと語れない程の世界があるのではないか、と思い、是非、原作を読もうと思った私です。
そして、原作を読んでいないものの、キーラ・ナイトレイはこの役には不適当だったのでは? と思ってしまったのです。彼女は綺麗だけど、演技からは自分の浅知恵だけで相手を攻撃する、傲慢で短気な性格しか感じ取れなかったので残念でした。きっと、エリザベスはもっと知的な美女ではなかったのかな? と思ってしまったのです。

原作を読んだら、また感想を書きますね!

ずっと以前に観た「エマ」も大好きな映画です。
現在、DVDは再販されていないようですが、グウィネス・パルトロウが演じた、やはりジェーン・オースティン原作の映画です。
若さ故に自惚れて周囲を傷つけてしまう女性が、年上の男性に本気で叱られることで、成長するという物語です。
「エマ」も素敵な映画でしたよ!
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ロバート ローソン, Robert Lawson, 田中 薫子
ウサギの丘

この本も、テリーさんが紹介してくださった本です。

私は図書館から借りて読んだのですが、その時のタイトルは、「ウサギが丘」でした。
図書館の閉架書庫から取り寄せた本は、今から40年前の初版本でした。
久しぶりに空気を吸って、本も喜んでいるように感じました。

フェリシモから再販されているので、子供の頃好きだった方は、再度読めたり、また自分の子供に読んであげたりと、2代で楽しめるでしょうね!
私が借りた図書館の本は、字が黒ではないのです。
茶の濃い色でとても目に優しく、こんな気の利いた本が昔はあったんだ! と感動しました。

そして、ストーリーの前に、もっと感動したのが、挿絵です。
ロバート・ローソン本人が挿絵を書かれているのですが、本当に本当に丁寧で、繊細で、温かくて、活き活きとしているのです。
この絵を眺めているだけでも、十分、価値がある本だと思えるくらい、動物たちの表情、動作に命が宿っています。

さて、物語です!

うさぎの子供、ジョージイを中心として、お父さん、お母さん、ウッドチャックのポーキイ、その他にも、モグラ、狐、コマドリ、ネズミ等など。
沢山の動物たちが個性豊かに登場します。
子供向けと侮ったらビックリします!
何しろ、動物たちは、本当に心豊かに、生きているのですから。

動物たちの資源だった「大きな家」と畑は長い間無人でした。
そこに人間が引っ越してくるという噂から、物語は始まります。

越してくる人がいい人間であれば、動物たちはゆっくりと過ごせるのです。
でも、悪い人間だったら…。
動物たちの、「ああでもない」「こうでもない」というやりとりの笑えること!

私がまず笑ってしまったのは、ポーキイが、「前に住んでいた人間たちは、かすですよ。かす。やっかいばらいができて良かったですよ」と言う台詞。
何だか、笑ってしまいました。
(この部分だけ書いても、微笑ましく思う感覚は伝わらないかもしれませんが!)

それぞれの動物たちが個性豊かな会話を広げる中、事件が起こるのです。
それは、うさぎのジョージイが事故にあって人間の手で連れ去られてしまったのです。
みんなの心は重く、暗く、沈んで行きました。
ある日、絞首台のようなものを見つけた動物たちは、いっそう、元気がなくなるのですが…。

物語は、完璧なハッピーエンドです。
私がとても素敵だなと感じたのは、あらゆる手を尽くして畑を守っている人たちよりも、動物を大事にする「大きな家」の住人が、その動物たちから守ってもらって、素晴らしい畑を作ることです。

あとがきを読んで、また嬉しくなった私です。
1944年にニューベリー賞(アメリカの児童文学賞)を受賞した時の言葉がとても素敵でした。

「もし、このニューベリー賞が美味しいお菓子だったら、私はそれを切って、いちばん大きなおいしいところを、ウサギのジョージイ坊やにあげたい。このお話を作ってくれたのは坊やだから」

ロバート・ローソンという方の人柄が伺える言葉でした。

読み聞かせなら幼稚園から。自分で読むなら小学校2年生くらいから。
是非、この広々とした世界を、お子さんと一緒に味わって欲しいな、と思う私です。


ちなみに、うちの息子は6年生ですが、あまり読書はしないのです。
まだ私の読み聞かせを喜ぶので、この本を読んであげたいな、と思っている所です。
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小比賀 優子, 中村 悦子, Zilpha Keatley Snyder, ジルファ・キートリー・スナイダー
ビロードのへやの秘密

私の中で、海外児童文学に再び目覚めるきっかけとなった本です。
特にすごいドラマが待ち受けている訳でもなく、何とも言葉で説明できない細かな世界観なので、分かる人には分かる…という一冊かもしれません。

あらすじを簡単に。

12歳のロビンと、その家族は、仕事を探す父さんとともにおんぼろ車で旅をしていました。
旅の途中で、仕事を見つけた一家は、ラス・パルメラス村に落ち着くことになりました。

お父さんは肺の病気であまり無理が出来ません。
ボロボロの貸家に住むロビンですが、どこか現実とはちがう世界で生きるロビンは、思いつくままに『ふらふら歩き』をする癖があるのです。
この村に来る途中で目についた館(パルメラ屋敷)を散策するうちに、ブリジットというお年寄りの女性と知り合うのです。
彼女がロビンにくれた一つの鍵。
それが物語の始まりです。

「あなたにとって本当に必要であれば、使い道は分かるはず」
そんなような事を言って渡される鍵ですが、ロビンにとっては宝物となる鍵なのです。
にぎやかな兄弟、想像しい現実から離れられる、ロビンの現実と空想の世界を繋ぐ鍵なのです。

そして、ロビンが見つけた『ビロードの部屋』は、ロビンの心のよりどころとなります。
その部屋で空想に浸ったり、本を読む時間こそが、ロビンが自分自身を保つための空間となるのです。

ロビンも雇い主の令嬢、グエンと友達になったり、ブリジットと心を通わせたりするのですが、生きている人よりも、部屋に心奪われるロビンのことを、ブリジットは心配するのです。
ある日、お父さんの仕事の都合で、ラス・パルメラス村を引っ越すことになった時、ロビンは大きく葛藤し、そして成長するのです。


この本には、二重の楽しみがあります。
一つ目は、本自体を楽しむことが出来ること。
二つ目は、本の世界の中のロビンになって、ロビンと共に空想世界を味わうことが出来ること。

私も空想世界に飛んだ経験が沢山ある少女時代だったので、ロビンのことを自分のように思えたのでしょう。この本は、そんな空想世界を楽しむだけではなく、ふと書き留めたくなるような言葉にめぐりあえるのです。

例えば、こんなくだりがありました。

お金が入ったら、色々と買いたいものがあるという兄弟。
でも、ロビンはそんな兄弟を冷めた目で見つめるのです。
そんなロビンに対して、お父さんが「お前がいちばん欲張りだ!」と言うのです。
これは衝撃です。もちろん、ロビンにとっても。物をほしがらないロビンが欲張りなんて…。
そこでロビンは思いを馳せるのです。
「私は確かに欲張りだ。いつも満たされていない。いつも何かをほしがっているのだ」と。
お父さんから見たら、物をほしがる子供は単純に感じられたのでしょう。そして、物の方が簡単に解決できる欲なのかもしれません。
この視点にドキッとさせられました。

私も同じようなことを感じたことがあるのです。
色々なものが沢山あるのに、何かが足りないと思ったこと。
誰もがあるのではないでしょうか。
そのポカンと空いた大きな穴は、誰かが埋めてくれるのではなく、自分しか満たすことができない穴なのだと気付いたのは大人になってからです。

他には、うるさいと思っていた弟が傷ついた時、決してスッとした嬉しい気持ちにはならなかったこと。
そんな複雑な気持ちを、壊れないように、そっと丁寧に解き明かして行く場面などが、とても繊細で素敵だったのです。
自分の中の本当の気持ち。
沢山の思いや情報に埋もれている真の気持ちを、大事に破れないように開いて行く。
そんな場面に心が惹かれました。

私は心に残ったページにポストイットを貼りました。
またいつか読み返した時、その部分に目がとまるのでしょうか。

この本は、ある意味隠れ家的な面白さがあり、貧しい時代の生活や環境、友情なども面白く読めるのです。
その中に、そっと、子供が嫌にならない程度に、内面的な要素が丁寧に描かれています。
ですから、ロビンと同じ12歳で読んだとしても、中学生になって読んだとしても、大人になって読んだとしても、読み応えがある本だと思うのです。

興味がある方は是非、図書館で借りて読んで欲しいと思います。
ちなみに私は図書館で読んだ後、どうしても手に入れたくて、絶版となっているので、アマゾンの中の古書出品から購入しました。(高くなかったので良かったです)

私だけかもしれませんが、「秘密」って何だかワクワクしませんか?
バーネットの「秘密の花園」が大好きで、何十回も読み直し、海外ドラマや映画になるとそれを録画して、何度も観たものです。
鍵を開けると、そこに花園があったシーンなど、今でも心ときめきます。

そんなときめきを感じる一冊でもありました。
素敵な本との出会いは、どこに落ちているか分かりません!
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数年前から「ヤングアダルト」という分野が活発になってきています。
代表とされる、森絵都さん、佐藤多佳子さんなどの活躍もあり、他にも実力のある素敵な作品を発表される方が多く、私も大好きな分野なのです。

私が子供の頃から感じていたのですが(はっきり知識として認識したのは大人になってから)、小学校中学年までの本は面白い本が多いのに、高学年になると、海外児童文学はあるのに、日本の児童文学はあまり読める本がなくなっていったように思うのです。
そうなると、とたんに子供向きの本が幼稚に見えてきて、児童書から離れていきました。
突然大人の本に移行するのは弊害があり、以前からそれは問題になっていたようなのです。

大人の本は物によっては、性描写、暴力などが多く、子供が読むには適当とはいえません。
子供はピュアなので、全て真に受けてしまうし、作り物と現実が区別できないので、その時代はある程度大人が手を貸すことも大事なのです。
そして、過渡期にある子供が読むのにふさわしい本がないという時代が、やがて生み出したのが、「ヤングアダルト」の分野です。他には中学生向けのジュニア書も盛んですよね。(講談社の青い鳥文庫など…)

思春期の揺れる心と、大人との葛藤、成長する苦しみ、学校生活の大変さなど、現代の日本の子供を取り巻く社会をテーマに、今、一つのジャンルを築き上げたと思うのです。
力のある作家さんも多く、大人が読んでも読み応えがある作品ばかり。
私もヤングアダルトの本を読むことで、思春期時代の気持ちを忘れずにいられるのです。

大好きなジャンルではありますが、時々、息が出来なくなるような苦しさを感じるのも事実です。
というのは、日本という社会はこれから育つ子供たちにとって明るい未来を提供してくれていないのです。
なので、どうしても作品世界で解決することは出来ません。

結果、解決ではなく、諦めるか、闘う力を失わないようにするという結末か、この苦しい世の中で、上手くやっていくしかないと悟るか…。
結局、単純なハッピーエンドは物語の中でも起こりえないのです。それをしたら嘘になり、子供たちは裏切られたと思うでしょう。

現代の子供たちは、思春期向けの本を読むことで、自分に重ねて、心を整理することはできたり、感受性を磨くことはできても、読み終わって、明るい気持ちになるということは少ないのではないかと思うのです。
それはしょうがないのですし、そこで折り合って生きて行くしかないのです


ところで、私が他にも好きなジャンルに海外の児童文学があります。
海外のジュニア向け小説は、全て知っている訳ではないのですが、やはり同じように、いじめ、家族の崩壊などがあるものの、国民性なのかとても明るいのです。
解決はしていないのでしょうけれど、「まあ、何とかなるよね!」という明るさは、救いにもなります。

そして、最近、再び読み始めた、1900年代半ばくらいの海外児童文学。
名作と呼ばれるものが沢山あります。
その時代の問題は、やはり貧しさや今のような便利な電化製品などがないこと。天災があればすぐに困ってしまうことなど。
でも、家族の絆や社会のコミュニケーションは今よりもあるし、読み終って、安堵感を感じるのです。

現代とはあまりにもかけ離れている時代だけれど、人間が人間そのものだということは、何ら変わらないのです。変わっているのは社会で、そこに生きている人間は同じ人間なのです。

古い時代の海外児童文学で得るものは、人間が持っている本来の生きる力のようなものです。
壁にぶつかったら、選択肢は死、ではなく、明るく生きようとする、人間の本能のようなものを感じるのです。

綺麗ごとや、現実味のない夢も物語を伝えるつもりはありませんが、時には、現実を忘れて、人間本来の自由な心を取り戻すことも大切だなと思うこの頃なのです。

現実は現実として、空想は空想として。
そして、興味深いのが、子供時代に沢山の空想小説を読んでいた人の方が、大人になってから、想像力が鍛えられているため、社会でも順応しやすいということです。
これは、ある国語の専門の方がおっしゃっていたことなのですが、仕事をしていても、想像力がある人は、先のことが分かったり、次の人のことを考えて仕事をするので、一緒に仕事をしてもとてもやりやすいですよね。
小説を読んでいたから、という訳ではないのでしょうけれど、子供時代に想像力をのばすことは大事なのでしょうね。

どちらかに偏りすぎることなく、両方のいい所を選んで、子供たちに読んで行って欲しいな。
いいえ、何より、子供が自分で選択する本の世界を、自由に読んで欲しいです。どの分野であっても。

活字の中に広がる想像の世界を存分に味わって欲しいと思う私です。
それが、辛い時、苦しい時にもきっと支えになってくれることでしょう。
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石井 睦美, 水上 多摩江
卵と小麦粉それからマドレーヌ

私が去年から注目している作家の石井 睦美さんの本です。
昨年夏頃読んだのですが、感想を書かないまま年を越してしまいました。
お勧めなので、紹介させてくださいね!

主人公の菜穂はごく普通の女の子。ママとはとっても仲良し。
入学した中学のクラスで、いきなり初対面の亜矢に「もう子どもじゃないって思ったときって、いつだった?」と話しかけられるのです。
そう聞いてきた亜矢はしっかりと自分を持ったタイプ。
そんな菜穂が13歳になった日に大事件が。
それは、お母さんが料理の勉強をするため、外国に留学すると言い出したからです…。

この話のテーマは大きく言えば成長物語。
それは、主人公の菜穂でもあり、お母さんの自立物語でもあるのです。
主婦を年単位で海外留学させてあげるお父さんってすごい! と心底思うのですが、それを突っ込むと話がずれてしまうので、考えないようにしました。
あまり出番はありませんでしたが、お父さんの自立物語でもあるのかもしれません。(お父さんを視点にすれば別の物語が生まれるのでしょう)

私はこの作品が素敵だと思ったのは、お母さんの留学をめぐって、亜矢が菜穂に言った言葉が胸に響いたからです。
それは、お母さんのことを責める菜穂に対して、亜矢が一喝するところです。

「あなたが変わるのよ」

そう、いくつになっても人間は、誰かのせいにしたくなる生き物。
こうなったのは、お母さんのせい。
こうなったのは、あの子のせい。
こうなったのは運のせい??

などなど。でも、そんな逃げ道を作って振り返らないのが自分自身のこと。
自分自身を変えなかったら、もやもやはいつまでたっても消えないのです。
前に進めないのです。

そんな気付きを与えてくれる一冊でした。

この本を読んだ中学生、高校生はどんなことを感じてくれるでしょうか。
「物事は人のせいじゃなくって、自分自身から発信していくものなんだ」と気付いた時、大きく成長するような気がします。

薄くて軽くて読みやすい本ですが、素敵なエッセンスがギュッツと濃縮されて散りばめられたお勧めの一冊です!
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エリザベス エンライト, Elizabeth Enright, Irene Haas, 久保田 輝男, アイリン ハース
ひかりの国のタッシンダ

読み聞かせるなら幼稚園から。
自分で読むなら小学校2、3年~の童話です。

あらすじを簡単に。
白い髪の住人が住む国、タトラン国は、濃い霧が国を守ってくれていました。
そこに、鳥が赤ん坊を運んできたのです。それがタッシンダという女の子です。
金色の髪の彼女は一人だけ違う髪の色に悩むのですが、もっと悩んでいたのが、養父、養母です。
タッシンダをとてもとても可愛がるのですが、あの髪の色では嫁の貰い手がないのでは…と悩み、魔女に相談に行くくらいです。
そして、タッシンダは織物の才能がずば抜けていて、心も優しく、知能も明晰な少女に成長するのです。

安心して子供に読み聞かせできるストーリーです。
挿絵もとても綺麗で、大人にとっては先が分かる展開であっても、豊かな味わいがある子供向けファンタジーの良作だと思います。
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堀口 香代子, エリザベス・エンライト, Elizabeth Enright
ゆびぬきの夏




1930年代のアメリカ中北部の農家が舞台。
すごく昔に感じる時代背景にも関わらず、その健康的な内容が素直に心に入ってきました。

日照り続きで雨が降らないと、請求書のお金が払えない…。
請求書を手にしたお父さんの姿を見ると、10歳のガーネットの心は痛みます。

そんなある日、日照りでひあがった川の泥の中から銀のゆびぬきを見つけたのです。
指ぬきというのは、裁縫に使うゆびぬきで、鐘の形をした物です。

宝石を見つけたかのように嬉しくなったガーネットは、この指ぬきは魔法が使える! とひらめくのです。

まさに、その日、大雨が降り始め、お父さんの農場は災厄から逃れるのです。
そして、エリックという、とてもしっかりとした孤児の少年が迷い込んできて、一緒に働いてくれることになるのです。

この小説は、大きな事件が起きる訳ではなく、農場に暮らすガーネットという少女の日々(ちょっとした冒険をしたりもしますが)、人とのふれあい、出来事を綴った小説です。

最近の重いテーマの日本の児童文学を読んだ後、何とも言えない清涼感を感じました。

ガーネットは物語の最後に、沢山のハッピーなことが起きた夏を振り返って、とんぼ返りをぴょんぴょんとするのです。
その姿を思い浮かべると、子供は心配や不安も抱えつつ、こうして元気に明るく生きる力を本来は持っているんだろうなと思ったのです。

貧しくても全てが不幸という訳ではなく、現在の日本にない、心の余裕を感じました。
この本をひと言で説明すれば、「素直で伸びやかで健やかな小説」と言い表せるような気がします。

最後に豚の赤ちゃんの「オロオロちゃん」が品評会で賞を取るのですが、その賞品を、どう使おうかと考えるシーンがあります。
みんなでお祝いして、後は貯金をしよう。お兄ちゃんにアコーディオンも買ってあげたいし、いつか日照りが続いた時、お父さんに来た請求書を払ってあげられるかもしれない。
と、家族を思うガーネットの気持ちが、とても暖かく、こんな風に育つには何が大事なんだろうか、と、また日本の子育てを思い返した私でした。

アメリカの児童文学賞である、ニューベリー賞を受賞しています。
参考までに、挿絵もエンライト本人の絵ですが、とても繊細で、可愛らしい絵を眺めるのも楽しかったです。
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