白い猫のハートの足跡

ハートフルな本が好き



ハートフルな人が好き



ハートフルな生き方が好き


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本が好きな人に共通する意見があります。
それは、書店や図書館などで、「本から話しかけられた経験がある」ということです。

「私はここよ。私を読んで」というような、優しいささやきが聞こえる時もあれば、「ここだよ! 絶対に手にとって!」というような強い声を聞くこともあります。

実際に空耳が聞こえる訳ではないのですが、そんな声を聞いたかのように、何万冊という本の中から、その本の部分だけが違った色に見えたり、そこだけが光っているように感じたり、背表紙の文字が目に飛び込んできたりするのです。
本の方からアピールしてくるかのようなのです。
そうして読んだ本にはずれはありません。
他の人にとってどうかは分かりませんが、少なくとも私にとっては、人生でめぐり会うべき本だと感じるのです。

私は多ジャンルの本を読んでいます。
人気作家のミステリーやベストセラーなどは、向こうから話しかけてくることは滅多にありません。どちらかというと、新聞やネットなどで広告を目にしたり、書店で山積みになっているものを手にとり、面白そうと感じ、読むことがほとんどです。
読んで良かったと思う本がほとんどですが、一生のめぐり会いというだけの縁を感じる本とはあまり出会いません。

どちらかというと、普通の小説、エッセイ、詩、映画、児童文学など。
一般的には大きなベストセラーとは成りにくいけれど、書いてある内容がきちんと自己主張しているような本が、私に話しかけてくると思うのです。

きっと、本も、本の声を聞く人を見分けられるものを持っているのかもしれません。

私の買った本の行方についてお話ししますね。
まず、私が購入した本は、とりあえずピンとこなかったものは古本屋さんに売ります。
処分するのは、文字にも命があると思っている私にとっては出来ないことなのです。
次に面白かったけれど、再読しないであろうと思う本は、友人などにあげます。
厳選されて私の手元に残った本たちは、再読するかどうかは分かりませんが、本の内容をすぐに思い出せるほど印象深かったり、一文が心に残っていたり、私の人生の岐路に寄り添ってくれた本だったり、指針を与えてくれた本だったり、価値観を育ててくれた本だったりします。
まさしく人生の友人です。

現実世界の何人かのかけがえのない親友たちと共に、本も私の親友なのです。

本を読む感性と、本を読むことが楽しいと思える心を持てて、本当に良かったと感謝する毎日です。

あなたも本から話しかけられたことはありませんか?
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著者: 真保 裕一
タイトル: 奪取〈上〉


著者: 真保 裕一
タイトル: 奪取〈下〉

真保 裕一さんはかなり骨太で、男性作家さんらしい、きちんとした構成力と社会性を持っている小説家さんだと思います。

どの作品も面白いのですが、最初にお勧めしたいのは、この「奪取」です。
稀代のコン・ゲーム。
偽札作りとそのお金の行方がテーマですが、現実のことのように、目の前で広げられるお金の世界。
小説の中のことなのに、目の前で見ているような風景が広がる筆力とリアル感。
まさに、読んでいる間中、スリル満載、ドキドキ、ハラハラ状態です。


偽札作りの主人公に心奪われ、応援し、かなりのめり込みます。
かなりの枚数の小説ですが、もちろん、そんなこと気にならないでしょう。
一気に読みたくなると思いますので、休日前をお勧めします!

第10回山本周五郎賞。
第50回日本推理作家協会賞長編部門受賞。
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著者: 岡嶋 二人
タイトル: 99%の誘拐

舞台は今から20年くらい前。
インターネットではなく、知る人ぞ知る「パソコン通信」の時代の話です。
当時では、先端技術の世界を先取りした誘拐ミステリーだと思います。
そして今、そういったアイディアが例え旧時代のこととなろうとも、この小説は決して古くならずに、今読んでも面白いと思うのです。
それは、読者を引き込む力が文面にあふれ、骨格の小説が面白いからだと思うのです。

昭和43年、OA機器メーカー リカードの開発部長の息子が誘拐されます。
息子は生還し、その事件の手記が表に出たのは、昭和51年のこと。
そして、昭和63年に、OA機器メーカー リカードの社長の孫が誘拐されます。
犯人からの要求は、10億円のダイヤの原石。
運搬役に指定されたのは、成人し、リカードに入社していた、43年に誘拐されたリカードの開発部長の息子本人だったのです。
2つの誘拐事件が交差し、真実が明らかになるのです。
最初の誘拐事件の犯人は? 今の誘拐事件はなぜ?
身代金(ダイヤ)の受渡しをめぐり、二転三転する犯人の指示に先が読めずに胸が躍ります。


むやみに人が死ななくてもこんなに面白いミステリーが書けるんだとつくづく実感しました。
知的なミステリーって大好きです。

吉川英治文学新人賞受賞作。
風化しない誘拐ミステリー、是非、堪能してみてくださいね!
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著者: 井上 夢人
タイトル: パワー・オフ

岡嶋二人というペンネームで2人の男性が共同執筆していたのですが、解散した後、井上夢人さんは、活発な創作活動をされています。
井上夢人さんの作品の中でも、特に印象深いのが、この「パワー・オフ」です。
今から10年前の作品ですが、コンピューターウィルスと、ネットの世界を題材にしているにも関わらず、古さを感じさせません。
相当、井上夢人さんが未来を読んでいたということでしょうか。
一番、近年で進化したIT業界ですが、本当に面白いです。

まず、出だしがすごく上手いです。
ある学校の実験の授業中に、突然機械が止まり、おかしいと思い機械をいじっていた少年の手に、突然ドリルが動きだし穴を開けるのです。
コンピューターの画面に現れたメッセージ。
「おきのどくさま。このシステムはコンピュータ・ウィルスに感染しています」
これが物語のはじまりです。

コンピューターの知識がなくても、とにかく引き込まれて一気に読めることは間違いないです。

私は、こういう知的ミステリ(でも、難しい話ではなく)が好きなのです。
読んだ後に、「面白かった!」と素直に思えたミステリでした。
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著者: 岡嶋 二人
タイトル: クラインの壷

私はミステリーの中でも、人が殺されたり、犯人を見つけたりっていうものより、心理ミステリーや、物語として、先を読みたくなるようなものが好きです。

この「クラインの壺」はまさに、私のツボにはまりました。
かなり古い作品ですが、今読んでも古さを感じさせないと思います。

あらすじをアマゾンより転載しました。

ゲームブックの原作募集に応募したことがきっかけでヴァーチャルリアリティ・システム『クライン2』の制作に関わることになった青年、上杉。
アルバイト雑誌を見てやって来た少女、高石梨紗とともに、謎につつまれた研究所でゲーマーとなって仮想現実の世界へ入り込むことになった。
ところが、二人がゲームだと信じていたそのシステムの実態は…。
現実が歪み虚構が交錯する恐怖。


現実の世界と、架空の世界が交差しながら、物語は進行します。
読んでいるうちに、段々と現実なのか、架空なのか分からなくなり、背筋が寒くなるような空恐ろしさを感じました。

結末に関しても、私は面白かったと思います。
ヒントを少しだけ見せて、読者に結論をゆだねるという雰囲気が、上手いな~と思いました。

読み始めたら先が気になって、本を閉じられなくなるかも!
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著者: 安藤 美紀夫, 長谷川 知子
タイトル: おかあさんだいっきらい

私の本棚にある児童文学を紹介させてくださいね。

主人公は元気で陽気でそそっかしい小学校4年の女の子ちかちゃん。
嫌なことはすぐに忘れてしまうのはいいんだけど、大事なことも忘れてしまうんです。
そんな主人公の大の仲良しは、乱暴者の男の子タカシくん。
タカシくんは言葉も乱暴だし、すぐに髪を引っ張ったり、意地悪するけれど、本当の意地悪じゃなくて、ちかちゃんのことを気にかけて、ついつい構ってしまうだけなのです。

ママはタカシくんを好きではありません。
おまけに若くて優しい担任の先生のことも頼りないので好きではないのです。

タカシくんの家に乗り込んで、ちかちゃんと遊ぶことを禁止したお母さんに対抗して、ちかちゃんはだんまり作戦で対抗します。
明るくて陽気なちかちゃんなので、すぐに折れるだろうと思っていたお母さんですが、ちかちゃんは頑固に自分を貫きます。

お母さんという大人の思惑と、子供の価値観は全く違う。
お母さんが子供を思ってとった行動だって、子供には自分の気持ちを踏みにじられたと思うこともあると思います。


ユーモアたっぷりで読みやすい文面です。
中学年から読めるんじゃないかな。

これを読んだ子供から、お母さんへの日頃の不満が噴出する可能性もあるので、読ませるのはちょっと怖いかも!?
でも、一緒に読むことで、話し合ったりするいいきっかけになるかもしれません。


私も本棚にあった本を久しぶりに読み返して楽しかったので、子供と一緒に読んでみようと思っています。
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著者: 折原 一
タイトル: 沈黙の教室

以下、アマゾンからのあらすじをコピーさせて頂きました。

青葉ヶ丘中学3年A組―悪魔のようなこのクラスを、担任教師が名づけて「沈黙の教室」。何者かが不気味な恐怖新聞を発行し、つぎつぎと粛清の対象を指名していく。
そして行なわれる残酷ないじめ。やがて20年がたち、クラスの同窓会の告知が新聞に載った時、報復を誓う者による大量殺人計画がひそやかに進行しはじめた!
めくるめく多重構造の謎と、じわじわと忍びよる恐怖。
日本推理作家協会賞長篇賞に輝くサスペンス。


私は気分が悪くなるようなサスペンスは好きではないのですが、この本と出会ってから、サスペンスも語り口によっては楽しめるんだな! と発見したのです。
折原一さんは、叙述ミステリーを沢山書かれています。
この本を読んで、面白いと思ったので、一時期、折原さんの本にかぶれたのですが、正直、面白いのもあれば、スカもありました。

この「沈黙の教室」はものすごく分厚いです。
でも、その分厚ささえ、終わらないでくれたらと思うほど、先が気になり、引き込まれました。

気分転換や、日常を忘れるためにちょっとしたミステリーを読みたいと思う方にお勧めです。(でも、ちょっとしたっていっても、かなり分厚いので驚かないでくださいね)
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著者: 名木田 恵子, 伊奈 明子
タイトル: コップのなかの夕空〈1〉


著者: 名木田 恵子, 伊奈 明子
タイトル: コップのなかの夕空 (2)


著者: 名木田 恵子, 伊奈 明子
タイトル: コップのなかの夕空 (3)

去年でしょうか。私が思春期時代に大好きだった名木田さんの名前を、久しぶりにを本屋さんで見かけたのです。
「天使のはしご」という作品です。
名木田さんの感性は風化することなく、ピュアなまま、生き生きと息づいていて、まさに、初恋の人と再会した時のような感動を覚えた私です。

キャンディ・キャンディの原作者でもある名木田さんですが、当時流行っていたコバルト文庫でも活躍されていました。
名木田さんの書かれる本はすごく繊細でちょっと大人びていて、単なる恋愛物っていうことではなく、友情や家族のことなど、奥深く含まれていて、内面の描写が詳しくて共感することも多く、今でもその本たちは大事に手元にあるのです。

今は青い鳥文庫でも活躍されていますし、他の文芸書でも評価が高いようで、親子二世代に愛される作家さんだと思います。

この「コップの中の夕空」は、読んでいて、主人公の気持ちに同化してしまい、胸が苦しくなりました。

恋愛小説でもあるのですが、お母さんに愛されず、妹や弟と愛情の差があることを感じていて、家に居場所がない主人公。
学校だけが息抜きの場だったのに、クラス中の女子からしかとされることになってしまうのです。

冷たい雰囲気の美少年、瞳矢(とうや)のはからいで、以前から片思いだった三四郎と両思いになれた青花。
そのことがきっかけで、親友の選子(えりこ)やつぐみにありもしない悪口を吹聴されて、青花はクラスじゅうの女子から無視されることになってしまいます。
この本はかなりリアルです。
女の子って本当に意地悪。人からのうわさ話を信用して、真偽など関係なく、簡単に人を無視したり意地悪したりするのです。

学校だけが逃げ場所だった青花にとって、学校も苦しい場所になります。
家庭では、自分だけに冷たいお母さんに好かれたいと思い、自分を押し殺して過ごしていたのに、「生まなきゃよかった」と母親に言われ衝撃を受けます。

素直で一生懸命で頑張りやの青花なのに、何故かそれが裏目に出てばかり。
大好きなお母さんに冷たくされて、居場所のない青花を助けてくれるのは、三四郎と、そして瞳矢です。

同じように「人から関心を持たれない」誠二というクラスメイトの男の子とも心の交流があり、人から意地悪をされても、温かいバリアーでそれを溶かそうと一緒に頑張るのです。

話の展開が進むにつれ、お母さんは益々冷たくなり、ひどい言葉を投げかけます。
学校の女子たちの意地悪もエスカレートしていくのです。
読んでいて、ハラハラしたり、胸が苦しくなったり。
何より、お母さんの冷たい言葉に、私も胸が破れそうな思いになりました。

名木田さんはきっと優しい女性なのだと思いますが、意地悪な人を書くのは本当に上手です。
あんまりリアルすぎて、熱が入ってしまうくらいです。

お母さんが意地悪する理由は最後に分かるのですが、意地悪したかった訳ではなくて、相性の問題でもあり、お互いに相手の殻を破ることに躊躇して、お母さんは、なつかない青花につい攻撃してしまったという感じなのです。
本当ならそんなことがあっていい訳はないのですが、親も人間なので、思ったことをそのまま子供に投げかけてしまい、言った本人は忘れてしまっているのに、子供の心の中でそれは育ち続け、大きなしこりとなって残ってしまうのです。


親の言葉や行動の影響は、子供にとってとても大きいと思うのです。
青花が甘え下手だったため、お母さんとしてはイライラしてしまい、つい冷たい言葉を投げかけます。
それでまた青花もお母さんに遠慮して、壁を作り、隠し事が多くなっていくのです。悪循環ってこういうことを言うのだなと感じました。

この本は、話の展開も面白いし、子供が読んでも大人が読んでも楽しめると思います。小学生のお子さんがいらっしゃったら、一緒に読んでみてくださいね。
もしかしたら、昔の初恋を思い出すかも!?
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著者: 鷺沢 萠
タイトル: F―落第生

今ではめずらしくなくなった女子高生の純文学作家デビューですが、当時、鷺沢萠さんが17歳で文学界新人賞を取った時は、その記事を目にした私も胸が騒いだことを覚えています。
鷺沢さんは、読む人によって受け取り方は違うとは思いますが、私は彼女は天才だと思うのです。そのくらい、人の心理を理解し、研ぎ澄まされた感性で丁寧に言葉を手繰っていると感じるのです。
短編集が一番好きなのですが、隣にいそうな女性を主役に、リアルに、そして温かくその心情を深く描いているのが魅力です。

この短編集「F 落第生」ですが、どの短編の主人公の女性も落第生です。
あとがきで鷺沢さんはこう書いています。

「人々がよく口にする「後を振り返るな、後悔だけはするな」ということばに私は簡単に頷くことができません。常に常に前だけを向いていることがそんなに正しいことだとは思えないからです。
 してもしても足りない程の後悔の原因が自分の歩んできた道のどこかにすでに存在しているのなら、気の済むまでそれを見つめて後悔したっていいじゃないか、と思っています」


 そんな風に、駄目だった自分さえも温かく受け入れてあげようとおっしゃる鷺沢さんが自殺された去年、新人賞を取った時と同じように、新聞でそのことを知った私は、かなりのショックを受けました。
 感受性があり、駄目なところや損なところさえも愛した鷺沢さんは、辛い現実からもういいよと自分を解放してあげてしまったのかな? と、どうして自殺されたか、全く知らない私ですが、ふとそんな風に思ったのです。

 全部で7つの短編からなる本書は、どれも全て秀作です。
どれから読んでも、読んだ後に、温かな小さな何かが心に残ると思います。
 
 その中でも、「シコちゃんの夏休み」は大好きな話です。
一流のガッツのあるシコちゃんのことを、親友の「私」の目を通して語られた作品は、読みながら、主人公と一緒に、シコちゃんを応援したくなると思います。 そして、シコちゃんの笑顔をもっともっと見たいな、と感じるのです。
 
「家並みの向こうにある空」も好きな作品です。
あり得ないくらい男運が悪く、「ダメ磁石」と呼ばれる程、ダメな男ばかり寄せ付けてしまう主人公千夏。
「どこにでもいる平凡な男性と平凡な恋愛がしたい」と切に願う千夏に、理想通りの「平凡な」男性が現れるのです。
 でも、その彼は、千夏に無関心。
 好きの反対は嫌いじゃなくて無関心だったんだ。
 それに気づいた千夏は、彼の気をひこうと色々と策を練りますが、どれも無関心な彼には通用しない。噴き出すように泣いた千夏の恋の結末を読んで、私は本当に嬉しかった!
 この本のハッピーエンドは嘘ではなく、本物のハッピーだと感じました。

  映画「F」の原作となっていますが、お貸ししたのはタイトルだけだと思われます。
でも、映画は映画で、バレエ界のスター熊川哲也さん主演で、とても素敵な映画です。
機会があったら観てくださいね。
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著者: 瀬尾 まいこ
タイトル: 図書館の神様

新聞の下段の広告に目がとまり、読んでみた小説です。
本好きな私にとって、図書館に神様はいると思っています。

文字が書いてある本は捨てるのが難しく、面白かったけれどもう読まないだろうと思う本は友人にあげたり、ブックオフで売ったり、郵便局や図書館に寄贈しています。
文字の中に作者の気持ちが入っていると思うと、簡単には捨てられなくって。

話は戻って、この話は瀬尾まいこさんの良さをすごく出していると思うのです。
もう一冊、 「幸福な食卓」 を読んだのですが、これもしんみり心に届きました。
でも、私は個人的には「図書館の神様」の方が好きです。

瀬尾さんは現役の国語の先生だからでしょうか。
男の子を書くのはとっても上手いと思います。
思春期特有の照れくささ。時に無口だったり、饒舌になったりすることや、ピュアで向こうっ気が強くって、正義感があって、そして、傷つきやすい。
そんな年頃の男の子がとっても魅力があるのです。

この作品には、過去に傷をもった2人が登場します。

主人公の清(学校の先生)は、過去に「そのつもりはなかった」のに、部活のバレーボールに熱心なあまり言った言葉がきっかけで、仲間が自殺してしまいます。
清が悪い訳ではない。そんなつもりじゃなかった。
でも、言った言葉の代償は大きく、周囲が急に冷たくなり、清自身も本来の明るさを無くし、何の為に生きているのかもあやふやになり、楽しいこと、好きなことを選ばないように、無理して生きていくことになるのです。

清は学校の先生になり、ひっそりと生活しているのですが、ひょんなことから文芸部の顧問になり、たった一人の文芸員である垣内君と、顧問の清は、2人で文芸部を盛り立てていくことになります。
清は正直、乗り気ではないのです。
でも、清は本を読み垣内くんと交流することで、段々と、本来の自分を取り戻していくのです。

垣内くんは、文芸部なんか(なんかと言ってしまいましたが)に収まるような器ではなくて、活発なスポーツマンなのです。
本が好きなのも事実ですが、垣内くんにも心の中に大きな物を抱えているのです。

人って難しい。
「そのつもりじゃなくたって」人を傷つけることもあるし、傷つけられることもある。
そして傷ついた人も、傷つけた人も、両方苦しんでいる。
それは、生きることに真面目だから。


とても温かくなるラストです。

ドラマティックな山場や、ありえないような展開はなく、あくまでも同じ温度で、穏やかに淡々と語られるのが瀬尾さんの世界。
それがとても心地良く、私は好きなのです。
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