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深井智朗『プロテスタンティズム—宗教改革から現代政治まで』(中公新書、2017年)

 7月31日(月)にもツイートしたが、アメリカを理解するためには、キリスト教、とりわけプロテスタンティズムについて知っておく必要があるので、詳しく紹介しておく。

 今年はルターの宗教改革から500年の年である。1517年10月31日、ルターは贖宥状についての討論を呼びかける「95箇条の提題」を教会の扉に張り出した。それが宗教改革の発端となった。その背景には、「この時代の神聖ローマ帝国の政治や経済、そして宗教などの仕組みが制度疲労を起こしていた」(39p)ことがある。そして、印刷・出版革命がこの改革を推進し、本を手にしない人々には木版画が情報を伝えた。

 1555年のアウグスブルクの和議は、皮肉なことにルターの意に反して「新しい一つの宗派としてのプロテスタント」を生み出した。スイスではツヴィングリやカルヴァンの改革が実行される。彼らはカトリックの伝統と徹底的に対決する。私は、若い頃ジュネーヴで2年間生活したが、カルヴィニズムの厳格な空気を体験したものである。

 その後、さらなる宗教改革を求める勢力が16世紀のヨーロッパ大陸と17世紀のイングランドで運動を起こす。「洗礼主義」の考えであり、信教の自由を主張し、幼児洗礼を否定した。エルンスト・トレルチやマックス・ヴェーバーは、ルターやカルヴァンと区別してそれを「新プロテスタンティズム」と呼んでいる。

 新プロテスタントたちは、「宗教の市場を民営化、自由化」(117p)したのであり、自由な競争、選択のある社会を目指した。教会と国家は分離される。ここに古い「保守主義としてのプロテスタンティズム」と新しい「リベラリズムとしてのプロテスタンティズム」が分離する。

 前者について、19世紀末にドイツの留学した森鴎外は、ルター派の影響力について書き残し、「政治と宗教の相互依存関係」に言及している。ドイツ的なものの淵源がルターの宗教改革であるが、ルター派はヴァイマール期には政治の舞台から離れ、ナチス時代には復帰する。戦後、とりわけドイツ再統一後は、ナショナリズムがルター派への回帰をもたらしている。

 後者は、アメリカである。新大陸に渡ったピューリタンたちは、「国家や政治的支配者に依存しない教会の設立」(168p)を目指した。政治と宗教の分離、政府による公認教会制度の廃止を訴え、政府の力を小さくし、個人の権利を守ろうとした。また二重予定論も重要である。「この社会には国家教会や社会の正統がないのだから、市場で成功し、勝利した者こそが正義であり、真理であり、正統になる」。そして、「新プロテスタンティズムの結社のセンスこそが今日のアメリカの深層構造を規定している」(182~183p)。

 ロバート・ベラーは、新プロテスタンティズムの影響は、「アメリカの意識されざる国教」を生み、アメリカの神の大祭司が大統領なのだと指摘する。神の実体はアメリカを一つにするナショナリズムであり、これこそがトランプ出現の背景である。

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