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ブランコ・ミラノヴィッチ(並木勝訳)『大不平等:エレファントカーブが予測する未来』(みすず書房、2017)

 

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 世界中で格差が問題となっている。とりわけグローバリゼーションがその引き金となったという認識が広まり、移民排斥などをうたうポピュリズムの背景となっていると考えられている。格差に関する本は、いまファッションのように読まれている。アメリカのトランプ現象、ヨーロッパ諸国での極右の台頭などは、国内の経済格差が引き起こしたと見られている。

 本書は、歴史的には前工業化社会にまで遡り、地域的には世界中を網羅してデータを集め、それを分析することによって格差、不平等の問題に迫ろうとする力作である。所得の不平等を単に国内現象として見るのではなく、グローバルな現象として捉えている。

 1988~2008年の所得の伸びは、(A)アジアの新興国の中間層で大きく、(B)OECD諸国の下位中間層で低く、(C)世界の上位1%の超富裕層で大きい。これをグラフで書くと象のような形になるのでエレファントカーブと呼ぶ。

 著者はクズネッツ仮説を援用し、「クズネッツ波形」、「クズネッツサイクル」という概念を導入して分析を進めるが、前工業社会では疫病や戦争が不平等を縮小させた事実を指摘する。そして産業革命が不平等を拡大させる。20世紀には豊かな世界全体で不平等が縮小する(大平準化)。それは、「悪性の力」として世界大戦、「良性の力」としてスウェーデンの社会民主主義やアメリカのニューディール政策が影響したという。特に、後者は中間層を生み出したからである。

 しかし、1980年代になると第二次技術革命(IT革命)とグローバリゼーションによって不平等が拡大していく。製造業よりもサービス業で賃金格差が拡大した。さらには、OECD諸国で労働組合組織率が低下したことも、この傾向に拍車をかけた。不平等の拡大を防ぐ手段としては、①累進税制、②教育とスキル、③蓄積された富の消滅、④グローバルなレベルでの所得収束、⑤低スキル偏向型の技術進歩が考えられるという。

 各国間の不平等は1970年頃に最大になったという。移民は、不平等の拡大にも縮小にも寄与するが、今後移民問題にどう取り組むかは、政治的、経済的に大きな問題となる。これからは、富が金融資産に集中すること、富裕層が政治献金で政策決定に影響力を行使することが不平等を拡大させるという。「アメリカは一人一票制から一ドル一票制に近づいていく」(192~193p)。しかし、中間層は経済問題以外のテーマにかき乱されて(虚偽意識)、富裕層による支配に気づかない。また、ヨーロッパでは、ポピュリズムや移民排斥への流れになってしまう。その欧州の危機を救うのは、セーフティーネットを提供する福祉政策である。

 最後に、著者は格差について10点の疑問を提示して、今後の展望としている。たとえば、グローバリゼーションの進行は不平等を消滅させないとしている。世界史的観点からの数々の問題提起は刺激的である。

 

 

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