ミント色で水色的な優しい日々。

ごきげんよう。ニューハーフの千鶴(ちづる)です。
LIBE上野鶯谷店で働いています。そんなわたしの食べ物と本の話題中心なブログです。
どうぞよろしくお願いいたします。


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 二章。邂逅をはじめる。



 とても広い場所だったと思う。それに、灯りも一切なかったはずだ。そこに立っていた。僕は何かを見つめていた。よく理解できない状況だ。けれど、口が渇いて、口内がねばついている感覚が嫌にリアルだったから、それを夢だと気付けなかった。


 意識が内側に集束していく。優しく弾ける。瞳が開く。あたらしく視界が広がって、凍った頭が動きだした。

 気付くと、見知った部屋に僕はいた。いつの間にか寝ていたようで、枕にした腕が痺れていた。確か、幸せな夢を見ていた。覚えてないけれど、そんな気がした。

 僕は起き上がり首を降った。お腹の中心に吸い込まれそうな虚しさを感じる。激しく、きゅー、きゅー、と気持ちの悪さが襲ってきた。僕は、溜め息をつく。
 生きる意味など無くても腹は減る。身体は臭くなるし、家賃はかかり、税金も取られる。存在することにお金がかかる時代だ。仕方がないことだ。
 ようは、生きることに意味など必要ないのかもしれない。無意味なことだ。巡りめぐっているだけ、大きなパーツの一部でしかないのかもしれない。  
 生きることに意味がないと言うことは、死んでいても一緒と言うことになる。あぁ、こんなことは、認めたくない。君に会って、生きる意味を叫べればいいのに。
 僕は、再度首を降る。お腹が空いたのだ。それ以上でもそれ以下でもない。

 部屋を出る。キッチンを、小窓から射し込む光が照らしている。埃のダストが舞っている。あたまも視界もふわふわとしている。ぎこちない。
 それは、とても不出来な万華鏡の中にいるみたいだった。
 僕は、冷蔵庫からよく冷えたソルダムを取りだし、水で軽く洗い、丸のままかぶりついた。果汁が口内に
溢れ出す。シャブリ、と、爽やかな音が鳴る。
 ソルダムを三つ食べると、空腹も少し落ち着いた。僕は、鍋にお湯を沸かし、かつぶしで出汁をとる。一口大に切った豆腐を入れ、クツクツと温める。しばらく経って細く切ったあぶらげを入れ、ぷっくりしてきたら火を止める。赤味噌を濃いめに溶かし、三温糖をほんの少し加えた。
 その頃には、額に汗が浮かび、背中も湿っていた。初夏の頃には、さっぱりしたものが食べたくなる。梅干し。確か立派な梅干しがあったはずだ。あれで、梅肉和えを作ろう。
 僕は冷蔵庫の奥に眠っていた梅干し、それからきゅうりとかしわの肉を取り出した。小鍋で少量のだし汁を作る。
 さっぱりしたものが食べたい。喉は渇き、身体が火照ってくるような気がした。梅干しから種を除き、軽く包丁で叩く。それをすり鉢に移し、だし汁を加えて伸ばした。
 ぐるぐると、すりこぎで混ぜる。汗が、ぽたぽたとキッチンの床に垂れた。
 ぐるぐると、ぐるぐると混ぜる。不必要なくらいだ。時に、人は不必要なことばかりする。僕のこれからの人生はそれの親玉みたいなもので、無限の不必要に満たされた世界なんじゃないだろうか?
 僕は、小鍋に沸かしたお湯にお酒を入れる。そこに、かしわの肉を放り込み、数瞬。蓋をして、火を止めた。蓋に手を置いたまま、ふと思う。あの子に始めて会ったのいつのことだったろう? と。



以上です。ちょっと短いです。こちら、小説家になろうで連載中です。よろしくお願いいたします。

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