2010-04-26 13:35:29 posted by shinjuan

奇跡のお茶

テーマ:中国茶

僕の愛読書というか、トイレの友としてはづせない本がある。


波田野公介さんの『緑茶最前線』(京都書院)


12年前に出版され今は絶版になり、著者もお亡くなりになられてしまいました。


今読んでも、ある意味最前線。


日本茶カフェを経営している人の中にも、この人の本よ読んで衝撃と影響をうけた方もおそらく何人もいるだろう。


その本は、ちゃんとした美味しい日本茶ってどういうお茶であるべきか?


という事を分かりやすく書いてある。


美味しいお茶の感じ方は、十人十色なので断定はできないが、著者は定年するまで新聞記者・編集者をしていて、彼の書く文章が現状の保守的かつ閉塞的な日本茶業に対する苛立ちみたいなものがいちいち痛快で、


“なるほどなー”


などと思わずその世界に引き込まれてしまう。


この本の中に『天井の茶会』という話がある。


1983年春、常茶研究家 故 小川八重子さんが韓国南部の禅寺を訪れた際に、樹齢400年の新芽を摘んで、小川さんの手法で釜炒りで作った緑茶を飲んだ時の様子である。


お茶が仕上がって茶会が始まったのは夜10時すぎ。


寺院の偉い人たちも集まって、月明かりの下で禅僧たちが修行として作ったお茶を、山の真水を汲んで、達人小川八重子が心を込めて入れた茶。


そのときの様子を追憶出版で小川八重子さんのご主人小川誠二編(小川八重子の常茶の世界)からそのまま引用します。



 その香味は、月のさしこむ堂内の静寂のなかで、集まった十数人のそれぞれの口から喉へ馥郁とひろがりました。


 目を開こうとしない無言の顔、顔が、言葉以上に人々の深い感銘を表現しています。その佳境は、折からけたたましく響いたむささびの叫びで中断されるまで二十分余りも続いたでしょうか。和尚は、にこやかに、これこそ天上の茶会、蓮花界である、と感銘し、


  慾得真正味茶興添修神

  人法更不見理前自心仏


 と書いて、」八重子にくださったのです。本当の茶の味を知りたかったら、あなた自身禅を習得しなさい。それがわかれば、人間界の義理などにまどわされず、心の中に仏が見えてくるであろう、というのだそうです。


 僕のような若輩者にはあまりにも高度すぎる世界・・・

 

 商売・子育てなどで常に現実にびっしりと浸かっている身分では、心の中に仏などは決して見えてこない・・・

 だけど、話をお茶に戻すとこれまた別の話!


 韓国で作ったという釜炒り茶は持っていないが、お茶だけに限定して話をすれば、

 もしかすると、これよりももっともっとすごい釜炒り緑茶を知っている。

 いや、知っているというよりも愛飲している。


 茶樹の樹齢は何年か知らないが、一本一本独立した茶樹。品種などなくもちろん種から育ち地中深く根を張った在来種。

 茶樹の周囲にはいろいろな果実の木も共存していて自然味あふれる環境。


 山をきちんと手入れ(掃除)し、自然と土の力を最大限利用して余計な肥料は一切与えない。

 早春の頃に茶樹が冬に蓄えたエネルギーを新芽にたっぷりと移した時に茶摘みが始まる。

 ぷっくらとした、春のエキスを存分に吸収した新芽だけを丁寧に手摘みする。

 更に、山を下りて家に帰ってからも悪い芽は全て取り除く選別作業。

 朝に摘んだ新芽が昼すぎに山からおりてきて、釜に入るのが夕方すぎ・・・

 なんて根気のいる作業だろう・・・ 

 こんな手間暇かかる茶摘みは日本中どこ探してもない気がする。

 

 むしろ出来るものならやってみろ!と思わず熱くなってしまうプンプン


 さらにここからが鳥肌もんだ・・・

 茶人が農閑期に蓄えた幾種類もの薪、それもそれそれの大きさに揃そろえた薪使って炎を操りながら鉄の鍋で一気に仕上げていく。もちろん手炒りだ。

 

 新芽の中にある大量の水分を熟練した技術でしっかりと出して行く。

 釜の温度・火加減・製茶工程ごとの揉み方の違い、真剣に一切の手抜きをせず、この品質のお茶を作れる生産家はおそらくこの村にはいないだろう。

 というより茶に対するモラル・勤勉さ・誠実さがなければ到底こんな割の合わないお茶は作れない。


 このお茶明らかに突き抜けている・・・


 そのお茶の名前は碧螺春(ビールオチュン)。

 

 もう10年近くこの生産家の作るお茶を飲んでいるが、これを飲むと心が躍り・そして静まり・体中の余計な力がすっととれ、現実を忘れ、無我の境地に誘ってくれる。

 

 心の中に仏こそ出てこないが、目をつむると新春の息吹に包まれた山々が見えてくる気さえしてしまう。


 だけど、残念なことに、このお茶の行く末も後継者不在・買い手の不在などもろもろの理由で飲めなくなるかもしれません・・・

 

 実は10年来の茶友(日本人女性)が毎年新茶の季節になると、この生産家さんの家に泊まりんで一緒にお茶を作っています。そしてシーズンが終わるころは、毎回指先を黒く焦がして帰国してきます。


 彼女もう生産家と一緒にお茶を作って4・5年経ちますが、今では彼女の高い技術を知って、現地のお茶を手炒りする専門の職人さんからいろいろと質問されるようになり、的確に指導してあげるほどの腕前です。


 興味ある方は、ブログがありますので是非見に行ってください。

 

 まさに奇跡のお茶ですから!ニコニコ


 


 http://blog.chinatyparty.com/  (おいしいお茶みつけたっ! 情熱♪ブログ)

 

 



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