宮部みゆき「おそろし」読みました。この夏一番のお薦め・・・ | 親愛なる人に-読書の薦め

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読んだ本の感想などを、本屋さんで見かける推薦文のように綴ります・・・お薦め度合いは、☆の数で評価します。親愛なる本好きの人たちに,このブログを届けたいです.

おそろし(Amazon)

☆☆☆☆+
429p 2008年8月 角川書店、「家の光」2006年1月号~2008年7月号(単行本化にあたり加筆修正)


宮部みゆき「おそろし 三島屋変調百物語事始」読みました。


江戸にある袋小物屋の三島屋は、主人の伊兵衛が一代で作り上げた店です。妻のお民と、女中のおしま、使用人の八十助で切り盛りしています。


そこへ、伊兵衛の兄の娘である、おちかが働くことになりました。実は、おちかは、ある事件が元で心に傷を負っています。それを紛れさせられるために、伊兵衛のところへきたというのが、真相のようです。


おちかとしては、人と接することなく仕事に専念していたいのですが、主人の伊兵衛は三島屋に人を招き、おちかに、その人たちの話を聞くように、命じます。それらの話は、どれも恐ろしく、変わっているのでした。。。


ということで、宮部みゆきの「おそろし 三島屋変調百物語事始」読みました。面白かったです!この本、以前ラジオで、アタック25でおなじみの、芸能界きっての読書家、児玉清さんが紹介していました。児玉清さんが紹介する本は、「永遠のゼロ」 のときもそうですが、面白いですね。


ストーリーは、心に傷を持つおちかが、人々の話を聞くことによって、だんだんと癒されていくのですが、同時に自分も巻き込まれていくという話です。


連作短編の形になっており、5つの話が語られます。それらは、最後にはつながり、大きな話となります。聞く話はすべて、怪異の話。一人ずつ客人が呼ばれます。新しい形の「百物語 」だと、主人の伊兵衛は、言っているわけですねー 副題 「三島屋変調百物語事始」 もそのような名前が由来でしょうね。京極夏彦にも、ありましたね、百物語と名が付くのは。これは、宮部みゆき版の百物語なのでしょう。


内容的には、江戸時代の話ですが、最新の宮部みゆきのファンタジー「英雄の書」 と繋がるテーマ性も感じました。でも、夏休みに読むのなら、英雄の書よりこっちの方がお薦めかな、キャラが立っているし、読みやすい。それに、夏の夜には怪談がつきものです。江戸時代の時代設定は、全然気になりませんよ、上手に当時の時代について説明してくれてありますから。


やっぱり宮部みゆきは面白いですねー。ということで、この夏一番のお薦めです!続編も期待しています!8029 


以下に各章の簡単な覚え書きを綴っておきます。。。


第一話 曼珠沙華
訪ねた客、藤吉は、長兄のことを語ります。彼の兄は腕の良い職人ですが、あるとき、人を殺めてしまいます。。。江戸版 東野圭吾「手紙」 ?でしょうか。でも、おそろしです。曼珠沙華は彼岸花のことです。


第二話 凶宅
おたかは、子供の頃に住むことになった家について語ります。その家に一年間無事に住めたら100両くれるということで、家族全員で移り住むことになりました。


第三話 邪恋
おちかは、おしまに、自分の身に起きた事件について語ります。それは、自分の許嫁が関係している話でした。


第四話 魔鏡
お福は、絶世の美女の姉と、こちらも美男子の弟にまつわる哀しい話を語ります。


最終話 家鳴り
おちかの元へ、兄が訪ねてきます。兄の身の回りにも変わったことが起きており、それについて心配で、おちかを訪ねてきたのが真相のようです。。。



追記

続編が読売新聞で連載されている とのことです。。。


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