藤沢周平「三屋清左衛門残日録」読みました,隠居は理想の退職後の過ごし方かも・・(後半) | 親愛なる人に-読書の薦め

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読んだ本の感想などを、本屋さんで見かける推薦文のように綴ります・・・お薦め度合いは、☆の数で評価します。親愛なる本好きの人たちに,このブログを届けたいです.

藤沢 周平
三屋清左衛門残日録
文春文庫(1992年9月)443p
☆☆☆☆


前半はこちら・・・

「梅咲くころ」
旧知の松江に縁談話が.でも,そこにはきな臭いが・・・


「ならず者」
昔収賄の罪で禄を減らされた男が,実は冤罪ではないかと,清左右衛門調査すると,そこには,藩の派閥争いが見え隠れする・・・


「草いきれ」
風邪が抜けない清左右衛門.旧知の男の名前が挙がり,青年の頃の出来事を回想する・・・体調の悪いときは,よけい昔のことを思い出すのでしょうね.


「霧の夜」
ぼけ老人と思われた男は,実は藩の重要な秘密を握っていた・・・


「夢」
清左右衛門は昔のことを悔恨する夢をしばしば見るようになった.それはある男が左遷になったのは,自分の行った一言が原因ではなかったかと.ある機会で,清左右衛門は,そのことの真偽について確かめることができるのでした.過去の悔恨の一言が,誰にも二三,あるとは思いますが,年を取るに連れて思いだされるようでは,つらくもありますね.


「立会い人」
清左右衛門が腕を磨いている道場の中根の所へ,果たし合いをしたいと来た男がいた.その男は昔負けたことを悔やみ,そのまま修行を続け,30年ぶりに故郷へ訪れたのであった.清左右衛門が立ち会い人をやる羽目になったが,そこで,中根の秘技が炸裂する!


「闇の談合」
派閥争いがいよいよ本格化し,一気に緊張が高まった・・・


「早春の光」
派閥争いも表面的に収まって,平穏を取り戻しつつあったが,最後に一悶着・・・



後半は,チャンバラもののような緊張感もあります.時代劇が好きな人にはお薦め.また,清左右衛門のような,リタイヤならいいですね,このような隠居なら,まさに理想の退職後の過ごし方といえるかも.清左右衛門のセリフには味があります.


今回の紹介,少々長くなりましたが,最後に,清左右衛門が語ったことで印象的な一文を抜き出して終わりとします

「人間はそうあるべきなのだろう.衰えて死がおとずれるそのときは,おのれをそれで生かしめたすべてのものに感謝をささげて生を終えればよい.しかしいよいよ死ぬるそのときまでは,人間はあたえられた命をいとおしみ,力を尽くして生きぬかねばならぬ,・・・」


追伸

すでに,TVドラマ化されて,DVDも発売されていたのですね,知らなかった・・・

NHKエンタープライズ
清左衛門残日録 DVD-BOX

追伸の追伸

俳優座で舞台にもなっているのですねえ. 何も知らないで本を読んでいました・・・



三屋清左衛門残日録



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