ShinさんのPA工作室

※ないものねだりこそ開発の原点だ※ 


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RCA-77DX リボンマイク 2本目の修理記録

1年ぶりにRCA-77DXを修理(手術)する機会がありました。

ある有名タレントの方から依頼を受けました。

昨年の記事「1617:RCA-77DXの蘇生・復元記録」をたよりに連絡くださったとのこと。

外観コンデションも比較的良くヤル気の湧く個体でした。

 

(修理完成したRCA-77DX)

台風 普遍のオーラを放ちます。

 

今回のマイクロホン手術は

「感度落ち」ということで作業環境のある場所(秋葉原 ナノラボ)で聴かせていただくと、およそ10dB程度のレベル低下がみられました。

入手経路を伺うと海外ではないかと思われることと、状態から過去に分解の跡が確認されました。

所有者にモーター部の状態とヘッドホンモニター確認いただきお預りすることにしました。

 

(お預かりした状態のRCA-77DX)

およそ70年の歳月、お疲れの様子です。

でもお歳なりにいい顔です、このオーラを感ずるのは私だけだろうか・・・

 

おやっフロント側からケーブルが出ていますよ、修理を試みた方が誤って下部を逆付けしたのでしょう・・・・。

とすると誰か人の手が入っているわけでしょう。

何があっても不思議ではない、私自身の土俵で心して修理します。

 

※修理に集中していた為、作業記録写真の少ないのは反省点です。

 

RCA77DX機構図 (RCA公開資料より)

 

診断

リボン、磁極当たりはナシ、とにかく伸びています。

 

修理 

(リボン調整)

まず健康で心身穏やかなとき以外リボンまわりを触る事は厳禁です。

いざとなったら1.8ミクロン厚アルミ箔材からの切り出しを含めた「リボンの全面貼り張替えによる蘇生」に自信を持って覚悟してからでないと、ここからの工程は超危険行為です。

 

仏像を彫るとき、早朝から座禅を組み、読経のあと作品に取り掛かる。

それに近い心身状態がまず最初にこの仕事には必要なことを感じました。

それは妙な緊張ではなく、限りなくリラックスした心の自由さです。

 

1.まずは「リアルタイムモニター」、周囲騒音を使いました。

 

2.リボン上下の「Ribbon clamp screw」をゆるめて竹ピンセットで上方向に丁寧に引き上げた。

(1回緩めて、リボンを置き直したあと再度ネジを締めると俄然感度が上がるのは良く知られたリボンマイク独特の構造的問題でもある)

左右の磁極にリボンが触れないよう爪楊枝を使ってさらに微調整しながら音声を決めていった。

 

3.ネジは片ネジ、必要により両ネジ、と緩め、仮固定と繰り返しながらテンションの調整、さわりながら激変する音を聴きながら答えを出さねばならない。

 

4.これは「マイボイス・リアルタイムモニター」でしか決められないでしょう。

また、77DXの音を知っていることが大前提、ここは全身全霊をかたむけてのチューニングです。

いつまでもゴチャゴチャいじらずに「エイ!」と決めて「仮調整完了」とする。

 

リファレンスの77DXを脇に置いて大変役にたちました。

 

稲妻 (リボンマイクの調整でドライバーを使う時は「マグネット」による不意な吸引にはくれぐれも注意が必要です)

 

かくしてあのRCA-77DXの音が戻ってきた。

細くて短いリボン、それでこの高感度は感動モノなんです。

 

※微鉄粉の除去

リボンにさわるほどの大きさではないが、長い年月のうちに混入するのが埃である、なかには微鉄粉が含まれることもあり、磁極部に2粒ほど確認された。

磁石同士の吸引事故に最善の注意を払い「ネオジウム磁石」を使った吸い取りで微鉄粉除去をおこなった。

 

(ケーブル交換)

上の写真のように痛み果てているケーブルの交換です。

茶色のこのケーブルは最近国内モノも現れてきたが、やはりそこは(米)BELDENであろう。

BELDEN-8402・・・・オリジナルと全く同色、径がオリジナルの7.5Φに対しやや細い6.5Φだが交換のしやすさではこの方が良い、ゴム引きケーブルの質もほぼ同一でありこれ以上のものはないだろう。

 

(出力インピーダンス)

RCA公開資料より

巻数比の高い250Ωで決定、感度を落とす理由が見当たらない。

 

 

 

かくして完成間近だが、仕上げのリボン調整は一次修理とは異なりほとんど「瞑想状態」でモニターヘッドホン(900ST)から聴こえる自分の声(マイボイスリアルタイムモニター)だけを頼りに「Ribbon clamp screw」」と8倍ルーペを使ってRCA-77DXとひたすらの対話である

 

そして指向性切り替えを含めてスペアナ波形を併用した作業。

「出来た!」とつぶやいた瞬間、あれほど心身をフリーにして始めた調整にもかかわらず、気がつけば手先も「ガチガチ」になっているのに気がついた。

しかし無事終わったのだ。

 

 

 

(指向性切り替え)

 

【指向性切り替えと回転シャッターとの関係】

最終確認として6ポジションの指向性確認(スリットをふさぎ各指向性を得る構造)それぞれ独特の音、特性を持つ。

 

 

RCA-77DX公開取説より

 

 

 

 

全ての確認を終えて修理は完全に終了しました。

依頼者ご本人とお会いして引き渡し。

モニター確認していただきました、ご満足いただきうれしいかぎりです。

 


双葉 ビンテージ品を取扱う上でオリジナルパーツの代替えはないことを肝に銘じ絶対に紛失しないよう細心の注意をはらった、ネジ1本でもビンテージのマイナス・インチネジ、年老いた代わりなどあり得ない。
ケーブルの交換はオリジナルまたは完全互換品に注力、劣化したコネクタはSWITCH CRAFTにと、さりげなくバランスをとったアメリカン・テイストにこだわった。

 

                     以上

 

お知らせ)
fetⅡ、fetⅡi、fet3 、fet Vなど、ご注文により人気機種の製作を承っておりますのでお問い合わせください (いまや希少となったパナソニック WM-61Aとオリジナル・パーツで製作)  
(Shinの「ファンタム式パナ改マイク」は従来通りPanasonic WM-61A使用です)

 

 

モノ作り日本もっと元気出せ 

 

【おことわり】

★ここで公開している回路・写真・説明文などは音響家の方、アマチュアの方でハンドメイドまたは試験評価なさる場合の参考として考えております。

★製作物・加工物の性能・機能・安全性などはあくまでも製作される方の責任に帰し、当方(Shin)ではその一切を負いかねます。

★第三者に対する販売等の営利目的としてこのサイトの記事を窃用する事は堅くお断り致します。

★情報はどんどん発信していきます。ご覧いただき、アレンジも良し、パクリも結構です、Shinさん独特のこだわりと非常識を以て音響の世界を刺激してまいります。 

  
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