まず、鳩山元総理が「ルーピー」呼ばわりされているのは、米国のメディア策略の結果であり、レッテルを貼ることで言論封鎖に成功した証と言える。

そして、その発端となった原因は総理大臣就任当初の「脱米国」の姿勢と考える。
鳩山元総理が、米国政府から途轍もない反感を買った理由に下記の3つが挙がる。

・沖縄県から全ての米軍を県外移転させる姿勢を示したこと
・毎年交換する米国の内政干渉である「年次改革要望書」を廃止したこと
・東アジア共同体を日米同盟と同レベルで外交を展開したこと

これら外交・安全保障で「脱米国」を鮮明にしたことで、米国の意向を官僚機構が受けて、プロパガンダである既存メディアを使ってバッシングしたのである。

ワシントンポストが用いた鳩山元総理を指す「ルーピー」という言葉は、鳩山元総理の発言を抹殺する効果を発揮して、国民が誰も発言を信用しなくなった。

残念なのは、総理辞任後に訪問したイランでアフマディネジャド大統領との会談内容を既存メディアが報じず二元外交と騒ぎたて事実を掻き消したことである。

参考記事:鳩山元首相のイラン訪問は「二元外交」だったのか、「IAEA批判」により隠れた会談の真実は何処に

イランが核開発問題でどのように考えているのか、世界の懸念をどのように払拭するのか、日本とはどのような関係を築きたいのかなど欧米側の言い分でなく、イラン側の言い分を知る絶好の機会だったのである。

この会談に一切触れず、この内容を一切報じず、日本のメディアだけしか騒いでいないのに「外交問題に発展する」と大々的にバッシング報道をしたのである。

既存メディアの「米国が正義」「官僚機構が正義」とする偏見報道は必要ない。報道機関が事実だけを伝えて、国民が善悪を判断する社会になるべきだろう。

前置きが少々長くなったが本題である鳩山元総理の「尖閣は係争地」発言に入る。

もし、鳩山元総理が「尖閣諸島は係争地である」と考えているのであれば、中国ではなく日本において今回の発言をして世論で多数派を形成すべきである。

元総理の名を語り中国外務大臣との会談で初めて述べる私見など卑劣極まりない。
鳩山元総理の「尖閣は係争地」発言は、完全に日本の国益を損ねていると言える。

つまり、日本維新の会の橋下代表代行が以前に発言した「竹島の日韓の共同管理」と同罪であり、日本人が学んできた歴史を完全に否定する発言となる。

日本の歴史は「尖閣諸島は、歴史的事実に照らしても国際法上も明らかに日本固有の領土であり、中国は1970年代に領有権を主張してきた」なのである。

もし、鳩山元代表が発言したように「領海侵犯や領空侵犯を頻繁に繰り返したら係争地に入る」ことを日本が認めたら、竹島と北方領土はどうなるのか。

鳩山元総理が、日本が右傾化ならぬ米国化することを警告することは理解できる。
しかし、元総理と言えど日本の歴史に反旗を翻して国害となる発言は慎むべきだ。

[17日 産経新聞]訪中の鳩山元首相 外相らに尖閣は「係争地」と発言
「個人の立場」で訪中している鳩山由紀夫元首相は16日、北京で賈慶林全国政治協商会議主席、楊潔●(=簾の广を厂に、兼を虎に)外相らと会談した。終了後、記者団に対し、沖縄県・尖閣諸島について日中間の「係争地」との持論を伝えたことを明らかにした。

鳩山氏は「日本政府は『領土問題は存在しない』というが、歴史を眺めれば分かる話だ。今係争が起きていることは事実で、お互いに認めることが大事だ。領土問題は存在しないと言っていたら、いつまでたっても答えは出ない」と述べ、日本政府の見解を真っ向から否定した。「棚上げ論」についても中国側の主張におもねった。

賈氏らは鳩山氏の発言に同意したという。ただ、鳩山氏が希望していた習近平国家副主席との会談は実現せず、中国側が鳩山氏の訪中が日中間の関係改善につながると期待していないことを物語る。

中国側が鳩山氏を招待したのは、親中的な同氏に自国の立場を吹き込み、特使派遣を検討する安倍晋三政権に圧力をかけるのが目的だ。17日、江蘇省南京市の「南京大虐殺記念館」に鳩山氏を招くのも、歴史問題に絡み同氏を利用する狙いがうかがえる。

鳩山元総理が言っていることは「日本は過去の歴史を放棄すべき」と同意である。

これは、日本と中国にどのような文献が存在しようと歴史を検証せず、第三国がどのような認識を持っていようと介入させず、歴史を書き換えることである。

もし、この理論通りに事が進めばどうなっていくか考えたことがあるのだろうか。

尖閣諸島で日本による実効支配が解かれれば、日本の10倍の人口の中国が数の論理で大船団を率いて尖閣諸島を占拠して、あらゆる施設を建造して住み着き、逆に日本が中国の実効支配を許す羽目になるのである。

これは、過去に中国人が尖閣諸島に不法上陸して沖縄県警に逮捕され那覇地検に処分保留で保釈され、中国に帰国すれば英雄になる事実が証明している。

おそらく、領土問題を認めれば「我こそは英雄に」と乗り込んでくることだろう。

では、鳩山元総理の理論を照らし合わせれば、韓国が実効支配している竹島やロシアが実効支配している北方領土はどのような結果となるのだろうか。

おそらく、韓国もロシアも実効支配している領土を譲歩して係争地と認めることなどあり得ないから、結果的に日本だけが領有権を放棄したも同然となるだろう。

つまり、この時点で竹島も北方領土も日本の領土でないことが確定するのである。

このことから、鳩山元総理の「尖閣諸島は係争地である」発言は、中国が尖閣諸島を実効支配することを許して、竹島が韓国の領土であることを認めて、北方領土がロシアの領土であることを認めることに等しい。

鳩山元総理は中国訪問で日本の国益を大きく損ねる発言をしたことは間違いない。

たとえ百歩譲って、鳩山元総理の「尖閣は係争地」発言を認めたとして、尖閣諸島や竹島、北方領土に代わって余りある国益を中国から勝ち取ったのだろうか。

日本の歴史を放棄して中国の歴史を信任するための訪問と言っても過言ではない。
そして、この発言で鳩山元総理が防衛大臣に「国賊」と呼ばれたことも仕方ない。
外交は国民を守るため国益を守るため行うのであり国益無き譲歩など阿呆である。

もはや、理由はどうであれ日本政府が尖閣諸島を国有化した事実は曲げられない。
この事実を日本の歴史として受け入れて尖閣諸島は次のステージに進むしかない。



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