枝野経済産業大臣の緩い指導のまま東京電力を延命するより、一旦清算したほうが結果的に電力自由化も賠償支援も早まるだろう。

加害者であるはずの東京電力が身の切る改革をできず国民に負担を求めている様は、消費税増税の野田政権と同じ穴の狢と言えよう。

[29日 時事]1兆円公的資本注入を申請=追加賠償資金8459億円も-東電
東京電力は29日、原子力損害賠償支援機構に対し、財務基盤強化のための1兆円の公的資本注入と、福島第1原発事故の賠償に充てる8459億円の追加資金支援を申請した。東電と原賠機構は4月以降に経営改革や合理化に向けた取り組みを「総合特別事業計画」にまとめ、政府に提出する。これを政府が認定すれば、計1兆8459億円の公的資金が東電に投入される。

東電が政府に資本注入を要請するのは初めて。資本増強で著しく悪化した財務基盤を強化し、廃炉や放射性物質の除染といった事故処理作業と、電力の安定供給に必要な発電施設の整備を着実に進めることを目指す。

一方、賠償資金の支援では昨年10月と12月に計1兆5800億円を申請、政府の認定を受けている。3回目となる今回の申請で賠償資金の累計支援額は2兆4000億円強に膨らむ見込み。資本注入を合わせた公的支援は3兆4000億円強に達する。

まず、昨日28日に10都県の知事からなる関東地方知事会が東京電力の西沢社長に電力料金の値上げ中止を要請を直談判している。

知事会側と東京電力側の双方の言い分が以下になる。

●知事会側
「(有価証券報告書から試算した平均年間給与が国家公務員より高いことから)人件費の削減率が20%では低いのでは」
「東電の大卒社員は20%削減後も835万円と高水準で給与が安いと回答するのは不見識で30%以上削減すべきである」
「子会社や関連会社との随意契約を一般競争入札にすれば、コストを少なくとも20%程度削減できる」
「中小企業と同じにしろとは言わないが、値上げで痛みを受ける中小企業の思いを考えれば、再考すべきである」
「国民の税金が入ることを重く受け止めているように思えない」

●東京電力側
「本年度は(高卒を含む全社員の平均は)570万円で、国家公務員の634万円を下回っている。ただ大卒は1020万円」
「執行役員クラスは半分というか4割以上カットさせており、そういう形で上に行けば行くほど大幅なカットをしている」
「(値上げに関して)一連の説明がちょっと不親切で足りなかったということに対して本当に心からおわび申し上げたい」
「しっかり説明して合意とご理解を得て契約ができればということで進めていきたい」

これ以外にも下記のやり取りがあった。

・「もっと合理化やコスト削減で値下げが可能ではないか」に対して「合理化徹底で4回の料金値下げサービスの充実をしてきた」と回答
・「人件費は少なくとも30%以上削減すべきでは」に対しては「基準外給与を除けば国家公務員の水準を下回る」と回答
・「企業が関東地方から逃げていく。決して容認できない」に対して「燃料費の大幅な増加で供給に影響を及ぼしかねない」と回答

つまるところ全く話が噛み合っていないのだ。

明らかになったことは、知事会側の試算から東京電力の大卒社員の平均給与が20%削減しても835万円であるということである。

これは国家公務員を抜き日本屈指の一流企業にも匹敵する金額である。潰れそうな企業としては常識では有り得ない給与であろう。

この状態のまま国内の事業会社(金融機関は除外)ではカネボウや日本航空などを大幅に上回り過去最大の政府支援を仰ぐというのだ。

廃炉費用や燃料費増大により財務基盤が著しく悪化していているからと言って経営努力なしに財政支援をお願いするなどあってはならない。

東京電力の支援に使われるのが国民の税金であり、その分を東京電力が電気料金に上乗せして国民が支払うという構造も解せない。

そして4月から行う企業向けの料金値上げに至っては「契約してくれないと電気の供給が難しい」「他社にするならさらに値上げを検討する」といったいわば脅しとも受け取れる高圧的な態度を示している。

また、料金値上げの通知書についても「契約更新までは拒否できる」「連絡がなければ了解と見なして実施する」などを知らせず、「契約切れ後50日経過で電力供給を止める」など企業も怒り心頭であろう。

東京電力がこのような姿勢であれば13年3月期を待たず債務超過にするべきだ。その後、一時国有化しても電力供給がストップしないのだから。

過去2回の賠償資金の支援では昨年10月と12月に計1兆5800億円を申請、政府の認定を受けており、原子力損害賠償法に基づく1200億円を合わせると計2兆5000億円もの公的支援を受けている。

つまり今回の支援を合わせると3兆5000億円規模となる。しかも廃炉費用に目処が立たず、燃料費高騰も止まらず、加えて円安である。

外的要因を考えただけでも今回の公的支援1兆円だけでは再び債務超過の危険性が叫ばれ東京電力から支援を要請されるのは明らかだろう。

申請を受けた支援機構は東京電力と策定している「総合特別事業計画」に公的資金の注入申請を盛り込み枝野経済産業大臣に提出する。

しかし、支援を受けるため必要なリストラや経営責任を明記した「総合特別事業計画」の策定は先送りされ4月となっている。

「総合特別事業計画」の策定に関しては、くれぐれも枝野経済産業大臣に2月に明言した下記の発言を忘れないでいただきたい。

「東電が機構から資本注入を希望するなら、注入額に照らして十分な議決権が伴わない形で資本注入を求める計画が提出されても、認めるつもりは全くない」

参考記事:枝野経済産業大臣が東京電力に6900億円の支援認定、実質国有化は電力自由化を遅らせるのでは

つまり、既存メディアではこの申請を受けて政府が7月にも資本注入を実施し事実上国有化するとの流れで報じられているが、「総合特別事業計画」で3分の2以上の議決権を政府保有しない場合は破綻するのだ。

しかもその前に「総合特別事業計画」が策定できるのかさえ危うい。現在、引責辞任の勝俣会長の後任人事の難航しているのだ。

枝野経済産業大臣が支援認定を決める判断となる十分な議決権割合は、政府主導で選定中の新会長の意向に沿って決める流れなのだ。

その選定中の新会長が事実上なり手がいない状況となっている。現在、支援機構では経済界を中心に人選を進めている。

新会長には賠償や事故処理という重責と被害者への謝罪並びに国会での答弁など与えられる仕事を考えただけでも大変だ。

しかも廃炉への工程も定かではないし再び原発事故を起こすような事態も想定される。放射能を懸念して家族の反対もあろう。

さらに公的支援や議決権割合変更となれば、株主総会で出席株主の3分の2以上の支持を得なければならない特別決議が必要である。

そうなれば総会の準備にもかなりの時間を要することから、政府の7月にも資本注入を実施し事実上国有化というシナリオも崩れる。

つまり、お先真っ暗である。やはり東京電力は債務超過となるまで待って、その後一時国有化して出直すのが最善の策であろう。




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