いま人生の100のリスト制作中です。

ロバート・ハリス氏を倣って。

やりたいことを片っ端から書いて、できることから叶えようというものです。

早い話がやりたいことのリストです。

不思議なもので100も思いつかないんですよ。

いま46個です。

その中には小学生でも書かないってものもありますが。

夢なんで仕方ありません。

とりあえず出来る限り叶えます。

2006-12-13 22:05:06

2006

テーマ:ブログ

今年のベスト。


音楽 : 青空   The Blue Hearts

映画 : なし

美術館 : ダリ美術館(上野の森美術館に来ている)

テレビ : 情熱大陸「山野井泰史」

本 : 異邦人   カミュ

CM : ポカリスエットの綾瀬はるかが、棒高跳びして跳んでるやつ

出来事 : 胎動



こんな感じっすかね。

来年は、子育てと映画撮影を頑張れたらと思います。

とりあえず、携帯の動画で、ショートムービー作ります。

できたら、10分くらいまで繋ぎたいっすね。

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2006-09-25 20:47:45

親父になります。

テーマ:ブログ

知ってられる方もいると思いますが、知らない方もいますので。

年が明けると子供が生まれます。

彼女に聞かされたとき、困ったって気持ちは全くなくて、産めよ、って言いました。

無責任な発言かもしれませんが、ほんまにそう思いました。

もちろん、映画を撮りたい、って夢を諦めたわけじゃありません。

高校のときから映画を撮りたくて、でも誰にも言えなくて、

今の彼女と出会ってから、素直に、

いつかみんなをびびらせるような映画を死ぬまでに撮りたい、って堂々と言えるようになりました。

でもしばらくは子育てに励もうと思います。

難しい因数分解ができるより電車でおじいちゃんに席を譲れる子供になってほしい。

カラカラ帝が大浴場を作ったことを知っているより「ありがとう」を言える子供に育てます。

日曜日、疲れていても遊んであげれるように、

いっしょに遊びたいって思ってもらえるような親父になります。

難しいやろうけど精一杯がんばります。

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2006-07-22 10:22:54

スイミー

テーマ:ブログ

小学校の国語の教科書に載っていた『スイミー』。

赤い群れの中で、黒いのが一匹。

彼の名前がスイミー。

僕は、スイミーが大好きでした。

いろんな海の中をうまいこと表現していて。

でも腑に落ちないことがひとつありました。

原作の一部がカットされて、教科書に掲載されているんですよね。

それも、たった数行くらい。

もちろん、倫理上、宜しくない言葉が使われていたわけではありません。

絵本を読んで、ずっと疑問に思い育ちました。

まだ謎は解けていません。


毎年、夏になるといろんな出版社が『この夏の文庫フェア』みたいなのをやり、

伸び悩む売り上げを伸ばそうと努力しています。

それらの中には名作と思えるものがたくさん存在し、毎年参考にさせていただいております。

僕は、この夏は小学校の教科書に載っていたものを中心に読もうと思っています。

都道府県、地域により、知っているもの知らないものがありますが。


「スイミー」「ごんぎつね」「てぶくろを買いに」

「スーホーの白い馬」「クラムボン」「大陸は動く」


この辺りですね。

やっぱ、全て名作ですね。

いまの小学生もこのような作品を読んでいるのでしょうか。

時代が変わっても、いいと感じるものは残って欲しいと思います。

どの作品も短いので、みなさんも是非読んでみてください。

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2005-11-19 11:59:30

残業虫

テーマ:短篇

僕は各駅停車が好きだ。時間があればわざわざ各駅停車で目的地まで行くこともある。小春日和の各駅停車は格別だ。電車の揺れ、空気の暖かさ、太陽の光、エキストラのような乗客、響く車内アナウンス、目を奪う宙吊り広告、全てが計算されている。数々のオーディションを合格したものたちが集まっているとさえ思えてくる。そんな最高のシチュエーションの中で僕はひとりの男と出会った。年齢は五十半ばくらいだろうか。ひょっとしたら定年まじかという歳かもしれない。彼は吉村と名乗ったが、本名なのか定かではない。しかし彼が僕に話しかけたことは事実である。

 彼はさっき停まった駅から乗ってき、一度席に座ったが何を思ったのか立ち上がり、僕のほうに近づいてきた。そして僕の横に座った。僕は迷惑だと感じた。これだけ空いているのにわざわざ僕の横に座らなくてもいいじゃないかという怒りさえ感じていた。

「あのう、少しお話してもよろしいですか」

 やっぱり来たか。僕は内心、迷惑だと叫んでやろうと思ったが、大人気ないと考え直し、とりあえず聞いてみることにした。

「何かの勧誘とかはけっこうですよ。宗教に興味はないし、貯金なんてありませんから何も買ってあげれないし、寄付もできませんよ」

男は困った顔を作り、何から話そうか迷っているように見えた。

「いや、私は勧誘などではありません。吉村と言います。もし気に食わないのでしたらけっこうです。少し私事を聞いていただきたいだけです。気に入らなければ途中で言ってもらえれば止めますので」

 聞かなくてもいいと言われれば、聞きたくなるのが人間の心理というものだ。僕も人間である。当然、男の話を聞いてみたくなった。

「私は三年ほど前に会社を退職しました。自己都合です。もともと子供もいないものですから、生活には困りません。病気も治り、いまはのんびり家内と暮らしています」




 吉村は商社で創立以来と噂されるほどのエリート営業マンだった。もともと頭の回転の速い方だったし、吉村が相手にしていた企業の成長も追い風となり、入社してから今まで社内では肩を並べるものがいないほどだった。たとえそれだけ営業成績が良くても、吉村は今に自分に満足せず常に上を目指し、会社のためと考え、人並みならぬ努力をしていた。そんなエリートであったにもかかわらず、吉村はいまの役職より上にいけなかった。二十代の頃、上司、若い女の子の社員がみんな自分に声をかけてくれ、いずれは役員になれると冗談まで言ってくれていた。三十代の頃、上昇志向の強かった吉村は自分が夢に確実に一歩ずつ近づき始めていることがわかった。その感触のおかげで、さらに仕事に励むことができた。四十代になると、会社の大きな部分(外部に漏らせない部分)を任され、吉村の上に立つ人間は数えるほどとなった。五十代になった頃、人事異動の度に胸を躍らせ、そして期待を裏切られた。五十代半ばになると、まわりが揶揄しはじめるのを背中に感じた。しかし、吉村は仕事に手は抜かなかった。若い頃以上に会社に献身的になり、もちろん残業も進んでした。若い頃より、がんばったかもしれない。




「だからつらかったんです。仕事はもちろんできる。部下からも信頼されている。しかし、ずっと上に上がれない。はじめは、私の部下たちも抗議をしてくれたんです。営業成績、勤務態度、何をとっても問題なしだってね。しかし三年ほど経ったころですかね、部下たちが私に不信感を抱き始めたんです。あれほどの成績を残しているし、私生活も問題ない。そんな人がなぜ上に上がれないのだって。ほんとうにつらかったんです。そして何かが変りました。残業をしていたあの日、何かが変わったのが自分でもわかりました。それまで病気ひとつ、働いてからは大きな風邪ひとつ引かなかった私が突然、腹痛を感じたんです。痛みはそれほど大きくなかったのですが奇妙だったんです。キリキリとお腹から音が聞こえてくるんです。小さな音でしたが、間違いなく鳴っているのがわかりました。痛みよりも恐怖が襲ってき、その日はそのままうちに帰りました」




「珍しいじゃない、こんな早くに。残業って言ってなかった?」

 何も知らない吉村の妻は、居間でテレビを見ながら吉村の帰りを待っていた。残業をした吉村の帰りは決して早くはないが、子供がいない夫婦にとって何時に夕食をとっても気にならなかった。むしろ妻は、吉村といっしょに夕食をとるのを楽しみにしていた。それほど仲のいい夫婦だった。

「大変なんだ、お腹が痛いんだ。キリキリ鳴るんだ」

「トイレは?お腹壊してるんじゃないですか」

 吉村は状況を把握できてない妻に少し怒りを感じた。

「違うんだ。お腹は痛い。でも音が鳴っているんだ。キリキリ痛むんじゃなくて、キリキリ音が鳴っているんだ」

 そう言うと、吉村は背広のボタンを外し、Yシャツと肌着を巻くし上げ、妻にお腹を差し出した。

「あなた、もういい歳なんですから」

「冗談じゃないんだ、本当に音が鳴っているんだ」

 吉村の剣幕に押されたのか、妻は半信半疑のまま吉村のお腹に耳を当てた。しかし妻にはなにも聞こえなかった。

「なにも鳴っていませんよ」

「そんなはずはない。ほら今も聞こえる、キリキリっと鳴っているじゃないか」

「私にはなにも聞こえませんよ。お腹で響くから鳴っているように聞こえるんじゃありません?」

 吉村は腹が立ったが、どうやら妻はほんとうに聞こえないらしく、これ以上言っても仕方ないと思った。痛みが小さいのと、妻が明日には治るというので、明日まで様子を見ることにした。


 しかし、次の日になっても痛みと音は消えなかった。大人になってから風邪すら引いたことのなかった吉村は怖くなって、会社を休み、病院に行くことにした。結婚してから一度も会社を休むことがなかったので、さすがに心配になった妻は、病院について行くことにした。

 吉村が向かった病院は、会社と提携している病院だ。会社の健康診断はこの病院でしてくれる。大きな病気にかかることのなかった吉村にとっては唯一訪れたことのある病院だった。場所は立川にあり、会社のある新宿からは離れているが、医者にも毎年会っているし安心感がある。病院は平日だというのに混んでいた。吉村は不謹慎ながら、こんなにも病気になっている人がいるのかと感心したし、仲間がいる気がしてうれしくなった。病院に入ったものの、どこの科で診てもらえばいいのかわからず、受付で症状を伝えると、はじめに内科で診てもらうことになった。

 内科の前で待っている間、吉村は自分の症状の原因について考えてみた。真っ先に昨日、一昨日の食事を考えたが、会社にもお弁当を持っていっているため、妻に症状がなく自分だけにあるのはおかしいと考え、食事が直接の原因ではないと思った。そしていろいろと悩んだ末、原因はストレスなのかもしれないと考えた。ストレスのせいでキリキリという音が自分にしか聞こえないのではと思った。


「吉村さん、吉村順治さん、2番中原先生の診察室へお入り下さい」

しばらく待つと、看護婦さんが自分の名前を呼んでくれるのが聞こえた。こうやって名前を呼ばれると不安が募る。もう戻れない。こんなに緊張しているのはなぜだろうか。初めての病院だからなのだろうか。

 診察室に入ると、中原先生が座っていた。中原先生は、うちの会社の健康診断を毎年やってくれている。営業成績がよかったことがあってか、私のこともよく覚えていてくれた。

「こんにちは、吉村さん。今日はどうされましたか」

「ご無沙汰しております、中原先生。実はお腹が痛いんです。ただ痛いのではなくてキリキリと音が聞こえるんです」

「わかりました。とりあえず診てみないことにはなんとも言えないので、上着をあげてもらえますか」

 指示されたとおり、着ていた服を上げた吉村の胸と腹部に中原は聴診器を当てた。時期的なことを除けば、毎年の健康診断と変わりない診察だった。ひととおり聴診器を当て終わると、今度は手で優しく触り始めた。全体を触り終えた中原はデスクに向かった。そしてカルテに何か書き込むわけでもなく、ただカルテとペンを見比べていた。吉村はその光景を見て、何か迷っているんだな悟った。

「先生、どうしたんですか」

 しかし中原は吉村の声が聞こえないのか、ずっとカルテと右手に持ったペンを見比べていた。

「先生、私はどこか悪いのですか」

 中原はまだ吉村を見なかった。そのことが吉村をより一層不安にさせた。

「先生、何か言ってください」

 この言葉は中原に伝わったらしい。中原はゆっくりと吉村の方に顔を向け、音声を制限されたロボットのように話し始めた。吉村にとって、それは話したというより、声を発したようにしか思えなかった。

「奥さんがいっしょにいらっしゃっているんですよね。いっしょに聞いていただいてよろしいですか」

 この言葉が意味することはなんなのだろうか。吉村は最悪の事態を考えた。もう仕事はできないのでは?あとは限られた余生を楽しむわけでもなく、カウントダウンのように過ごすだけなのでは?、と。

 吉村を案内してくれた看護婦さんが、妻を呼びに行ってくれた。妻の顔は青ざめていた。さすがに自分が診察室に呼び出されるとは思っていなかったのだろう。

「こんにちは、奥さん。落ち着いて聞いてください。まず私の話を聞いてください」

中原はゆっくりと子供をなだめるように話した。

「吉村さん、結論から言わせてもらいます。あなたのお腹には、残業虫という虫がいます」

「残業虫?な、なんですか、それは」

「なんなのかと聞かれると私も答えれません。おそらく世界に吉村さんの問いに答えれる医者はいないと思います」

吉村は唖然とした。わけが分からなかった。こいつは何を言っているんだ。

「実はですね、残業虫という虫がいるという事実も確認されておりません。つまりいまの医学界でははっきりしていないということです」

「どういうことなんですか」

「落ち着いてください、吉村さん。私の話を聞いてください。あなたのお腹には残業虫という虫がいます。ただこの虫は医学界では難しいところに位置付けられます。存在を認めているドクターもいれば、認めていないドクターも大勢います。私は前者で、存在を認めています。ただ先ほど言いましたが、確認されていないのです」

 そこまで言うと、中原はもう一度吉村のお腹を触り始めた。しばらく何かを探すようにしてから言った。

「吉村さん、ここを触ってください。少し温かいでしょう」

 吉村は言われた場所を右手でそっと触れた。確かに温かい気がする。言われなければ気付かないくらいの温かさだ。大きさは親指を少し大きくしたぐらいだろうか。

「わかりますか」

「はい、確かに温かいことはわかります」

「それが残業虫です。体中を、まあ、お腹がほとんどなのですが、動き回ります。睡眠中に移動することが多いと報告されています。話を戻しますね。まず、なぜ残業虫がいまの医学界で難しい位置にいるかです。触ってもらったように残業虫は熱を持っています。手で熱を感じることができます。もちろんサーモグラフィで見ても映ります。しかしレントゲンを撮っても写らないんです。何かある、いるはずなのに写らないんです」

 吉村の妻は泣き崩れた。吉村は思った、妻が泣いたのはいつ以来だろう。もう何十年も喧嘩らしい喧嘩はしていない。記憶が正しければ、私の母が他界したときではなかったのか。あのとき確かに、妻は泣いてくれた。私以上に涙を流してくれた。

「吉村さん、だいじょうぶですか」

 吉村は、はっとして自分がいま病院にいることを思い出した。

「先生、どうすればいいのですか」

「話が途中だったので続けます。奥さんも聞いてください。大丈夫ですから聞いてください。残業虫はもともと日本人しかかからない病気でした。しかし現在では、香港、韓国などでも報告され、最近ではシンガポールでも確認されています。我々、つまり存在を認めているドクターは日本型、香港型と地名をつけて分類しています。型によってどのように違うかと申しますと、鳴く音、つまり声ですね、それが違います。不思議なことに鳴く声は残業虫にかかっている人同士にしかわかりません。超音波に反応するということだけは報告されています。今のところ、鳴き方以外に型による大きな違いは発見されていません。なぜか日本人は日本型、韓国人は韓国型と国籍別の鳴き方になっています。住んでいる地域ではなく、国籍によりかかる残業虫の型が決まっているのです。残業虫はアジア人しかかからない病気なのです。そのためアメリカや欧州などの医学界ではなかなか認められませんでした」

「先生、主人は、主人はどうしたらいいのでしょうか」

 吉村の妻が赤くなった目を精一杯開きながら、言葉にならない言葉を発した。

「奥さん、だいじょうぶです。聞いてください。まずご主人さんが、どのような病気にかかっているのかを説明しないといけません。これは医者としての義務ですし、吉村さんに理解してもらえる最良の方法だと思います。実際に、韓国で本人の同意を得て、体の内部を調査したことがあります。簡単に言うと、体を開いて探したわけです。すみません、このような言い方で。もっともわかり易い言い方ですから。しかし見つかりませんでした。この報告を知ったアメリカの大学病院の医師たちは深く興味を持ちました。そして最先端の医療を駆使し徹底的に調べようとしたのです。けれども残念ながら、成果と呼べるものを挙げることができませんでした。プライドを傷つけられた医師たちは、残業虫を否定し始めました。そのためアメリカの医学界から存在を否定されている残業虫は、現在でも難しい位置付けをされているのです。かいつまんで話しておりますが、おわかりですか」

「はい、だいたい理解できます。それで、それでどうしたらよいのでしょうか」

「現在の医療で治療することは不可能です。実体さえつかめていないのですから、薬を処方することができません」

 吉村は唖然とした。文字通り、目の前が真っ暗になった。隣に座っている妻は嗚咽をあげていた。

「医学的には無理なのですが、私が言うようにしていただければ必ず治ります。これは保証します」

 中原は吉村の肩に手をかけながら言った。

「ここからは私的な意見なので、信じるか信じないかは吉村さんに任せます。仮説にすぎません、しかし私は間違っていないと思います。まず原因なのですが、ストレスだと私は考えております。残業虫の存在を認める医者として、何人もの患者を診察し、カウンセリングをしました。彼らの共通点としていちばんに挙げられるのは、彼らがみな相当なストレス、プレッシャーの中で生活していたということです。そしてストレスを取り去ればすぐに痛み、音ともになくなりました。プライバシーの問題もありますので、彼らの職業はお教えできませんが、吉村さんのようなタイプの方がほとんどですね。仕事、役職に悩んでおられる方ですね」

「先生、単にストレスが原因だといままでにもたくさんあったじゃないですか」

「確かにおっしゃる通りです。なぜ残業虫かというと、先ほどお話したように熱を持ち、生き物のように動くからです。そこが私がストレス性のものと区別する理由です。それに残業虫にとってストレスは間接的な痛みの原因です。私の仮説ですよ、あくまでも仮説ですから。過度のストレスにより残業虫の卵が体内にできるんです。結石のようなものをイメージしてください。少しずつ何年もかけて、溜まって固まって卵になるんです。そしてある日、殻を破り残業虫として生まれるのです。残業虫はストレスを食べて成長しています。どんどん大きくなっていきます。おそらく胃袋よりも大きくなるだろうと思います。しかし、そこまで大きくなるほどのストレスに耐えた人がいないので、どのくらいまで成長するかはわかっておりませんし、どうなるのかもわかりません。逆にストレスさえなくなれば、餌がなくなるわけですから、すぐに死んでしまいます。これはあくまでも仮説です。私の意見です」

 吉村は自分のお腹に手を当て、見つめた。この中に世界的に難しい位置付けをされている未確認の虫が生きているのだ。




「それでどうなったのですか」

 電車に揺られていることも忘れていた僕は聞いた。

「もうお分かりでしょう。私は生きています。痛みにも音にも悩まされることなくこうして生活しております。おっ、私が降りる駅に着きましたね。それでは、またお会いする機会があれば。このような親父のつまらない話を聞いてくれてありがとうございます」

 吉村と名乗る男は停車した駅で降りていった。


 吉村は三年前、病院に行ってからすぐに会社を辞めたのだろう。三十年以上勤めた会社を辞め、負担になっていたストレスを全て取り除き、体から残業虫を追い出したのだ。そしていまの笑顔を手にしたのだろう。吉村は後悔していないと思う。僕にうれしそうに残業虫の話をしていたのだから。後悔していたら他人に聞いてもらおうとは思わない。もし、もしになってしまうが、もう一度吉村に会う機会があれば、僕のお腹を触ってもらおうと思う。残業虫はいないとは思うが。


 僕は思う。日本人で残業虫を飼っている人は少ないものの、卵を育てている人は案外多いのではないかと。いわゆる残業虫予備軍のことだ。これからどんどん増えていくのだろう。

あなたのお腹には残業虫がいますか。ひょっとしたら卵くらいならあるかもしれませんね。残業虫を飼った人から直接話を聞いた僕だから言える忠告です。決して餌を与えてはいけませんよ。そうそう大切なことを書き忘れました。残業虫の卵の温度は体温と同じくらいだから、存在していてもわからないらしいですよ。残業虫が生まれて初めて気づくみたいです。

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