「ドバイの鼻炎は石油が出るって!」「じゃあ、お鼻が燃えちゃうね」 | しちにんブログのブログ

「ドバイの鼻炎は石油が出るって!」「じゃあ、お鼻が燃えちゃうね」

風光る(川三番地のほう)の文庫を全巻、2500円で手に入れたので、今週ずっと読んでいた。

ときに、小学校低学年からずっと眼鏡をかけている奴が、或る日突然に眼鏡を外すと目がキラキラと輝いている。なんかすごい希望に満ち溢れたように輝いているのだ。

川三番地の漫画のキャラはそんな感じの目をしている。全員。というか、トンボとかハエの目に近い。

そして、真正面度アップの絵が多い。そして、女の子がブス。これが川三番地だ。お色気ヒロインなど糞食らえと言わんばかりのドグサレ野球漫画家や。スタンドで鼻水ぶちまけて驚く応援団も毎回登場する。

まず、感想を述べると、面白かった。ただ、面白かったのに、登場人物の名前を一人も覚えていないという不思議。主人公の名前が高橋だったか野中だったか覚えていないのだ。不思議な漫画だ。

で、主人公以外の区別がつかない。この作者のすごいところが5パターンくらいしかキャラの引き出しが無いのに、最低9人必要な野球漫画を書いてるというところなのだ。まず、主人公のチームの2番と6番が同じ人。で、一番っぽい人が四人くらいいて、三番っぽい人が二人くらいいる。それで、レギュラーが成立している。で、残りの補欠はみんな同じ顔。この街の女は、みんな将軍様の側室なんじゃねぇかってくらいにソックリ。

で、主人公だけ、背が低いという設定なので直ぐに見分けがつく。あと、主人公の高校の弱小チームを再建する監督だけは、歯ブラシみたいな髪型で直ぐに見分けがつく。

あと、老監督。みんな、大杉漣が老いたような感じでソックリ。

他はユニフォームと、帽子のかぶり方とかで見分けるという趣の漫画だ。

 

話をかいつまんで話すと。野球して、最終回に主人公がホームランを打つ漫画。もう少し詳しく話すと、対戦相手が全員、最初、万年1回戦負けの主人公たちのチームを舐め腐っていて、2回か3回くらいで「あれ? もしかして強いんじゃ?」と主人公をたちを疑いの目で見始める。

で、四回くらいに監督、またはキープレイヤーの説教。そっから一進一退の攻防をダイジェストで見せられる。

終盤に入ると敵のエースがやっと主人公たちの力を認めてくれて、本気を出してくれる。で、本気を出しているはずなのに、主人公たちに打たれてしまう。

そこで、エースが疑う。

「なんでこいつらが一回戦負けなんだ?」

で、監督の説教。本気の本気を出すエース。その勢いで裏の攻撃で主人公たちを圧倒。エースのドアップ! エースのドアップ! エースのドアップ!

で、お返しとばかりに、主人公チームの監督のドアップ! 監督のドアップ! ドアップ! スタンドで鼻水垂らす応援団。

エースのドアップ。

三振!

ここで敵の監督も「ふぃー」と一安心。眼鏡が老眼鏡。

で、最終回に主人公がさよならホームラン。マウンドに跪くエース。で、整列が汚い主人公たちナイン。

という話だ。小津安二郎かってくらいに真正面からのどアップが続く。

 

でも、普通に面白いよ。野球をプレーしている時のキャラの絵はすごい上手くて、本当に動いているみたいな迫力あるから。あと、ドアップも心理描写で、なんか声が聞こえてくる感じ。野球のシーンだけ書かしてたら天才だと思う。