株主というのは、会社の価値そのものであり、かつ、支配権を持つ人でもあります。

「50%の株をあなたに渡します」と言ったときに、会社の財産や、会社の価値を50%失うことになるし、支配権も50%失うことになります。

 

でも、そうしてもベンチャーキャピタルや他の株主を入れたいというのはなぜでしょう。

たとえば、こんなシミュレーションで考えてみてください。

 

 

■資本政策は最初から考えなくてはいけない理由

 

 

自分のお金だけで20年間ビジネスをして10億円の会社をつくりました。
そのときに、従業員などに株を分けて、社長の持ち分は70%です。

このときに、社長の財産価値は7億円です。

 

でも、一方で、ベンチャーキャピタルや他の株主を活用して会社をどんどん成長させ、IPOして、さらに大きくなり、会社の価値が500億円になりました。
そのときに、社長は株を20%しかもっていなかったとして、でも、500億円の20%は100億円です。

他の人によって自分の持ち分は減るけれど、企業としてさらに大きなところを目指すことができ、結果的に社長の財産も増えることになります。

 

「こうしたことを狙っているからこそ、他の株主を入れるといってもいいでしょう」と普川さんは指摘します。

 

 

■創業者の株の持ち分は常に下がる

 


株式を何株発行して、そのうち、何割を誰に買ってもらいたいかということを、時系列的に、企業が想定する成長に必要な資本を増やすときに、どういう割合で増やしていくか

 

たとえば、400万円出資して、投資家から100万円出資してもらい、企業価値が500万円であるとした場合、創業者は80%の株を持っていることになります。

これが成長するに従って他の投資家から出資してもらい、その時点では創業者の株保有率は60%となりますが、企業価値は5億円になっているので、創業者の資産は3億円になっています。
そして、企業価値が100億円になったときには投資家の比率が60%になると、創業者の資本の持ち分は可逆的に減ります。
このように企業価値が大きくなってから、創業者の保有する株の割合を増やすことは結構大変なことになります。

 

たとえば、企業価値が5億円になってから10%の比率を動かそうとした場合、5000万円が必要となります。そうなると、動かすための資金も必要になるほか、株の売買による税金もかかってきます。

一方、はじめのうちに500万円のうち10%動かすのでは50万円ですみます。

これが100億円になり、1%動かすのに1億円となったら、さらに大変です。

だから、創業者の持ち分は、一度薄まったら2度と高まることはないと思ったほうがよいでしょう。

常に下がることを前提に考え、「大きくなってから動かすことは難しい」ということを知っておくべきです。


*このシリーズは、2016年にエンジェルスインクが開催した「女性起業家セミナー」での、
社長の時間をつくる株式会社 代表取締役 普川真如様のお話をご了解をとったうえで文章化したものです。

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