ETVの「スーパープレゼンテーション」 TED」という番組では、
毎回ユニークな、アメリカの有識者の講演を聞くことができる。

11月26日は心理学者であり、MITの教授(?)でもあるシェリー・タークルさんの、
「つながっているのに孤独?」

1970年代にパソコンが登場し、80年代になってインターネットが世界を変えたとき、
デジタル文化によって明らかに人々の暮らしや生活が改善される、と、シェリーさんは発表し、
脚光を浴びた時の人であったらしい。

ところが2000年を10年ちょっと過ぎたところで、人々があまりにもネットや携帯に依存している様子を見て、「これではいけないのではないか」ということに気がついたらしい。

結果として、ネットに依存しているとリアルなコミュニケーションができなくなり、
リアルなコミュニケーションがないと人間としてダメになっちゃうよ、というような内容だった(と思う)

なんとなくアタリマエな内容で、かなりの肩透かしであり、
こんなことでMITの教授をやってられるなんて、大学教授もたいしたことないな、なんて思った私なのですが、みんなはどう思ったかな。

私の会社では80年代にページャ(ポケベル)でやっとカタカナ入力ができるころに、全員でチャットができるようになったらどうなるか、という、Twitterの走りみたいな実証実験をモトローラとやったことがあり、そのほかにもいろいろな実証実験を「かなり早い時代」に行ってきたので、いまのネット社会についても、だいたい10年くらい前には予測してきたことでもあります。

シェリーさんが言うように、すぐ隣りにいてもメールで会話するような関係や、
TwitterやLINEで挨拶やニコちゃんマーク(アイコン?)をやりとりするような関係性は、もしかしたらアメリカ以上に日本は進んでいるのかもしれないし、そこにいち早くビジネスチャンスを見出している人たちも(開発であったり、あやしい情報商材であったり)ずいぶんといるなかで、じゃあ、携帯って本当にコミュニケーションをダメにしているのかな、と、改めて考えてみる。(シェリーさん、きっかけをありがとう)

私はいま、iPhoneとWilcomの2台持ちで、携帯ゲームなどは一切やらないけれど、FacebookとTwitterはかなり使っている。LINEまでやる暇はないので、インストールのみ。

でも、よくよく考えると、それらはなくても困らないし、あるからビジネスに役立てようというようなガツガツした使い方もしたいと思わない。

ということで、時々、めんどくさくなって電話を置いて出かけたりすることもあるのだけれど、
かつては電話がないと不安でしかたがなかったけれど、最近は「用事がある人はメールが来ているだろうし、そうそう急用はないだろう」くらいな感じ。オフの日はあまり持ち歩かない。
電話代が安くなるのであれば2台はいらないし、そうなるとたぶん、iPhoneが1台あればよいということになりそう。

話題のタブレットや電子書籍リーダーも、費用対効果を考えるとどうも必要性を感じない。
たぶん、買いに走っている人は、お金と好奇心のある人たちで、「本当に必要」かどうかは2の次なんじゃないのかなあ?

ただし、こうした新しいものを持つということで、話題をふることができて、仲間が集まるきっかけにもなる。
「新しいもの」はガジェットに限らず、新しい野菜や果物であったり、新しいファッションだったりもする。

インターネットは新しいものが好きな人たちには楽しい社交場で、新しいものを発信したり、発信したものに食いついていく分には孤独感はないかもしれない。

でも、ネット依存者は案外リアルが好きだ。

私がmixiを始めたばかりのころは、マイミクとなった人たちとしょっちゅう会っていた。
Facebookをやっている人たちのオフ会の様子は、なんだかデジャブのようでもあり、結局なんだかんだいいつつ(Twitterの反原発デモでさえ)集い、顔を合わせることにつながっていくように思える。

心配しなくても、人はちゃんと、人らしく生きていくものだ。そう思いたい。

ところで、「寂しい」という気持ちは「精神の距離感」にあるのだそうだ。
だから、いくらつながっていようと、精神的に距離感があれば寂しさは満たされないし、
たとえ一緒に暮らしていても、精神的に近くなければ寂しいものなのだ、ということが誰か哲学者が言っていたような気がする。

携帯ばかりやってちゃダメよ、と、シェリーさんは警告していたけれど、
だんだん携帯(やネット)から離れていく人類も出てくると思う。

経済がだんだん疲弊して、商売やビジネスというものの考え方や形が変わってくるとき、
ITによるグローバルビジネスやノマドワークもあれば、
地域密着型のドメスティックなアナログビジネスというのもすでに登場している。

今日もまた、クロネコだったか佐川だったか、リヤカーを自転車で引いている宅急便を見たけれど、宅急便や郵便もIT化されている一方で飛脚に戻っているからおもしろい。
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