放送と通信の融合

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先週の金曜、朝日新聞に「放送と通信の融合」について
インタビューを受けた記事が掲載されました。


1時間ほどのインタビューでしたが、うまくまとめて頂けたと
思います。

この件に関する取材を受けたのはこれが初めて。




私は大きくは3つの理由で、ネット企業と放送局の連携(融合ではない)は
必要
だと考えています。




1つは、

放送局はコンテンツの制作力・企画力によって、視聴率を上げて
広告収益を高める。
放送局だけでなく、新聞も雑誌も往来のメディア産業はみんなそうだ。


それに対して、インターネットで視聴率にあたるアクセス数を高めるのは
コンテンツよりもむしろ、インターネットサービスの企画力や技術力
だ。

代表的なインターネットのメディア企業googleは、放送局と同様に

広告収益が大半だが、ほとんど自前でコンテンツは制作していない。

アクセス数を集めている理由は、コンテンツではなく卓越した技術力にある。

インターネットビジネスを専門にやってなければその開発は難しい。

往来のメディア企業が自前でネットビジネスを起動に乗せるのは
企業カルチャーから変えるだけの時間がかかるだろう。


インターネットの世界はそんなにゆっくり取り組めるほどの時間はない。


実際に、往来のメディア企業がこれまでネットビジネスに取り組んでも
なかなかうまくいかなかった理由は、コンテンツの力でアクセスが
集まるという常識から脱しきれていないからだと思う。





二つめに、

その一方で、インターネットのコンテンツは有象無象の集合体
である。個人の書くブログもそうだ。

信憑性のないコンテンツの広告価値は低い
「2ちゃんねる」はもの凄いアクセスが集まっているのに、それに
見合う広告収益が得られていないのは、信憑性のない情報に
載せた広告は、その広告主の商品内容まで信憑性が問われるからだ。
広告主の商品のイメージも落としかねない。

往来のメディア企業は信憑性が高い取材やコンテンツ制作力を持つ。
その経営資源をネット企業が持つサービス企画や技術での集客力に
組み合わせれば、広告価値の高いメディアを作ることが可能
だ。


就職活動の学生の大半が使うリクナビは、学生に便利なサービス機能と、
経営者のインタビューのようなコンテンツ企画でバランスよくできている。


私の感覚では、サービス企画や技術とコンテンツ制作力の比率は、8:2くらいが
アクセス数が多く且つ、広告価値の高いインターネットメディアの
正しい姿
ではないかと思う。





三つめに、


経営者の「意欲」に温度差がある。

インターネットはテレビや新聞と同様、ひとつのメディアとしての地位が
確立しつつあるため、無理な融合ではなく連携が自然な姿だと思う。

それならば、本来はフジサンケイグループのような巨大メディア集団が、
テレビ局やラジオ局を持っていると同時に傘下に有力なネット企業を
持つべき
だ。

ところが、ネットへの取り組みを往来のメディア企業がやるには、
著作権や肖像権、放送法などちょっと考えただけでも面倒な壁がたくさんある。

それらのことを先送りにしてきたために、ネット企業が逆に経営統合を
仕掛けるという構図になっている。


高株価を利用してという批判もあるが、高株価は投資家の期待の裏返しだ。


面倒な案件を先送りにしている経営者と、「一文無しになってもやる」と言って
腹を括っている経営者では、やはり「意欲」に温度差を感じざるえない


それは当然株価になって投資家の期待値として現れている訳だから
真摯に受け止めるべきだと思う。


野心といわれるのかも知れないけれど、三木谷社長のような意欲的な
経営者に変われば株価が上がるのは当然だと思う。


難しい面がたくさんあっても、それでもなんとかしようと考えるからだ。









それでもやはり、ネット企業と往来のメディア企業とのカルチャーの違いは
大きく、統合はそう簡単ではない
だろう。


ネット企業は、「とりあえずやってみよう」というカルチャーの会社が
業績を伸ばしている。

それに対して、往来のメディア企業は長い歴史の中で育ってきたため、
過去の事例を参考にしつつ、慎重に戦略を立てる。


ネット企業にとっては前例が無い事業をやり続けているのだから、
ケーススタディを繰り返したり、過去の前例を検討するのは時間の無駄でしかない


AOLとタイムワーナーの失敗例を挙げて、「だから無理」と言っているのでは
永遠に日本のネットビジネスはアメリカの後追いしかできないだろう。
ベンチャースピリット溢れる韓国にも負けてしまう。
実際、楽天は世界的に成功例がないショッピングモール事業を日本で
成功させている。




また、放送局のような公共の電波を使い規制のある産業と、
ネットビジネスのような、無限の広がりを持つ自由な世界では、
考え方やスピード感がまるで違う


ネット企業は、自由な世界だから無限の可能性がある。
広告収益をメインとしたメディアビジネスだけでなく、

金融もできれば不動産業もできるし、アパレルもできるし、

飲食業をやってもかまわない。

放送法をよく読んでいないけれど、公共の電波を使う放送局が

自前で金融に参入したり、不動産業を始めたりしてテレビで

宣伝することは難しいだろう。

同様にテレビで宣伝すればヤフーに対抗できるほどのアクセス数を
インターネットのメディアに集めることができるかも知れないけど、
公共の電波を使っているために、それも難しいと思う。




その一方で、ネット企業は規制に守られている訳ではないので、
常に競争や流行の危機にさらされている


だからスピード感をもって次々に新しいものに取り組まなければ
生き残ることはできない。


そこに、会社のカルチャーの大きな差が産まれている。




以上が私の所感なのですが、三木谷社長と一言もこの件で

話したことはないので、個人的な考えです



それにしてもインタビューを受けて他人事のよう答えているのはとても寂しい。

同業界で戦っているプレイヤーなのに。




我々も独自の戦略でがんばります!







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