20~30匹は今まででも珍しくはないが、今まではそれをクール便で実家に送ることが多かった。
おいしい魚とか価値の高い魚ならよいが、そうでない時もあるので、こういう時は正直困る。
捨てるわけにもいかないので、自分でさばいて食べるしかない。
魚をさばけない人は釣り人の風下にも置けないというが、誰に聞いても自分でやっているという。
妻任せの人はいない。
魚が大きければ、骨を切るためには非常に力がいるので、女性には難しいところがある。
テレビの旅番組でも大きな魚を女性がさばいているのを見たことはない。
さて問題はこの魚をどう料理するかである。
釣ってきたその日は新鮮なので、刺身で食べることが多い。
まずはあまり今まで釣ったことがないメジマグロからだ。
これはまだ赤ちゃんなのであまり期待はしていなかった。
こうした高速回遊魚(青物)はうろこやとげがなくさばきやすい。
1匹をセオリー通りの三枚おろし。
中骨を避ければ一応4つのパートに分かれる。
1パートで目測200グラム。
刺身にする場合は棄却率が高く、食べる部分は半分くらいになってしまう。
高速回遊魚の身は柔らかい。
これにどんな味付けをするかで、満を持して登場したのが、今年の夏に九州大分県で買った、フンドーキンのりゅうきゅうのタレ。
そして同じく大分県のフジジンの刺身醤油。
要するに九州風の甘口の味付けだ。さっそくりゅうきゅう丼を試みた。
甘い醤油、柔らかいメジマグロの食感。脂も適度にのっている。
ぱさぱさとかあっさりした感じはない。
醤油の甘さにも深みがあり、要するにコクが強い。
さらにトッピングを加えた。
刻みのりも別の味わいを付け加える。。
それらが口の中で合成されすぐに丼は空になってしまった。
ご飯は最近出てきた280グラム入りのパックごはん。
炊くめんどくささがないし、味も洗礼されているのでこれで十分。
寿司酢はミツカン製の市販のもの。
でも食べた後思ったが、何か足りない。
単に刺身に甘いだれをかけただけで、大分県の名物料理になり、おまけにケンミンショウで1位になるのだろうか。
ということでネットでりゅうきゅう丼の作り方を調べてみた。
そうしたらこれは単にタレをかけるだけではなく、タレにしばらく刺身を付ける漬け丼であった。
常識で考えても単なる刺身が地方グルメになるわけがない。
次に試みたのが、手巻き寿司。
刺身単独ではどうしても多く食べれない。
肉製品などでもそうだが、多いと生ものはしだいに飽きてくるというか嫌になってくる。
そこでいつも野菜が入る手巻きにしている。
これを海苔で巻いて食べる、海苔は今年の5月ごろに、千葉県内のスーパーを探索した際に木更津で買った富津のり。
東京湾木更津から富津、海ほたる周辺は江戸時代からの海苔の産地。
ここで獲れた海苔は、江戸前、浅草海苔のブランドを持っている。
刺身に酢飯、キュウリ、カイワレ、海苔、わさびに醤油とこれだけのものを混ぜるともうすべてが中和され、ごちゃ物を食べているようになってくる。
だがそれぞれの食感が分離され新鮮なので、食べやすい。
また気が付いたことがもう一つあった。
それは醤油はやはり寿司用の濃いものでなければ、巻きずしの中身に負けてしまう。
本来はつゆである秋田県の味道楽でも試したが、味が薄く、醤油の感触はどこかに飛んで行ってしまっていた。
やはりそれ用のものを使ったほうがよいと思った。
フジジンの九州甘濃口刺身醤油には、ごちゃごちゃの材料に決して負けておらず、なじみのある甘さがよく引き立ち、本来の醤油としてのおいしさもあった。