The Aura Will Prevail/George Duke | BLACK CHERRY

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JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC

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 以前も書いたようにMPS時代のGeorge Dukeは自分に大きな影響を与えてくれたのである。P-FunkやZappa、Latin音楽、Soul、Bluesを同時に好んで聴いていた自分にとって、それらのジャンルの垣根を飛び越えた音楽で、彼独自のフィルターを通して出てきた音楽はど真ん中のストライクだったのだ。そしてMini MoogArp Odyssey黒い歌わせ方が天下一品で、Funkyに跳ねるClavinetやSpacyなArp String Ensemble、官能的なエレピ、といった各種鍵盤を自由自在に操り創りあげる音世界に夢中になったものだ。商業的な成功よりも、自分のやりたい事を優先して好き勝手にやっている音楽で、これほど楽しめて、親しみやすい音楽はそうはない。超絶技巧を駆使しながら、彼自身の人柄を感じさせる部分やお惚け感が、自分にとって非常に取っ付きやすさを感じさせてくれたのであった。Frank Zappa & The MothersとCannonball Adderleyを掛け持ちして自分のソロ・アルバムも出してしまう位の実力と精力的な一面を持ちながら、あの笑顔でBlack Jokeやおフザケ感を出したかと思えば、美しいFalsetto Vocalで魅了する、その多面的な才能には驚かざるを得ない。MPS時代のDukeのアルバムは全て傑作であるが、本盤はFrank Zappa & The Mothers時代の曲を2曲再演していることもあって、Zappa贔屓の自分としては特にお気に入りの作品なのであった。さらに本作では、お気に入りのFretless Bassの名手Alphonso 'Slim' Johnsonが参加しているのがポイントが高いところだ。

 『The Aura Will Prevail』はGeorge Duke75年MPSからリリースしたアルバム。本作に続いてリリースされる『I Love The Blues, She Heard My Cry』の方が先に録音されていたそうで、ドラムスのLeon Ndugu ChanclerやPercussionのAirtoに加えて、ベースにAlphonso 'Slim' Johnsonが加わった強力なリズム隊が最高だ。Weather ReportではJacoの前任として知られるが、Alphonsoのベース・ラインは最高で、Jacoとは別の方法論でFretless Bassの可能性を追求していった人だと思う。自分は、ベーシストとしてかなり影響を受けていて、利き手の親指を固定せずにベースを弾くのはAlphonsoがそうしていたからである。勿論、George DukeもRhodes, Wurlitzerとエレピを使い分け、Arp OdysseyやMini MoogにArp String Ensembleで色彩感豊かで創造性の高いプレイを聴かせてくれる。作曲やアレンジの面でもJazz、Rock、Funk、Latin音楽と、さまざまな音楽を彼一流の調理法で芳醇な味わいのするとびきり美味な作品に昇華させているのが素晴らしい。
アルバムの1曲目は“Dawn”。神秘的なアナログ・シンセの響きとうねりまくるBassがSpacyな夜明けを告げる。エレピ、Moog、ベースの絡みが実に官能的で気持ち良すぎ
For Love (I Come Your Friend) ”は途中でP-Funkな展開も挟みつつFalsetto Vocalが映えるナンバー。Alphonsoのベースもうねりまくりで気持ち良い。Dukeのソロも後半に爆発している。
アルバムで一番お気に入りの思いっきりTempoを落として、タメのきいたリズムがFunkyなナンバー“Foosh”。揺らめくエレピが最高っす。
AlphonsoとNduguのリズム隊が爆発的なパワーで疾走する“Floop De Loop”。Dukeの縦横無尽に暴れまくるソロも最高に気持ち良いが、Alphonsoのベース・ソロが素晴らしい。
この時期のDukeお得意のBrazilianな“Malibu”。2名の女性VocalもFeatureして艶やかに盛り上げる。男女混声Scatもイイ感じ。AirtoPercussionもベースのうねり方も最高。
必殺のFalsettoが炸裂した女殺しのBallad“Fools”。一人多重Chorusが素晴らしい。
Frank ZappaのMothers時代のナンバーで74年作『Roxy & Elsewhere』収録の“Echidna's Arf”。超絶技巧のUnisonが炸裂。
Zappの曲2連発で『 Apostrophe (') 』収録の“Uncle Remus”。こちらはSoulfulなVocalとBluesyなピアノとOrganがすばらいい3拍子のBallad
最後をシメるのはAlphonsoのベースがうねりまくりのBrazilianチューン“The Aura”。
(Hit-C Fiore)