Into The Music/Van Morrison
Van Morrisonは、とにかく大好きなアルバムが多くて選ぶのに一苦労してしまう。それでも、思い入れのある一枚を選ぶとなると、この作品かもしれない。そりゃ『Astral Weeks』や『Moondance』やLive盤の『It's Too late To Stop Now』といった60年代末~70年代前半までの作品はいうまでもなく最高だ。The Chieftainsと組んで自らのルーツに向き合った88年作の『Irish Heartbeat』で一気に振り切れたかのようなMorrisonの、以降の作品も素晴らしい。Georgie Fameを迎えた『Avalon Sunset』から始まる何度目かの黄金時代。そうなると70年代半ばから80年代前半のMorrisonはどうか?体調不良により北アイルランドに帰国して療養生活を送った活動停止期間も含めて、苦悩するMorrisonの姿が作品にも影を落としていた時代。愛妻Janetとの別離、The Caledonia Soul Orchestraを解散して74年の『Veedon Fleece』を発表後の沈黙。そしてThe Bandの『The Last Waltz』への参加。この『Into The Music』というアルバムは、そんな苦悩する時代のMorrisonが生み出した傑作だ。そんな時期、変遷の終わりと名づけられた77年の『A Period of Transition』と78年の『Wavelength』というアルバムに続いてリリースされた本作。初めて聴いた時、Morrisonの意外なほどの軽やかさに驚きを感じた。伝統的なCeltic音楽やJazzやSoul、R&Bを自分なりに消化して独自のSoul Musicを確立しようと、苦しみながらも挑戦を続けてきたMorrisonが語りかける。アルバム・タイトルも意味深だ。自分のような凡人にはわかり得ぬ天才ならではの苦悩の果てにMorrisonは何を見つけたのか?自分は、ただ、このアルバムから流れてくる素晴らしい音楽に浸るのみである。
『Into The Music』はVan Morrisonが79年に発表したソロ・アルバム。本作では冒頭から、いつになく陽気な一面をみせるMorrisonが印象的。それは、ViolinやPee Wee EllisのSaxにPenny Whistleといった生楽器のアンサンブルや女性Chorusによって、より一層の魅力を放っている。苦行から解き放たれて楽しそうに語りかけてくるようなMorrisonのVocalではあるが、歌詞には、より深い意味を持つような内省的な部分もありそうである。その辺が薬物中毒や数々の苦しみをかかえながら独自の宗教感を持つに至ったMorrisonの謎の部分であり凡人には到底、理解の及ばないところかもしれない。しかし、アルバム、特にA面から発せられる生命感に満ちたMorrisonのPositiveなVocalとアコースティック主体の柔和なサウンドが醸し出す雰囲気が大好きだ。一方B面では、80年代前半のMorrisonの作品に通ずる深い精神世界を感じさせる、SoulfulでDeepなMorrisonの独壇場。
アルバムのトップを飾るのは“Bright Side of the Road”という高揚感に満ちたナンバー。Violinや女性ChorusとHorn隊とともに『陽の当たる道で、もう一度恋人になろうよ』と語りかけるMorrionのVocalが素晴らしい。Harmonicaもイイ感じだ。
Ry CooderのSlideが素晴らしい“Full Force Gale”もPositiveなパワーに満ちている。
Violinのイントロに続いてHorn隊にのってMorrisonのSoulfulなVocalが炸裂する“Steppin' Out Queen”ここでも女性Chorusが印象的。
自身の姿を投影したかのような吟遊詩人を歌った“Troubadours”。
小粋な雰囲気を持つ“You Make Me Feel So Free”も印象的な女性Chorus、そしてSaxソロがカッコ良すぎる心地良いBlue Eyed Soulナンバー。
B面の4曲はスケールの大きなサウンドにのって徐々に熱を帯びていくSoulfulなMorrisonのVocalが圧巻。
(Hit-C Fiore)







