と、しようとすることがどのようなことか、今日はお話ししたいと思います。
こんにちは、公認会計士・税理士のたけよしです。
このブログのおかげで、「税務調査で困っていますがどうすればよいでしょうか?」というご相談をよくいただきます。
ブログをご覧になってのご相談ですので当然ではありますが、ほぼすべてのご相談者は税理士がついていません。
税理士抜きで何とか税務調査を乗り切ろう、という意気込みは良いですが、それがどういうことを意味するのか、今日はお話ししたいと思います。
前提として、税務調査の知識がほとんどない方を想定しています。
ちょうどサッカーが盛り上がっていますが、サッカーで例えるなら、税理士のいない税務調査は以下ような状態です。
①サッカーというスポーツを知らない人が、
②審判の無い状態で、
③サッカーインターハイ出場の経歴と実力を持つ敵を相手に、
サッカーの試合に勝とう、というものですが、順に説明します。
【①サッカーというスポーツを知らない】
まず、サッカーを知らないという事は、ルールがわからないことを意味します。
ルールがわからないと、以下の弊害があります。
・どういう攻撃方法があるのかわからない。
・どういう防御方法があるのかわからない。
・何をすればオフサイドになるのかわからない。
以上は序の口です。ルールを知らないという事は、次のようなことも意味します。
・そもそも、どういう状態になれば勝ちになり、負けになるのかわからない。
・サッカーは手を使ってはいけないことを知らない。
・1チーム何人でやるのか知らない。
・何が反則になるのかも知らない。
もうこれではとても試合にならない、ということはご理解いただけたかと思います。
敵はサッカー自体の技量もある程度はありますが、相手がルールを知らなければ、以下のようなことを平気でやってくるでしょう。
・手を使って妨害する。
・相手のボールを奪うため、こちらの身体を蹴る。
・1チーム20人で戦ってくる。
・こちらがドリブル後ゴールを決めたとしても、「ドリブルは3m以上やるとファールになる。そういうルールだ」と主張し、ありもしないルールをねつ造する。
もちろん、これらはサッカーではルール違反ですが、
ルールを知らなければ相手のルール違反がわかりません。
これでは相手に好きなようにやられるだけやられます。
実際の税務調査においても、税理士がついておらず、納税者に税務調査の知識が無い場合(税務調査のルールを知らない場合)、平気で違反をやってきます。
たとえば、以下はすべてルール違反です。
・税務調査の予告をせずに税務調査を開始する。
・理由も示さず、納税者の同意も得ず、取引先への反面調査を行う。
・「不服申し立てをしない」旨を記載した承諾書の提出を強要する。
・法律や通達の根拠を示さず、否認を主張する。
これは大問題ではありますが、ルールを知らない納税者はルール違反であることがわからず、文句すら言えないことになります。
【②審判がいない】
①のようなことがあっても、ルールを熟知した審判がいれば、横暴を止めることができます。
しかし、税理士のいない税務調査では審判がいません。
審判がいない場合、ルールを知っている(と思われる)敵に審判機能をやってもらうしかありません。
サッカーにおいて敵が審判をすると、どういう酷い状況になるでしょうか。
さらに、この審判は敵と結託しています。
・ファールでもないのに、レッドカードを連発する。
・こちらの違反アピールを聞き入れない。
・かつ、敵のファールは取らない。
仮にルールを知っていたとしても、審判が敵と結託している(というより敵自身である)場合、まず勝つことは不可能でしょう。
実際の税務調査では、次のようになります。
・こちらの反論を無視し、税務調査記録に残さない。(反論したこと自体が無かったこととされる)
・こちらの主張を故意に曲解し、税務署に都合の良いように解釈される。
・税務署のミスについても、記録に残さない。(調査官の違法行為が無かったことにされる)
かなり恐ろしいことですが、調査記録をねつ造し、追徴課税を課すことも不可能ではありません。
【③インターハイ出場】
今までのブログ記事で、税務職員は大したことが無いような記載をしてきたかもしれませんが、実際はそんなことはありません。
税務職員は日々、税務に関する実務に携わり、研修を受け、場数を何度も踏んでいる実力者です。
税務を生業としている以上、当然なが一般の方が知識で太刀打ちできるほど生易しい相手ではありません。
そのような税務職員の平均レベルは、「インターハイ出場」と形容するのが適切だと考えています。一般人より格段に技能はありますが、プロフェッショナルには遠く及ばない、という意味です。
以上が税務調査の実態ですが、
①サッカーというスポーツを知らない人が、
②審判の無い状態で、
③サッカーインターハイ出場の経歴と実力を持つ敵を相手に、
サッカーの試合に勝とう
ということが、如何に困難かご理解いただけたかと思います。
しかし、この3つの問題を軽減し、納税者に一筋の光をもたららすものが税理士だと考えています。
①税理士はルールを熟知している。
税理士は税務調査を理解しています。
税務調査は国税通則法、税務運営方針、他各種通達等に基づいて行われるもので、ここに書かれていないことをすると、すべて違法です。
税理士を雇ういという事は、ルールを知ることに何十時間、何百時間もかけた専門家を味方につけることを意味しますので、相手の違法行為を判別することができます。
また、ルールを熟知しているので、あなたに有用なアドバイスをしてくれる、有能な監督のような役割も果たしてくれます。
②税理士は審判機能ができる
税理士は、敵が反則行為をしたとき、それを反則行為だと指摘することができます。
そして、敵が聞き入れない場合、反則行為を申し出るべき方法及び相手を知っています。
税理士がついているという事は、敵にとってルールを曲げることができず、仮にルールを曲げた場合、敵自らに致命的ダメージが返ることになります。
③税理士は職業運動選手並みのプレーヤーになる
税理士は、プロスポーツ選手並みの能力を発揮します。
これは経験や知識・税理士の姿勢・考え方による部分もありますが、能力的には税務職員の比ではありません。
税理士を雇うということは、実際にフィールドに入ってプレーし、敵からゴールを奪い、鉄壁の防御を敷いてくれるプレイヤーを自チームに加入させることも意味します。
以上、色々とみてきましたが、ここまで読んでもなお、「税理士なしで税務調査を乗り切ろう!」とお考えでしょうか。
いかに、税理士なしで税務調査を乗り切ることが困難かつ無謀か、ご理解いただけたかと思います。
中には、「これはただ、テレビ局の健康番組のように不安をあおっているだけだ」とお考えの方もいるでしょう。
ただし、これまで書いてきた事項はすべて事実で、これが税務署の実態です。
残念ながら、税務署という組織は追徴を取ることと調査件数を増やすことにしか興味が無く、納税者の利益を守ることに興味がありません。
そして、納税者から追徴を取ることについては、法律の範囲を超えて何でもやってくる集団です。
もし、税理士がついていない税務調査で親切な対応をしてくれた、こちらの主張を真摯に聞いてくれた、という事例があれば、小職にぜひ教えて頂きたく思います。
また、正直に申し上げますと、税理士がついたとしても、やっと敵とイーブンになった状態です。
ここからは監督の戦術、選手個人の働きが結果を左右するため、もちろん負けてしまうこともあります。
そのため、どの税理士を味方につけるかも重要になりますが、そもそも、税務調査はそれだけ厳しいものです。
以上、実例も交えてみてきましたが、それでも税理士なしで調査を乗り切ろうとするかどうか、是非ご自身でご判断頂きたく思います。
ご相談・ご意見等ございましたら、以下まで何なりとご連絡ください。
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たけよし