先日、コンディショニングを依頼されているレーシングチームの監督さんとの会話にて。


(最初に言っておきますが、これは決して自慢話ではありませんので。
 それが意図するところではありまへん。)



「先生みたいな人に身体を診てもらえて、管理してもらえると助かる。
どのような状況になっているのか、可能性も含めて示してくれるので、
 どうしたら良いか分からないという不安がない。」

と言われた、


まあ、社交辞令半分としても決して悪い気はしない。
むしろトレーナー、施術家冥利に尽きるというもの。



たが、このような発言が出るには背景がある。
これはこちらのチームの方もそうだが、他に担当しているチームの選手やスタッフ、
または一般の患者さんも同じような経験がある方が多い。



どういうことかと言うと、
身体の具合が悪くなり医者に掛かり、
いろいろ診察や検査などを行った挙句に、
「特に悪いところはありません」と言われてしまうケースが意外に多い、ということである。
先のレーシングチームの監督さんも、膝を痛めた時に同様の経験をしたそうだ。


もちろん「人体は小宇宙」であり、
いまだ人体で解明されているのは、全体のほんの一部と言われている。
それだけ不可解な人体を扱っているわけだから、
分からない点もいくら医師とは言え、有りうるのも理解できる。


だが、それでも人体を「点」で捉えずに、
「全体をまるごと」として捉えるだけでも見えるものがある。
また、人体を特別なものとして捉えずに、「構造物」として捉え、
「物理」の理屈を当てはめることによって分かる事もあり、
説明が論理的に出来ることもある。


例えば「肩」と一口に言っても、実は様々な関節が存在する。
一般的に言う「肩関節」は、正確には「肩甲上腕関節」であり、
実はその他に、


  肩鎖関節(肩甲骨と鎖骨の関節)
  胸鎖関節(胸骨と鎖骨の関節)
  肩肋関節(肩甲骨と肋骨の関節)
  肋椎関節(肋骨と椎骨の関節)
  胸肋関節(胸骨と肋骨の関節)
  上腕上関節(骨同士の接触は無いが、上腕骨と靭帯との関節的な部分)


と、肩にまつわる関節はこんなにたくさんある。
「肩が動く」ということは、これらが協調的に動かなければ、
肩はスムースに動けない。
いや、本当はそればかりか、肩甲骨が乗っかっている肋骨自体も動きがなければならない。
肋骨が動く為には背骨(脊椎)がスムースに動く必要があり、
その為には骨盤(腸骨)が、仙腸関節が…


…と、キリがない。


これらが協調して動く為には、関節面の動き自体も問題だが、
そこにつながって、動きを生み出す「筋」の機能が問題になる。
その筋が硬直・力の欠如、というのは、
東洋医学的に見ると「内臓の働き」が無視できなくなる。
鍛えることも大切だが、単に鍛えるだけで解決しない問題も多く存在する。
その辺りの診かたの「浅い・深い」の差で、「見える・見えない」の分かれ目にもなる。
“浅い”と、「異常はない」との判断になってしまうわけだ。
逆に言えば、「痛い箇所が悪い箇所とは限らない」ことの方が、はるかに多いのである。


もちろん、この考え方には賛否もあるが…
だが、我々は患者さん(あるいは選手)のパフォーマンスが復活し、
本人が喜べば良いのだ。
研究は、それが専門の人に任せれば良いと思っているし、
私もそこに時間を費やすつもりもない。
論理的に妥当性があって、明らかに納得できればそれでよい。



ちなみに、このような考え方はトレーニングにも同様のことが当てはまる。
1箇所を強くすることも大事だが、実は「動きの連なり」でパフォーマンスは発揮されるので、
各部位を強くすると共に、それらをどのように「連ならせるか」のトレーニングが重要になる。

(水泳の北島選手が先の日本選手権で敗れ、
 今のところ途中経過だが世界水泳ではパフォーマンスが良さそうなのも、
 そこが要因である。日本選手権ではそこがまだ間に合わなかった…)


ま、この件はまた別途、気が向いたら…



そのようなことも含めて、

健康観・身体関連カテゴリー にもまとめてあるので、是非お読み下さいませ。



今後も、さらに気合を入れてこのカテゴリーを充実させていきます。

(気合だけはホンモノ…です)