プロコーチ/コンサルタント育成がライフワーク。

銀座コーチングスクール代表・週末起業フォーラムチーフコンサルタント・「コンサルタント養成講座」講師を務める森英樹が経営戦略・起業・コーチング・コンサルティング・リーダーシップ・仕事術を語るブログ。

大阪に行くと、駅構内の道順案内表示が非常にわかりにくいと感じ
ます。

地元の人は、これで困らないのだろうかと思うのですが、大阪の人
は、わからなければすぐに人に道を尋ねるので、問題ないのだそう
です。なるほど。

あれこれ考え、悩むよりも、誰かに尋ねた方が早いわけです。

マーケティングでも同様で、あれこれ悩むよりも、直接、顧客に尋
ねた方がよいことは、たくさんあります。

逆に、顧客の立場からでも、何を買ったらよいのか迷った時は、店
員さんに直接尋ねてみる方がよかったりもします。

14日付けの日経産業新聞に、「家事代行大手のベアーズが都内の自
由が丘で始めた対面型接客店が、順調な滑り出しを見せている」と
いう記事が掲載されています。
━ 日経産業新聞 2012.02.14【15面】

この店舗では、「来店客から直接、ハウスクリーニングや子育て支
援など家事の困りごとについて相談を受け、サービスを提供する」
のだそうです。

ごく当たり前のような対応にも見えますが、記事によれば「家事代
行各社は電話やインターネットなどで予約を受け、顧客宅を訪れサー
ビスするのが一般的で、窓口を作るのは珍しい」とのことです。

私たちの購買行動を考えてみると、買う商品が、あらかじめ決まっ
ていて店舗を訪れる場合もあれば、店員さんに相談して、何を買う
かを決める場合もあります。

従来のサービスが前者型だとすれば、ベアーズの新たな店舗の取り
組みは、後者型だと言えます。

記事は後者型のサービスについて、「新業態として定着する可能性
が出てきた」と解説しています。

つまりこの取り組みは、“業態転換”と呼べるほどの大きな変化だ
と位置づけているわけです。

需要を喚起する必要性が高まっている最近の傾向として、「待ち」
のプル型営業だけではなく、「攻め」のプッシュ型営業を導入する
動きがあります。

たとえばベスト電器の「新・御用聞きサービス」では、顧客の「お
困り事」に対応し、家電製品だけでなく、リフォームやハウスクリー
ニングといったサービスの提供を始めています。

直接対話による“相談”サービスには、需要を確実に拾い上げ、あ
るいは需要を喚起する強力なプッシュ効果があるわけです。


< 今日の教訓 >

あなたの企業では、顧客あるいは見込み客からの相談を積極的に受
け付ける仕組みができているだろうか。“相談”できることを前面
に打ち出せば、新たな業態として支持を得られる可能性がある。検
討してみよう。
「帯に短しタスキに流し」という表現があります。

帯にするには短いが、タスキにするには長過ぎる、というのが文字
通りの意味で、中途半端で役に立たないものを指して使われます。

逆に、帯では長過ぎ、タスキでは短すぎるため、“中途半端”な長
さに需要を見出すことができたりもします。

7日付けの日経産業新聞に、MyGengo(マイゲンゴ)という「インター
ネットを活用した翻訳サービス」が紹介されています。
━ 日経産業新聞 2012.02.07【7面】

マイゲンゴは「日本語を含めて17カ国語に対応している」翻訳サイ
トで、同社によれば、「通常の翻訳サービスに比べて1/5から1/10の
料金で提供している」のだそうです。

そのような低価格を可能にしたのは「発注から納品まで全てをウェ
ブ上で完結させる事業モデル」です。

「ミニブログのつぶやきから電子メール、スマートフォン(高機能
携帯電話=スマホ)向けアプリケーションの説明文まで舞い込む翻
訳の依頼は多彩」とのことで、低料金で比較的気軽に依頼できる、
便利なサービスのようです。

記事はこのサービスについて、「綿密な打ち合わせが必要な『専門
家サービス』と、専用ソフトウエアを使った『自動翻訳』との“溝”
を埋めるサービスとして重宝されている」と解説しています。

ちょうど「帯」と「タスキ」の中間の存在でしょうか。ここに大き
な需要があったということでしょう。

マイゲンゴが設立されたのは2009年6月ですから、まだ3年も経っ
ていません。ですが、既に「約4000人の翻訳家とネットワークを形
成」しています。

このビジネスの将来性も注目され、米国の有力ベンチャーキャピタ
ルからの出資を含め、総額525万ドル(約4億円)もの資金調達に
成功しています。

そのような動きからみて、今まで放置されていた、この分野の需要
がいかに大きかったか、思い知らされます。

既存サービスの中間、言ってみれば「スキマ」を狙うのは、新たな
ビジネスを考える際の有力な手がかりとなります。

この記事の場合、「スキマ」の大きさは莫大です。

サラリーマンと独立起業家の間にも、「週末起業」という大きなス
キマがありました。広く支持されたのは、それだけ潜在市場が大き
かったからです。

「スキマ」にあった潜在市場を顕在化させることは、すなわち新た
な市場を創造することになります。

そのインパクトが大きければ、「スキマ」の領分を超え、既存の市
場をも浸食することになるでしょう。

なぜなら、長すぎる帯や短すぎるタスキを我慢して使っていた人た
ちが、乗り換えるからです。

もしかしたら、このような新たなサービスが登場するまで、自分た
ちが「我慢」を強いられていたことにすら、気づかないかも知れま
せん。

その意味で、このような「スキマ」に着目し、それを埋めるビジネ
ス及びビジネスモデルを開発・構築することは、大きなチャンスを
つかむことになるわけです。


< 今日の教訓 >

あなたの企業が取り組むビジネスには、周辺にどのようなスキマが
あるか、探してみよう。自社がその市場を取り込むことができなけ
れば、他社がそこに入り込み、自社の市場を侵食する恐れがある。
新商品や新規事業には、どのように取り組むか。

大きく分けて、2つのアプローチがあります。

いわゆる、「プロダクトアウト」と「マーケットイン」です。

前者よりも後者の方が、顧客ニーズをしっかりとくみ上げている感
があり、望ましいようにも見えますが、万能ではありません。

たとえば顧客ニーズをとらえるためにアンケート調査を行なったと
しても、そんなことをしても新商品開発には結びつかないという意
見があります。

いわく、顧客自身、自分のニーズを明確に意識しておらず、「プロ
ダクトアウト」で提示された商品を見て初めて、自分が欲しかった
のはコレだ!と気づく、というわけです。

アップルの製品などは、確かにそれに該当しそうです。

とは言え、顧客の声に耳を傾けることで生まれた新商品も、たくさ
んあります。

結局のところ、どちらのアプローチが絶対的な正解というわけでも
ないのでしょう。

6日付けの日経産業新聞には、「交流サイト(SNS)『フェイス
ブック』やミニブログ『ツイッター』など、ソーシャルメディアが
企業活動を変革し始めた」という記事が掲載されています。
━ 日経産業新聞 2012.02.06【1面】

記事は「サイト上で消費者と交流しやすい仕組みや、国境を軽々と
越える情報の波及力を生かし、商品開発や市場開拓、起業など、ビ
ジネスのあらゆる局面で使われ出した」と解説しています。

要は、交流サイトを通じて顧客ニーズを吸い上げる仕組みが出来て
きているということです。

具体的な事例として、ファミリーマートの「おむすび」が紹介され
ています。

フェイスブックで新しいおむすびのアイデアを募ったところ、1000
件以上もの応募があったそうです。

その結果、2月14日には「なめたけマヨおむすび」、「焦がしネギ
マヨおかかおむすび」といった新商品が店頭に並ぶ予定です。

カルビーが2月下旬に発売するポテトチップス「カルボナーラ味」
は、「ソーシャルゲームのグリーと組み、消費者の意見を集めて開
発」されました。

これらが共通するのは、「開発者が想像すらしなかったような商品」
であることです。

このような成功事例もあれば、失敗事例もあります。

記事によれば、「デジタルカメラの開発に活用するため、ソーシャ
ルで消費者の声を募った」ところ、「『もっと良い製品にしてほし
い』など抽象的な内容が多く、あまり使えなかった」というケース
もあるそうです。

うまくいくかどうかは、商品特性にもありそうですが、ファミリー
マートにみられるような具体性のある提案を得られるかどうかもポ
イントのようです。

具体性のある提案、すなわち本人が気づいてすらいないようなニー
ズを“引き出す”と言えば、コーチングが頭に思い浮かびます。

コーチもクライアントも、今まで想像すらしなかったようなアイデ
アが生まれるのは、まさにコーチングの醍醐味です。

となると、コーチングの「質問」に代わる存在であるアンケート調
査の設問の仕方が極めて重要だということがわかります。

アンケート調査が役に立つかどうかは、そこにある「質問」の有効
性次第です。

有効な質問がなければ本当に顧客の声に耳を傾けたことにならない
のは、コーチングと同じことです。

< 今日の教訓 >

あなたの企業が実施するアンケート調査は、相手の中にある、本当
に得たい情報を引き出すのに役立っているだろうか。役立つかどう
かは、設問のあり方次第だ。どうすれば本当に“引き出す”ことが
できるか、設問内容を見直してみよう。

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