センパイ特許 season2

37歳、女のつぶやき。


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きのう、近所のダイエーに行ったら、3階の本屋さんが来月閉店するという張り紙が貼ってあった。
少なからずショックであった。
この本屋さんは、いわゆるスーパーの中の本屋さん、という感じで売り場は広くなく、でもその中に、充実した文房具コーナーや絵本を読める一角があり、店員さんが本の見せ方をこまめに変えて工夫している様子も見てとれた。
いちばん良いのは、いつ行っても空いていた。あまり人の来ない衣服売り場の奥にあるせいかもしれない。
私は洗剤やらシャンプーやらを買う道すがら、日々の憂いでもやもやしながらよくふらりとここに立ち寄っていた。ひと回りすると気分転換できるのだ。そう言えば絵本を立ち読みして号泣したときもあった。
たいてい何も買わない。
いつも空いている上に、こういう冷やかしが来るから閉店してしまうのだろうが、この、隙間のような空間がなくなるのは寂しい。

子どもの頃、近所に、と言っても田舎なので、徒歩15分くらいかかるが、スーパーがあった。
平屋建ての平凡なスーパーなのだが、当時近隣に何もなかったせいか、敷地内に写真屋、クリーニング屋、花屋、靴屋、食堂、衣料品とあらゆる店が詰まっていた。店の前には100円入れると動く子どもの乗り物も3台くらいあった。
もちろん本屋もあった。
ほかの専門店同様、本屋は狭く、8畳そこそこの広さだったので見てまわるには手頃なのだが、品ぞろえは良くないのか、漫画を立ち読みする子どもが数人いるくらいで、やはり空いていた。
中学生くらいになると、それを良いことに仲の良かったSさんと店内でへんなタイトルの本を見つける遊びをしたりした。
このスーパーは、食料品以外の売り場はまったく空いていた。
親に隠れて初めてのブラジャーを買ったり、ビルケンに似た激安サンダルを買ったりと、傍目を気にせず、身近にいろいろ試せる良い場所だった。
Sさんに付き添ってもらい、初めて人に好きだと告白したのもこのスーパーの前の電話ボックスだった。電話ボックスの中で3時間くらい2人で煩悶した結果、今日しかない!と意味不明な切迫感が盛り上がり、彼の家に緊張しながら電話した。
思えば好きになったきっかけも、スーパーの前で母を待っているときだった。偶然自転車で通りがかったクラスメイトの彼が「こんにちは」と挨拶してきたのだった。
この彼と、身がちぎれそうな恥ずかしい(全部私が悪いんです!と叫びたくなる)ごく短い交際が終わり、Sさんとは別の高校になり、さらに彼女が仙台へ引っ越してしばらくした頃だったか、スーパーの本屋はなくなってしまった。
それに前後してスーパーからは靴屋や写真屋や食堂もなくなり、ただの食料品店になってしまった。
私はその店に全然行かなくなった。

思い出は隙間にある。



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