2006-05-28

241.踏み台

テーマ:彼女じゃない恋愛

<おはよう。ゴールデンウィークも終わっちゃったけど、ゆうじも仕事始まった?あんまり無理しないようにね>
<おはよう。ベタに五月病。いってきます>
<そんなに休みっちゅ~休みなんてしてないのに五月病?!ってか仕事が忙しすぎるだけなんじゃない?>
<あぁもうアホか!!っちゅ~ほど忙しいよ。頑張る>
たった2往復の会話に1週間を費やす。
それでも私は嬉しかった。
途切れぬ会話に永遠さえ感じる。
終わらない会話がずっと続けばそれでいい。
ただ、少しだけそこには寂しさが伴う。
二人の時間はゆっくりゆっくり流れるけれど、お互いの時間はどんどん過ぎ去ってゆくのだ。
今、何を考えているの?
今、何を想っているの?
<えーそんなに?!最近朝も早いみたいね…。頑張って>
私から伝える想いも少ない。
心を探すけれど、空っぽの気がする。
何もでてこなくて…。
胸に詰め込んだ想いは何処へ行ってしまったのだろうか。
<お疲れ。今日は早く仕事が終わったけど、もうダメだ。寝るよ>
お互い探り合っているみたいだ。
彼との時間と日常の狭間に孤独を感じてみたりする。
私、何でロールキャベツ煮込んでるんだろう…。
ゆるりと流れる時に意味を見つけ出そうとしたり…。


飛び越えた2週間に一人驚いてみる。
彼にはやり遂げた仕事が一つや二つあったりするのかななんて考える。
自分には彼を待つことしかないことを解りながらも目をつぶった。
無気力、孤独、そして幸せ。


何かやりたい。
動けない自分を認め始めたのはこの頃だ。
仕事がしたいと常に胸に抱きながらも動けなかった自分。
私はずっと彼を待ってたのだ。
いつ来るかもわからない連絡を取り損ねたくなかった。
突然会おうと言われる日に予定を入れたくなかった。
ドラえもんの四次元ポケットから取り出されるが如く、私は存在する。
私はどうなりたかったのかな…。


携帯を握り、私は彼に電話していた。
繋がらない電話。
いつものことと思いながら、だからだと彼を責める。
いつでも側にいてくれたら…。
掛かってこい!携帯相手に祈りをささげる。
プルルルルル プルルルルル。
一瞬願いが通じたのかと思ったら、家の電話だった。
やーめた、電話が繋がったって何をどう話していいかさえ解らない。
彼が側にいるという保障があっても、邪魔をする何かがある。
私にはまだそれが何なのか気づけてはいない。
胸をドンと締め付ける何か…。
私は携帯を手に取り、また彼に電話する。
彼と話をしていると気づける気がいつもするのだ。
コール音がしない…。
「もしもし?」
「もしもし…」
どうやら繋がっているようだ。
「もしもし!」
「は…はい」
「何?そのリアクション」
「え、いや、お前から電話あって切れたからかけ直したら、何故か家に繋がってて、お父さんかな?が出たから焦って切ってもうて、あたふたしてるところにまた通話中なってたから…」
「あはは、あれゆうじだったんだ」
「焦った~、マジで焦った」
「別にゆうじなら繋いでくれると思うよ」
「もうそれどころじゃなかった」
「クールに見えても、普通なんだね」
「俺をどんな目で見てんねん」
「あははははは」
「元気してたか?」
「元気してる。忙しくしてたか?」
「おぅ!今、東京出張の帰りや」
「お土産は?」
「ないよ!」
「ないんや…」
「どうした?」
「何が?」
「声、聞きたかったんか?」
「声、聞きたかったんか?」
「俺が聞いてんねん」
「うん、聞きたかったの」
「そっか、ごめんな。連絡せやなな~と思ってた」
「うん」
「寂しかったか?」
「寂しかったか?」
「俺が聞いてんねん」
「いっつも、ウチばっかりでズル~イ」
「そんなもん、早いもん勝ちや!どんくさいから悪い」
「どんくさくないわ」
「はい、答える!」
「寂しかった…会いt…」
「会いたかったか?」
「もぅ!!アホー」
「俺が先やで!」
「会いたかったよ…」
「ほな、譲ったるわ」
「え?!…えっと、エッチしたかったか?」
「あはは、もうないんかい!!あぁ、いっつもお前の裸を想像してたよ」
「言い過ぎ!そこまで聞いてない」
「今度は絶対バックでやろうとか」
「あぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁ」
「聞いてる?」
「聞いてるよ」
「バックd…」
「あぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁ」
「解った解った。それにしても腹減った」
「何食べたい?」
「ハンバーグ」
「そればっかり」
「ちょちょいと出来るやろ」
「あぁ焼くだけの売ってるよね」
「そんなもん自分で買えるわ!早く作って持ってきて~」
「そんなこと言ったら本気で言っちゃうよ」
「あれやろ、電柱の影からずっと覗いてるんやろ」
「そんなことせんわ」
「おまわりさ~ん、通報や」
「もう行かへん」
「来る気もないくせに」
「…何…で…?」
「色々、思ったこと出来るようになるとえぇよな」
「何それ…」
「怖がらずにさ」
「何の話…?」
「俺を踏み台にしてさ」
「……」
「やったら出来る子なんやから」
「あはは、おばさんみたい…あはは…あは…」
「ちゃんとずっと見てるから…大丈夫」
「何か励まされてる、ウチ」
「明日も頑張ろうな」
「うん」
気づかないフリをしていたのかもしれない。


吐き出さずに頑張れることがいいことなのだろうか。
吐き出して頑張れることがいいことなのだろうか。
踏み台…彼は私の何を知っているっていうの。
見透かされてる気がすること、何もできない自分、彼が側にいること、ただ私がそこにいるだけ、噛み合わず単体で回る歯車のように孤独が広がる。


私は一体何がしたいのだろう。
今はただ彼が側にいることの幸せだけが私を支えていて、それも意味を成さず私はただ彼に頼りここに立っている。
彼が必要だと思った。
だけど、彼がずっと側にいてくれたら、きっとそれは私にとって不必要なものなのかもしれない。



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