2006-05-16

235.彼女と別れました

テーマ:彼女じゃない恋愛

もう彼は寝てしまったかな。
もう返事は来ないよね。
やっとそう思えたのは深夜2時を回っていた。
私の肉体は妙に冷静で、今、誰に見つかったとしても誰にも悟られやしない。
心は暴れたまんまで、この冷静な体を嫌がって今にも逃げ出しそうだ。
暴れられる体を手に入れる為に心はより暴走する。
探してる。
そんな心に影響されて私も何かを探してる。
飽く迄も冷静に探し当てたのは携帯で、宛てた相手に携帯を繋げる。
「はぁ~い、せのりさんこんな時間にどうしたの?」
気分良く応答した親友の声は冷静さを欠かせる。
「どうしよう…ズズズッ」
鼻水が洪水のように流れ出し、それを塞き止める。
「うわ~人が気分良くしてる時にすごい暗黒が~」
「ヘグッ…ヘグッ…」
「そうかそうか…ってそのヘグ語解らんし!」
「ていうか、自分でも解らん」
「あんたを泣かせるのはどうせあの人やろ」
「振られるのかも…」
「はぁ?!ちょっと待って!意味が解らん」
今まで何があったのかを事細かに彼女へ説明した。
彼女の声は徐々にトーンを下げる。
「う~ん、大丈夫やろ」
「何それ、根拠があって言うてるわけ?」
「大丈夫やで!会ってき」
「嫌や!」
「シカトの理由は解らんけど、あの人のやり方なんでしょうよ」
「…何か知ってるやろ」
「あぁぁぁ、うーん、先週あの人から連絡あって少し話したけど、口止めされてる」
「あっそ…ウチがシカトされてる間連絡とったんだ…」
「それは知らんや~ん」
「別に、言うてみただけ」
「ていうか、あんたもそういうこと言うようになってんね」
「気持ち悪いやろ」
「うん、キモイな」
笑いのない冗談を言っている間に徐々に心は落ち着きを取り戻している。
声はお互い落ち込んだまんまだ。
「惚れんなよ」
「嫌や、あんな男」
「知らんやろうけど結構いい男やで」
「ていうか、このテンションで聞いたらマジに聞こえるからやめて」
「マジやで…ぷっ」
「ネタ中に笑うなんて芸人失格やで」
「誰が芸人やねん!」
「ま、とにかく明日何が起こるかは私が知ってる」
「教えてくれないわけね」
「教えて欲しいわけ?」
「いらない」
「会いにいった後、あんたから連絡あった時にどんな対応するかは準備万端やからいつでも連絡してこい」
「ウチがどんなリアクションするかも想定してるって事か…」
「泣いても笑っても、全部私が受け止める」
「頼もしいな~」
「でも、話は聞いたけど結末は私も知らない。どうなるかは、あんた等次第やで」
「うん…」
「明日、会いに行くんやろ」
「まだ、決めてない」
「・・・」
「会う勇気は出たけど、会うか会わないかはゆうじと話してみて決める」
携帯を切り、布団に入った。
暫く寝付けなかったが、いつの間にか眠っていた。
何かを必死に考えていたけれど、忘れてしまった。


翌朝、彼からのメールで目が覚める。
<おはよう、夕方くらいまで仕事したあと、会いに行きます。ずっと連絡しなかったことは謝る、ごめん。今まで自分なりに気持ちの整理をしてた。せのりからしたら勝手なのは十分に理解している。先週、彼女と別れました。住まいも近々変えようと思っている。まだまだ中途半端な事は沢山あるけれど、一歩ずつ前に進んでいこうと思う。せのりは捨てられるような事を言ったけど、俺にお前を捨てるなどという権利なんてないし、もちろんせのりのことが好きや。前の俺よりも、素直にせのりと向き合える気がする。今夜は本当に無理?夕飯だけでもと思ってるんやけど…>
何度も読み返した。
私には理解できなかった。
どういう意味なのだろうか。
彼からどんな言葉をもらっても、彼の気持ちを受け止めることが出来ないでいた。
<何で昨日言えなかったの?無視され続けて好かれてるなんて都合よく考えられる頭持ち合わせてないし、信じ続けられる程出来た女じゃない。常にどっかで疑ってる。好きって何?セックスがしたいって思うこと?私にはよく解らない。あなたが言ってる事を私の解釈で信じて私は傷つかない?私はあなたが怖い。信じ切れなくてごめんなさい。過剰な愛情にしか反応しなくてごめんなさい。夕方には携帯繋がるようにしておきます。切り上げるのに2時間は掛かるけど、1度来る前に連絡してください>
無感情…だった。
否、感情が押し寄せているのが解る。
だけど、どう感じていいのかが解らない。
怖かった。
感じたくなかった。


バレンタインの日、彼に言われたことを思い出す。
─ 俺に彼女がいるから… ─
彼が彼女と別れたことを真正面から受け止められなかった。
彼女がいる彼から、好きだと言われることを嬉しく思った。
増えも減りもしない安定した愛情に安らぎを得ていたのかもしれない。
彼女がいなくなった彼に、好きだと言われて怖くなった。
その好きという言葉の意味を見失う。
その好きは、いったいどういう意味なの…。
今までと変らない好きが、怖かった。


何かが足りない。


彼女のいない彼から、私へ向けられた言葉は、今尚続く彼女ではないもの。
私はその好きをどう受け止めればいいのだろうか。
終わりかもしれない…私の頭の中にはまだ留まり続けている。
通り過ぎようとはしない胸騒ぎ。


私は、素直に彼と向き合うことが…。


夕方、お参りの準備をしていると携帯がなった。
胸がズキンと痛む。
ため息に似た、大きな深呼吸の後携帯を開く。
<昼過ぎ、急な腹痛で病院へ行ったら胃潰瘍でした。即入院ということで、今日は行けなくなった、ごめん…>
コレがあなたの出した結論なの?
正直そう思った。
無理してでも会いに来ようとした結果なのかと問いたかった。
彼への信頼はないに等しかったのかもしれない。
それでも信じたいという思いは燻っていて、取り戻したいという思いは強かった。
<私が行く。どうしても会わなきゃいけなかったんじゃないの?違うの?最後までやり抜いてよ。何でそんな信じられへん事ばかりするの?>
入院が本当だったのなら、病室へ入ったと思われる彼からは連絡がなかった。
<やっぱりやめとく。ゆうじが元気になった時、ちゃんと話が聞けるようになっとくから、その時聞かせてください>


なんだろう、この悲しみに似た感情は。
涙が流れる。
私は今悲しむべき時なのだろうか。
素直…に…向き合う?それは一体どういうこと。
教えてよ、黙ってないで何とか言ってよ。
あなたは一体何がしたいの。


彼女と別れました。
私には何の関係もない事実だ。
彼が今何を考えているか解らないこと、それは前と変わりなく、彼の愛情を十分に感じ取ることはない。



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コメント

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4 ■> hikariさん

あれから半年も過ぎてしまいました…。
まだ、素の自分を言葉にすることが難しく全く進みません。自分を理解するって本当に難しいですね。
ボチボチ、記事も書いていくので良かったらまた読んでくださいね。

3 ■せのりさんへ

なるほど。
では今後は、せのりさんの自問自答が、より自分自身に焦点をあてたものになっていくのでしょうね。
きっとすごく大事なことですね。
苦しいでしょうけれど、それを超えたら絶対に何か起きる気がする(^^)
私にとってもそれは興味深いです。
せのりさんを知ることで、自分を理解しているように時々思いますし。
次の記事。これから読ませて頂きます(^^)

2 ■> hikariさん

記事をアップしてから直ぐにコメントをくださって、コメントを読んで「やられた!」って思いました。次の記事に書こうと思っていたことズバリでしたから。直ぐにでも返事をしようと思ったけれど、とりあえず記事を書き上げました。
本当にhikariさんは、限りなく近い場所にいるのだろうな…。この状況で感じる不安や恐怖は、片思いの淡い感情とは違う。何故、そんな男と一緒にいるのかという問いに限りなく正解である答えのような気もします。失いたくない存在…。
この後の私は、多分、読者の皆様を裏切る言動に変っていくと思う。批判覚悟で書いていかねばならないと思っています。出来る限り、素の自分を書いていこうと思っています。今思えば、内に秘めたもの、全てを出し切ったそんな時だったと思う。少し恋愛からは話がズレてゆくのだけれど、彼という存在が自分にとってどういう存在なのかという、そして自分や周りを改めて見直すものになっていきます。
厳しい意見も覚悟の上…何か感じることがあれば是非聞かせてください。

1 ■真っ向から向き合ってる・・

せのりさんすごいな。
>彼女がいる彼から、好きだと言われることを嬉しく思った。
増えも減りもしない安定した愛情に安らぎを得ていたのかもしれない。
 こんな気持ちを直視するのは、ものすごく辛かったんじゃないかと思います。
私も今、闘ってます。
素直に向き合うことが、ものすごく怖いの
失う以前に手に入らないものだから、安心して身をゆだねられるのに
本気で向き合って
永遠に失ってしまったら、
自分がどうなるかわからなくて、本当に怖いです。
せのりさんはどうするんだろう・・?
私も自分がこれからどうなるのか分からないです。
でもなぜか少し、勇気をもらいました。


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