2005-12-18

197.白の吐息

テーマ:彼女じゃない恋愛

彼が週末のデートの謝罪をした日、大好きなケミストリーの新曲が発売され、レコード会社のホームページでビデオクリップの無料フル視聴のサービスを行っていた。
私はその動画をエンドレスで見ている。
目に涙を浮かべながら。


「白の吐息」という曲で、恋の始まりを歌っている。
その曲をイメージしたビデオクリップでは、彼女が喫茶店で彼氏を待っているのだけれど、大雪の中彼氏の車がパンクしてしまって、会えずに立ち往生しているという設定だ。
彼女は不安げで、注文した珈琲には手をつけられていない。
ずっと窓の外を眺め、連絡のない彼氏の到着をずっと信じて待っているのだ。
彼らが諦めそうになる心とそれを振り切る心が混ざり合う。
ここからはファンタジー的なものになのだが、信じあう二人に奇跡は起こる。
パンクしたはずの彼の車がみるみる元に戻ってゆく。
彼女の元へ急ぐ彼氏。
彼氏が待ち合わせの喫茶店に着いたとき、彼女の珈琲は温まっていた。


このビデオクリップを見て思った。
彼はきっとパンクを直せる魔法を持ってるだろうと。
だけど、私には珈琲を温める魔法はない。
いつだってどんな時でもきっと彼は駆けつけてくれる気がするのだ。
私はきっと駆けつけてくれた彼をみて、冷め切った珈琲をそのまま飲むことしか出来ない気がする。
それだけじゃ笑顔になれなくて、彼とは明日を誓えなくて。
強がることしか出来なくて…。
きっとそんな珈琲をおいしいと言うのだろうと思った。


そんな事を思いながら、珈琲をいれてみた。
香りが漂って心が穏やかになる。
不思議と珈琲の香りは幸せを運ぶ。
そういえば、入れたての珈琲の香りは何かの病気に聞くとか…噂だっけな?
白の吐息をBGMとして流す。
そして、来るか来ないか判らない彼のメールを待つのだ。
たった一言「おやすみ」を言うために。
生活リズムの合わない彼に返事をする為に。


珈琲をダメにしてしまえるほど、私は夢膨らむ乙女じゃない。
温かいうちに飲む、これがおいしい珈琲の楽しみ方だ。
カップに珈琲など残ってはいない。
これ以上飲んだら眠れなくなるかもしれない。
ただ、一人の男に想いを寄せる乙女ではあったりする。
コポコポと注ぐ珈琲に期待を掛けてみたりするのだ。
飲みたくもない珈琲が机の上で湯気をなびかせる。


珈琲の存在も忘れ私はネットに夢中だ。
そこへ彼のメールを知らせる着メロが鳴る。
<お疲れ。12月に一度会いに行くな>
何となく物足りなさを感じる。
12月に一度…。
また、待つんだという思いがとても強かった。


そして、夜も深まった深夜0時半。
鳴る携帯に驚く。
「もしもし…」
「そのケミストリー消してくれる?!」
「何よ!」
「そんなもん聞いてんと、早ょ寝ぇや!」
「いつもは寝てるもん」
「そうやね」
「寝てるかもしれんのに電話してきたんや」
「起きてたやん」
「そうやね」
「今やっ!って思ってん」
「あはっ、何それ」
「夜更かしはあかんで」
「おやすみってメール待ってたんやん」
「メールのがよかった?」
「ん?」
「声のがえぇやろ」
「ふふん♪」
「嬉しい?」
「うん」
「お前さ、言葉に♪ついてるで」
「マジで!?飛んでた」
「あぁ、もう声がフワフワしてる」
「だって嬉しいもん」
「そか、今日はぐっすり眠れるな」
「そうやね」
「俺も寝るわ、飲んできてん。もう限界や」
「そか、おやすみ、ゆうじ」
「おやすみ、せのり」


ふと、目に止まった机の上の珈琲を飲んでみた。
珈琲は多分温かかったと記憶する。
本当の所は解からない。
だけど、とてもあったかかった。
心地よい眠気を誘う。
待ち続けた流れた時を忘れてしまうように。



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CHEMISTRY, Juve, 村山晋一郎, 島健
白の吐息

視聴は→こちら

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