2005-12-15

195.嘘の許し方

テーマ:彼女じゃない恋愛

朝の彼のメールが届いたあとに親友から今夜の食事に誘われる。
<久しぶりに焼肉でもどうですか?>
<何?また何かあったん?>
<はい、そ~で~す。8時でいい?迎えに行くわ>


夜の8時になって、親友の迎えが到着する。
親友の運転で焼肉屋へ向かい、彼女の愚痴を聞きに行く。
肉をジュージュー焼きながら彼にブーブー妬いている。
ため息の数も半端ない。
彼女は今まであったことを事細かに説明した。
彼女は見てはいけないものを見てしまったらしい。
男の浮気現場だ。
彼女はその時、とっさに証拠になると思いそのまま家に帰ったという。
その判断が、幸か不幸か現在のトラブルの元になっている。
証拠を握っている彼女は、余裕で彼を尋問する。
が、彼の口から出た言葉は嘘だった。
ただ、ここで問題なのが、その証拠とやらが薄いことだ。
車を見たというだけで本人までは見ていないと言う。
確かにその車は彼の物だった。
それは本人も認めている。
が、違ったのは運転手であり、本人はそこに居なかったと主張したそうだ。
彼女はこれを嘘だと言う。
私には判断しかねることだけど。
私がどうこう言うことでもない。


「せのり?」
「ん?」
「もしもやで、あいつの言うてる事が正しかったとしようや。でもどうやってそれを信じていいのかわからへん」
「うん・・・」
「一旦疑ったものってそう簡単に思いなおす事なんてできんやん」
「そうやな」
「事実はかわってないわけで、もしもやで、ここに居ましたって見せ付けられたら信じるしかないけど、今の状態で俺じゃないからじゃ・・・」
「そうやな」
「せのりならどうする?」
「信じる」
私は即答だった。
それだけに彼女を黙らせてしまった。
彼女は肉をつつきながら少し考え込んでいる。
「人って少くとも嘘つくやん。でも嘘つかんって言うやろ」
「そうやな」
「・・・・」
「うーん、じゃ、あんたは何で嘘つくん?」
「いつの話?」
「そうやな、例えば…あんたが彼氏以外の男と遊んでてそのあと必ず皆に口止めするやろ?例え、やましい事がなかったとしても彼氏には秘密にする。今まで友達に恵まれてるのかそれがバレてきてない。けど、バレて詰め寄られたら、あんたはきっと小さな嘘をつく、何で?」
「別れたくないし」
「その時、もしかしてあんたはその嘘を信じろって理不尽にも思ってないか?」
「思った」
「でも、本当に信じて欲しいところってのは、嘘じゃなくて何もなかったことじゃないのかな?」
「・・・そうかもしれん」
「事実が真実であることを信じるんじゃなくて、彼を自身を信じるって事なんじゃないの」
そういうと彼女はまた肉をつつきながら考え込んだ。
「でも、嘘やと思ってしまう・・・」
彼女は呟いた。
そしてまた何かを考えているようだ。
「なぁ、もう真実を知ることなんてできんやん。こうなった今確かめることなんて無理やん」
「そうやな」
「私、せのりみたいに彼氏をそこまで信用してないし、いつだって疑ってかかってる」
「うーん」
「この際、嘘って事にして話聞いて…」
「うん」
「嘘・・・つかれたらどうしたらいいの?」
「別れる」
「そっか・・・あんた嘘嫌いやったもんな」
「うん、まぁそれも嘘やと認められたらの話しやけどね」
「別れたくないとしたら?」
「その言葉を信じる」
「そか・・・」
彼女は私の答えにどうやら不満気な様子で、私から満足ゆく答えを聞き出そうと必死であらゆる質問を繰り返す。


そこに彼からのメールが届く。
私は親友との話を中断させて、仕事終わりの彼にメール送った。
<私に嘘ついたことある?何で嘘つくんかな?嘘ってどうやったら許せるんやろう?>
そして、その送信メールを彼女に読ませた。
彼女が呼んでいる所に彼の返事が届いた。
「メール開いて読んで」
「『嘘って?何でそんなこと聞くの?突発的やな!理由は?』やって。これって嘘ついてますって言うてるようなもんじゃない?」
「かもね。ウチらには延長戦やったけど、彼にとったら突然の事やもんな。あせってるかもね」
「これで嘘ついてないって言うたら、それこそまさに嘘やん」
「携帯貸して」
私は彼女から携帯を受けとるともう一度彼にメールをした。
<ゆうじは私に嘘ついた事あるのかなって不安になった>
そしてこの送信メールも彼女に読ませる。
彼女は興味深げににやりと微笑を浮かべる。
しばらく彼からの返事は返ってこなくて、肉を食べながら待つことにした。
そして10分後のことだっただろうか、彼から返事が来る。
私は、少しドキドキしながらそのメールを確認した。
<嘘は嘘、やましく、汚いものやと思う。綺麗事なしでね。いい嘘なんてきっとない。けど、受けての感じ方でいい嘘と悪い嘘に一般的にはわけられてる。意識的な嘘と無意識的な嘘は違う。けど、結局は受けて次第なんやろうな。それを卑怯だと感じる人もいるやろうし、そういう深みを考えるとやっぱり汚いと思うよ。俺はせのりに嘘をついてるつもりはないけれど、それは周囲から見れば卑怯だったり汚かったりするのかもしれない>
私はこのメールを読んで少しホッとした。
嘘ついた事があると言われたら正直彼女の相談どころではない。
この受信メールを開いたまま彼女に手渡した。
彼女はその長いメールを読んでいる。
「ついてるつもりはないって、逃げやん」
「そうかもしれんな!いや、寧ろ、模範的な嘘のつき方かもしれんな。これで、あんたと同じ状況になったってことやね」
「・・・」
「ゆうじの言うてる事実確認はできない。ウチは多分、嘘があるって言われたら許されへんかったと思う。それが嘘のない言葉で正直に彼が吐いて謝ったとしても、過去の嘘は許されへんかったと思う。じゃぁ、何故嘘かもしれない今の言葉を信じるのか…信じたいから。信じたら多分本当になるねん。うちは、もしも嘘やったとしても骨壷まで持ち込んでくれれば文句はない。一生本当やったと信じてよかったと思わせてくれればそれでいい。ゆうじが言うようにホンマに受けて次第やと思う。ウチは嘘が嫌って言いながら、嘘なら嘘を突き通せって思う。一般的に言う良い嘘ってのは少なからず誰かの為やと思った過ちやと思う。その嘘を暴露する事ってのは、誰の為にもならんと思う。その嘘を受けるも受けへんも、あんた次第やってことやね。嘘を吐かせる事に意味なんてあるんかな?嘘でしたって言わせてそのあとどうなるんやろう?あんたは、それでも彼の言葉を嘘にしたいか?彼が言うた言葉は、本当にせよ嘘にせよあんたを想って与えた言葉やとウチは思うけどな。もしも悪い嘘なら、いずれバレるやろうね。そしたらその時怒ればいい、違う?うちは、彼を信じたいと思うよ。その嘘の裏側にある想いが大切なんじゃない?」
彼女はずっと黙ったままだ。
そして、彼女は箸を握りしめ深く深呼吸をした。
「あんたも、あんたの彼も、ウチの彼も、同じ事言うから皆きら~い」
彼女は肉をやけ食いし始めた。


彼女はきっと彼氏の事を信じているんだろうと思うし、何らかの彼のリアクションで許すのだろうと思うし、これから先だってずっと信じ続けてゆくんだと思う。
彼ゆうじのメールを見て、私はホッとした。
親友は怒った。
彼女の反応を私はとても人間らしいと思う。
論理的に片付けてしまう私たちよりずっと。
ただ、その回避として私たちのやり取りで何かを感じ取ってもらいたかった。
少なくともやり方は違ったとしても、人を信じるという事は同じだと思うから。


「なぁ、信じて裏切られたらどうしよう」
「それは果たして裏切りなんやろうか・・・」
「また丸め込まれそうやら、いい!頭固い奴の話なんて聞きたくなーい」


この後、彼女達は直ぐに仲直りをする。
彼女が彼氏を信じられた理由?
簡単な事だ、女はセックスで愛を図れる。
「あいつ好きじゃない女は抱かんねん」
彼女が唯一無条件で信じる彼の言葉だ。
彼女がノロケ話を提供してくれた。



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