2005-12-02

184.忘れちゃいけないこと

テーマ:彼女じゃない恋愛

ファミレスへ来た私たちは、席につき注文をして料理を待っている。
私はこの料理を待っている時間があまり好きじゃない。
頼んだ料理の事ばかり考えてしまって、人の話がなかなか頭に入ってこないのだ。
これを食い意地とか言うんだろうか。
ソワソワして厨房あたりをよく見てしまう。
知ってか知らずか、よく彼には「落ち着け」と怒られた。
料理が来ても、私は食べることに必死。
食べている時も結構人の話を聞いていない。
「ん?何?」
彼の話によく私はこうして聞き返す。
「まだ、怒ってるんか?」
どんなに大切な話でもだ。
「え、いや、怒ってないよ」
「今日は増して無口やからさ」
「いや、オムライスおいしいなと思って」
「そか、よかった」
「ホントだよー。幸せ」
「オムライスが?!」
「じゃなくて、ゆうじとおれる事が幸せ」
「そか」
「ねぇ、それ、カムフラージュでしょ」
「何のやねん」
彼は笑いながらそう答えた。
「ん?いや、馴染んでるなと思って」
「あはは、だろ!夜のファミレスはジャージが正装」
「ヤンキー風味のゆうじなんてそうそう見れないよね」
「あほ!あのジャージとは一味違うねん」
「ぶっ!ジャージ語られても」
「ごめん、こんなんで。ほんまは着替えようと思ったんやけど、急いで会いに来た」
「あ~そ~」
「ほんまやって!」
「ふーん」
私がカムフラージュだと言ったのは、ソフトなんて嘘で本当は誰かと会ってたんじゃないのっていう意味だった。
言おうとしてやめた。
彼が言うように、ジャージなんて本当にありえない人だったから。
格好つけで、私にダメなトコみせない。
食事がファミレスになるといつも30分は反省した。
値段、雰囲気、彼の中の定義がある。
多分、私に嫌われるとかそんなんじゃない。
彼のポリシーのようにも思える。
彼がそうまでするからジャージが少し嘘っぽく思えたのだ。
わざわざジャージ着てきたんじゃねぇのってね…。
考えすぎだろうか。
「ほんまごめんな。せのりは可愛くしてきたのにな」
「べ・・・別に・・・」
「俺さ、本当早く会いたかった。毎日お前のこと考えてたよ。やのに、お前の事辛くさせるばっかりでさ…ホンマにごめんな。愚痴も聞いてやれんし、待たせてばっかりでごめん。多分、これからも忙しいと思うし、なかなか話聞いてやれんけどさ。今のうちに愚痴っとけ、な」
「…うーん。もういい」
「なんで?!言いたいこといっぱいあるやろ」
「うーん、聞いて欲しい時ってあるんよ。一人で不安だから聞いて欲しいの。今、こうして会って話し聞かせてくれて、そんな時に愚痴ろうとは思わない」
「そか…。俺が気付かなあかんって事やな」
「そういうわけでもないけどさ」
「じゃぁ、今言ってよ」
「うーん、もっと連絡して欲しい」
「それから」
「留守電とかありえへん」
「それから」
「えっと、事後報告とか嫌」
「それから」
「うーんと、うーんと」
「俺、せのりこと好きやで」
「は?何それ」
「好きやで」
「答えになってないじゃん、愚痴らせるだけ愚痴らせて」
「好きやで」
「もぅいいよ、こんなトコでやめてよ」
「これだけは忘れないで欲しい」
「・・・そうだね」
自信満々にそういう彼に、不安なんて言葉は似合わないような気がした。
「俺、せのりの愛、感じてるよ」
「うん」
「お前も俺の愛を感じてな、な」
「うん…」
「伝えるの苦手やけど、俺せのりのこと好きやから」
彼は、今までの1ヶ月分の好きをこの短い間の中でずっとずっと私に言ってきた。
そんな気がした。
沢山沢山溢れ出る好きと言う言葉を、安っぽいなんて思わなかった。
一つ一つがとても重たかったんだ。
私の方がが彼の目を見ていられなくなった。
「こっち向いて」
「…うん」
「泣かせるような事ばかりしてるけど、絶対お前を傷つけない。俺は、お前を守るってずっと思ってる。今は守り切れるほどデカイ男じゃないけど、いつかは守れるようになる」
「…うん」
「もう少し待っててな」
「うん」
私は彼が言い終わるとまた目を伏せた。


とても大きな葛藤だった。
この言葉を信じてしまう私がいる。
人を信じることが素敵な事だと解かっている。
でも、彼以上に私は自分を守ろうとしている。
信じちゃ、傷ついちゃう…。
何処かでそう思っている。
彼を疑わなければ、そう思う自分がいる。
嘘つき、そう言ってやりたかった。
だけど、私はそんな風に思っていないので言えなかった。
彼に頼りきっている私がいる。
この言葉が私を癒してくれるのだ。
いつか遠い未来に私が傷ついたとしても、今彼の愛を受けたい。



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