2005-11-16

175.シンクロする音楽

テーマ:彼女じゃない恋愛

「ちょっと聞いてよ~!ってか、もう既にあんたの家に前に来てるから出て来い」
そう親友から電話を受けて愚痴を聞きにいった。
親友の車の戸を開け助手席に座ると、彼女は車を走らせることを忘れ話し始める。
「もーーー、あいつほんまムカつくわ。もうあたし限界。もうあかん。もーダメ!」
「また浮気?」
「そう、まだ確信じゃないけど、絶対そう」
「女の勘ですか…」
「何べん連絡しても、メールの返事もない電話にもでん」
「ゆうじもやけど…」
「はい、あいつは別格」
「それって付き合ってるとかそういう類ですか!?」
「じゃなくて!する人かしない人かの違い」
「あぁ…」
「ムシャクシャするからとりあえず付き合って」
そう言うと、親友は車を走らせた。
親友は何も口にはしていないけれど、「イライラ」という音が親友から聞こえてきそうだった。
そんな親友が何やら相づちを打ち始める。
「そう…そう…ほんまによ!…あぁムカつく…そうよ…」
頭でもイカれてしまったかと思ったら、親友はBGMに流れていた曲に相づちを打っていた。
流れていたはSMAPの「青いイナズマ」。
曲と親友の相づちに耳をやる。
思わずぷっっと噴出すほどの共鳴。
「ってか、この歌こんな歌やってんな」
「ほんまに!私も今ちょっとビックリしたし!もう私この歌笑顔で歌われへんわ」
親友はSMAPの歌に怒り倍増である。
そして、続いて流れてきた曲に彼女は切れた。


─どこから説明すればいい?漠然と別れたいんだ─


と、始まるSMAPの「EAO」。
親友は彼氏の言い訳を聞くかのごとく静かに、否今にも噴火しそうな活火山の如し聞き入っていた。
私はこの曲のオチを知っている。
彼女も知っているであろう、なのに何故聞き入る…。
きっと爆発したいんだな。
曲がもう直ぐ終わろうとしている。
男のムカつく心境を吐き出し終わる。
そして…。


─ひとりになりたいんだ!─


言ってしまった。
歌いきってしまった。
「ムカつくーーー!ありえへーーーん!」
親友はバシバシとハンドルを叩いていた。
どうしてこうもシンクロする曲を人は選んでしまうのだろうか。
私は、彼女の車の中にあるCDを何気に見てみるが、あえて選ばぬ方がいいだろうと思われるCDばかりだった。


とりあえず何か食べようという事でファミレスに入る。
すると親友の携帯がなった。
電話の相手は女性だ。
私にも聞こえるほどの声で叫んでいる。
「ちょっとー、うちの彼知らん?」
不幸な女が不幸な女を呼んでいる…。
午前0時、愛されない女集結だ。


「うちらの男は一体こんな時間まで何をしてるわけ?」
「いつもの所覗いてきたけどおらんかった」
「あいつらも賢くなってるからなー」
「チッ!悪あがきしやがって」
怖い…怖い過ぎる。
彼が仲間でなくて良かったと思った。
「もう一回連絡してみたら?」
「無理無理!」
解決へと導こうとしたが、即答だった。
「いや、んまぁそうやとしても、そろそろ店も閉まるころやし」
「そやな!カラオケ入られる前に…」
何とか収まりそうだ。
「そや、皆一斉に同じメールして、誰が先にどんなメール返ってくるか勝負しようや。そしたら、気分良く待てるし」
「うーん、でも何て打つん?」
「せのりやったら、何て打つ?」
「今?」
「そう」
「うーん、お疲れさま、最近メール全然くれへんから寂しい。早く会いたいな。ってとこかな?」
「うわぁ~、あかん、そんな事うち言えん」
「はぁ?言えんって、これ言わな、何言うん?」
「だから、ここに居る」
「じゃ、言うてみたら?新鮮さに返事がくるかもよ」
「寂しいとは言えんけど、その様な事なら…」
「んじゃ、とりあえず『会いたい』を使ったメールな。うちはさっきの入れるから」
私たちは、メール本文を打ち終わった後一斉に送信ボタンを押した。


しばらくして、ファミレスに響いた着メロは私の携帯からなった。
<お疲れ。今帰りやで。ブランド異動でやる事、覚える事も多く、毎日クタクタやよ。こんだけほったらかしやのに、せのりは俺の事想ってくれてるの?毎日仕事の事ばかり考えてる自分が嫌です。プライベートも何も出来てない自分が嫌い。自己嫌悪…はぁ…。今月、何とかして行きたいけど、今のところ、この日!とは断言できないんだ。ごめんね>
正直、返事があるとは思わなかった。
ずっと連絡なかったのに…。
不幸な女たちを忘れ、泣きそうなほどの感動。
そんな嬉しさにも浸っておれず、攻撃を受ける。
「やっぱりな~。せのりやと思ったわ。なんやかんやで、一番愛されてるんは、せのりやしな」
「うわー、それってすんごいムカつくんですけど」
「愛なんて付き合ってるからってあるもんじゃないしな」
「…想像の浮気でテンヤワンヤの人が、確実浮気の人によう言うわ!」
「大丈夫…せのりは愛されてる…うん」
「はいはい、でも正直うちは愛されてると思ってるけどね」
「ごちそうさま」
「もう少し信用してあげれば返事あるんじゃない?」
「…はぁ」
親友はため息をこぼした後携帯をじっと眺めていた。
少し、彼への想いが膨らんだのかな…。
それから親友の友達の彼氏からも連絡があり、彼女は彼に会いに行くと帰っていった。
取り残された親友。
はぁ、私までため息が出る。


一向に連絡のない親友の彼氏は一体何をしているのか。
必ず連絡をするという親友の彼氏。
女に会うと連絡をしないと言う解かりやすさ。
想像でここまで怒って当然かもしれない。

事情があるとも仮定できるのだけど。


憂さ晴らしに親友とカラオケへいった。
やっぱり選ぶ曲は…。
これがまた、歌うまで気付かないという間抜けっぷり。
人って、こんなものなのかもしれない。

親友はどんどん落ちてゆく。
2時、3時になっていただろうか。
大音量の中、親友の携帯が光るのが目に入ってきた。
「ちょっと!電話なってる!」
慌てて親友は携帯を握り、液晶を確認すると「ごめん」と言って嬉しそうに部屋を出て行った。
歌詞のない曲が流れている。
曇りガラス戸の向こうに親友が居る。
親友の顔はどんな表情なのか解からない。
私は、流れる音楽を一人歌った。
3曲ほど一人で歌っていると、親友が戻ってくる。
「仕事やったんやって」
「信用するなんて珍しいやん」
「あいつ仕事場の人とは遊ばへんし、ちゃんと仕事場やったしな」
「そか、で?メールの返事は?」
「あぁ、お前アホかって言われた」
「…ま、照れ隠しじゃないの?」
「うん、解かってるけど、たまにはせのりみたいに言われてみたいもんやわ」
予約された新しい曲がまた流れ始めた。
親友が電話の前に入れた曲だ。
親友はマイクを手に歌いだす。
ミスチルの「Simple」だ。


─探してたものはこんなシンプルなものだったんだ─


親友は歌いながら泣いてしまった。
なんだか私も泣けてきた。
嬉し涙だったと思う。
幸せの涙だったと思う。
よく、あんなどん底に落ちた状況でこんな曲を親友は選択したよ…。
もしかしたら、こんな時を予知してたのかな。
女の…勘?



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SMAP, 野島伸司, コモリタミノル, 相田毅, Face 2 fake, ゆかり美和, 岡雄三, 安田信二, CHOKKAKU, 戸沢暢美
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SMAP
SMAP 008~TACOMAX
↑「EAO」収録
Mr.Children, 桜井和寿, 小林武史
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