2005-11-10

171.デートしてください

テーマ:彼女じゃない恋愛

ボーっと、布団の上で抜け殻のように時を過ごした。
ほんの数分かと思いきや、時計を見れば短針まで動いていたりした。
幽体離脱でもしてしまわないかと真剣ビビッた。


携帯がなる。
心臓が止まる思いだ。
「・・・・」
「あのー、もしもし?!」
携帯を鳴らしてきたのは親友だった。
「何?!連絡待ってる人間に着信は死ぬほど驚くんですけど」
「怒りなさんな、どうなったかな~と思って」
「まだ待ってるさ!ってか動きがあれば連絡しますぅ~」
「でも、よう泣くな!まだ涙声やん」
「ビックリするほど止まりません」
「私も振られたらそうなるんかな?」
「自分がよぅ解かってんじゃないの?」
「うーん、冷めてるとこもあるしな。せのりみたいに純粋じゃないし」
「純粋で泣くもんなんか?」
「汚れてたら涙も出んやろ」
「混じりっけがあっても、冷めてても、痛いもんは痛いやろ…」
「あわわわわ、想像したら結構痛いわ」
「我慢したって心は泣くだろ…」
「今も泣いてるかも」
「一緒に泣く?」
「仕事中やから我慢するわ」
親友はそれから何度か連絡をよこした。
気になって仕事が手につかないと言っていた。


親友の3度目の電話を切ったあと、センターにメールが1通あることを携帯の液晶画面に点等しているアイコンが知らせていた。
メールセンターに問い合わせをし、メールを確認する。
操作ボタンを押していくと、彼専用の受信ボックスが点等していた。
<夜、俺から電話します>
また、いつ掛かってくるか解からない連絡を待つことになった。


いつもは1日中でもやっているインターネット。
暇を潰せるだろうと始めたネットも、つまらなく自分が運営しているサイトばかりを眺めた。
代わり映えがしない。
100以上あるブックマークも、カーソルが通過するだけで選ぼうとは思えなかった。
クリックするのは、何故かやっぱり自分のサイトだ。


日も落ち、物音が大きく聞こえ出した頃、彼からの着信を携帯が知らせてきた。
息が荒くなる。
私は何度か深呼吸をして落ち着かせようと努力だけはしてみた。
が、そう易々落ち着くはずもなく、そのまま電話に出た。
「もしもし」
「もしもしぃ!話ってなんですか?」
「怒ってる?聞く気がないなら日を改めてもいいんやけど…」
「そんなことないよ、何や?」
「うんと…」
私は言葉を詰まらせた。
何も言葉が出てこない。
「話がないなら電話切りますよ」
「ごめん、何をどう話して言いか解からなくて」
「俺はちゃんとせのりと話せるように今までずっと考えてたのに、お前は何も考えてなかってんな」
「そうじゃないけど…」
私はまた無言になってしまう。
言葉が口から出てこない。
文字にならいくらだって出来る。
今の気持ちを原稿用紙に埋めたら、きっとハリーポッター並の超大作になると思う。
何故、私の想いは口から出ようとしないのだろうか。
無言は続く、耳が痛いほどに。
だけど、彼はそんな私をよく知っていてくれる。
沈黙の電話はずっとずっと続いた。
私の言葉を彼は待っている。
「そうじゃないけど、いざ、ゆうじの声を聞くと真っ白になる。何を話したかったんでしょう…」
「…俺が、お前にさよならって言ったことやろ」
「あぁはいそうです。えっと、何で急に答えが出たの?」
「お前はそんな事言いたかったんか?」
「うーん、違うけどこれも知りたい」
「まぁ、そやな、それは後でもえぇか?」
「うん…。えっと、彼女の事好きなの?」
「あぁ好きや」
「そう・・・私の事はもう好きじゃないの?」
そういうと、彼のため息が聞こえてきた。
「好きや」
「ぅぅぅぅん…」
私は好きだと言われ、唸ることしか出来ずにまた無言になってしまった。
どういう事なんだ、好きだと言われてどうこの話を展開してゆけばいいのだ。
「また沈黙…。お前の気持ちを伝える事はないんか?」
「うちの気持ち…。私は、さよならは嫌」
「でも辛いんやろ?」
「でも、好き」
「好きでも俺はお前を辛くさせてるのが辛い」
「辛くない」
「辛いんやろ!」
「・・・うん」
「俺は別れようって決めてん」
「ごめんなさい」
「何が?」
「え…うんと、困らせた」
「本当に悪いことしたと思ってる?」
「…思ってないけど、後悔してる」
「そか…」
「寂しかってん」
「お前は何で寂しくなるん?」
「もっと話がしたかって、もっと声が聞きたかって、もっと一緒にいたかった」
「そやな、俺も同じ気持ちやで」
「うん…」
また沈黙が続いた。
言葉の意味が無意味に思えた。
だから、何?そう言う彼に対して意味ある言葉を見つけられない。
伝えたい想いは行方知れずだ。
何も出てこない。
長々とエッセイは書けても題名が決まらないように、伝えたい事が定まらない。
題名はあってもエッセイが書けないように、言葉が見つからない。
伝えたいことは山ほどあるのに…。
これでもマシになった方だ。
ずっとずっとロボットみたいだったから。
これだけ言葉に出来たことを褒めて欲しい。
もぅ…出てこないよ…。


「解かった」
沈黙の後、彼はそう言った。
そして、私の言葉を待つことなく次の言葉を発した。
「せのり、さよなら」
「なんで、やー」
「お前さ、俺と恋愛初めて何度体壊した?何度発作起こした?今だってギリギリだろ?俺は、当分答えを出せそうにない。俺の答えというより、お前の限界だと思った。俺はお前を支えられる程強くない。だから、もう会わない」
「うち、ゆうじが居なきゃもっとしんどい」
「再会するまでは大丈夫やったやろ」
「でも会っちゃったもん」
我慢してた涙が一気に溢れ出た。
「せのり、泣いちゃダメだよ…また、発作起こる…」
「だって、ゆうじがさよならするから」
「お前は答えを迫ったけど、俺はお前しか選べへんのか?」
「これは答えじゃないもん、ゆうじの答えじゃないじゃん。うちはちゃんとした答えを聞きたい」
「これでもしっかり考えたんやけど」
「もっと考えて、うちの為なんて納得できない」
また彼のため息が聞こえてきた。
「会いたい」
私はそう呟く。
「ゆうじ、会いたいよ」
「…会うことはできる」
「どういうこと?」
「もうお前には期待させたくない」
「会いたい」
「あぁ、会うことは出来るよ」
何度繰り返しても、彼は同じ答えしか言わなかった。
会うことは出来る…。
つまり、恋愛じゃないということ。


「ゆうじ…」
「何?」
「えっと…」
「なんですか?」
「私は…あなたが好きです。デート…してください」
何も考えずに出た言葉。
自分で言って恥ずかしくなった。
まるで作文を読んでいるようだった。
「ぷっ、あははははは」
彼が、私の言葉を聞いて爆笑している。

今までとても怖い声をしていた彼の声がふっと明るくなるのを感じる。
「あはは、何で棒読み?!ほんまに思ってるんか?お前らしいな。俺も好きだよ」
「うっ…うっ…ウグッ…」
「お、おぃ、泣くなって!」
「うっうっうっ、私、ゆうじが好きなの」
「あぁ、知ってるよ」
「さよならしたくないの」
「あぁ、ごめん」
「デートするの!」
「あぁ、体調よくなったらデートしよう」
「本当?」
「あぁ」

「もうさよなら言わない?」
「寂しくさせてるし、辛くもさせてるけど、なかなか変わらない俺やけど、待ってられるか?」
「うん、待ってる」
「辛くさせてるのは俺やけど、いつも元気で居てほしい」
「うん・・・。デート、会うだけ?」
「何が?」
「チューする?」
「して欲しいの?」
「うん」
「あぁ、俺もしたい。抱きしめたい」
「好き」
「俺も好きやで」
「彼女も好き?」
「あぁ…」
「ムカつく」
「ごめん」


彼を引きとめる事ができた。
彼は期待させたくないといったけど、私は充分に期待している。
辛くなるけれど、期待している。
彼が好きだから。


彼はズルイ。
私もズルイ。
私は、きっと都合のいい女に見えるだろうけれど、彼も私にとってはとても都合のいい男だ。
タイミングはとても悪いけれど。
彼がいないと都合が悪い。
彼女と別れないと嫌だと言ったり、別れるのが嫌だと言ったり…彼を都合よく扱ってる。
もうこんな喧嘩したくない。


電話を切って、私は幸せだと思った。


彼女じゃない恋愛なんて無駄だろうか。
好きな人に振られてしまう片思いの方が幸せなのだろうか。
好きな人に少しだけ愛されてしまったら不幸だろうか。
私の彼女じゃない恋愛はとても辛く幸せだ。


全然無駄なことなんてないと思った。
期待することを馬鹿な事だとは思わなかった。


親友に報告して、一緒になって喜んでくれたからそう思った。


<元気にならなキスしたらんよ>
彼からメールが入る。
わがままより、困る質問より、彼を悩ませていたのが私の病気だったこと、私は忘れない。
ずっと元気でいよう。
精神的な弱さが直ぐに肉体的な症状に出る自分を治していこうと思った。
彼と一緒ならきっと治ると思う。
幸せだと思える時間だから。



[ ← 170 ]  [ 目次 ]  [ 172 → ]
AD
いいね!した人  |  コメント(10)  |  リブログ(0)

senoriさんの読者になろう

ブログの更新情報が受け取れて、アクセスが簡単になります

コメント

[コメントをする]

10 ■セフレラブ

優雅なセレブ女性だってセフレが欲しい

9 ■無料出会い

日額10万円を超えております

8 ■> toraさん

あわわわわわ、ちょっとこのダメ出しハードル高すぎだと思うのは私だけですか…そうですか…。
過去を偽るつもりはありませんが、もっと自分の中にあるものを伝えられるよう努力してみます。
でも…やっぱり小説だなんて、ハードル高いですよ…。

7 ■> jam-strowさん

伝えられた感は殆どなかったのですけどね、「伝わった」という結果論として良かったと思えました。この時、もっともっと伝えたいと思ったけれど、どうしても口から言葉がでませんでした。反省と嬉しさで心ぐちゃぐちゃでした。
そうだと良いのですが、彼女もまた彼を信じているのだろうなとマイナス思考もフル活動です。

6 ■> ありωこさん

初めまして、せのりです。
いえいえ、記事を読んで思う事があればぶちまけてくださいです。こんなこと想うのは私だけなのだろうかといつも不安で記事を書いているので、そう言ってもらえると心強く感じます。
この記事の出来事が会った時は、思わなかったことなのですが、今私が想うのは、気持ちを伝えるのが遅すぎたのかなって。悩んでしまう前は「会いたいな」から始まってたと思うんですよね。そう思うのに会えなくて寂しくなって辛くなる。そうなってから彼に伝える言葉「もう辛いの・・・」です。もっと会いたいと思ったときに伝えていれば・・・なんて今は思っています。我慢しすぎなのかな。彼が言ってくれるように、もう少しワガママ言っても良いのかもしれない。ありωこさんの彼も「会いたい」なんて可愛いワガママなら許してくれそうですけどね、「辛い」なんて言うよりも☆
うん、心を痛められる相手なんてそう居ないと思います♪

5 ■> えりさん

何によって出される答えかは解からないけれど、少なくとも私たちが彼を選んだ答えと同じではないでしょうか。そう、誰かの為に出す答えならば始めからそうしていれば良かったじゃないかと…思ってしまいますよね。始めてしまったのだから、とことん自分の為に動きなさいよ!って私は思います。
うーん、責める心はあってもなかなか外には出ませんね。自分にも選択する余地はあったわけで…でも、私も時にそう思います。だけど、口にしようとした時、手を出させたのは自分だと言う事が胸を刺しさらに痛いっす。

4 ■ん・・・

いまいち・・・

まだまだだね(携帯小説作家より)

3 ■無題

想いを伝えらえてよかったですね!
せのりさんの彼への熱い思いが伝わりましたね^^
待つのは辛いと思うけど、信じて待ったら、彼は、あなたのことを選ぶと思います。

2 ■初めまして☆

読者登録させて頂きました☆
宜しくおねがいします!!
自分は彼氏と最近うまくいってなくて、
『私が辛くなるだけやで別れよう』
って何度も言われてます。
私は彼氏のことが大好きだけど、
最近彼氏が冷めてきたみたいです。
でも好きだから一緒にいたい。
完全に私のワガママを通してます。
でも一緒にいたら安心するんです。
一緒にいないことの方が辛い。
でも彼氏は時間が解決するから。
今は辛いかも知れやんけどな。
って言いました。
でも私は今の彼氏とは別れたくありません。
やっぱり大好きです…。
仲直りしてそばにいるだけで幸せやな。
って感じます。

すいません。
個人的な意見で…。
なんか読んでたら自分と言われてたことが
重なってたので思わず夢中でした。

悩んでも泣いてもやっぱり彼氏のことが
めっちゃ好きやから悩むんですよね??
どうでもいいなら別れてますよね。
困ったものだと自分で思います…。

1 ■答えってなんだろう?

彼が出すべき正しい(せのりさんにとって幸せな)答えってなんなんでしょうね?
このままは、辛いけれど、自分のために彼女と別れられるのも、きっと辛い。
でも、一番嫌なのは間違いなく、「そっちが辛そうだから別れる」ってことだと思います。
そんな理由じゃ、諦めがつきませんもんね。


人のせいにしちゃいけないとは思うけれど、あたしは最近、彼女がいながら、せのりさんやあたしに手を出してきた、彼らの行動が恨めしくて仕方がありません。。

コメント投稿

AD

ブログをはじめる

たくさんの芸能人・有名人が
書いているAmebaブログを
無料で簡単にはじめることができます。

公式トップブロガーへ応募

多くの方にご紹介したいブログを
執筆する方を「公式トップブロガー」
として認定しております。

芸能人・有名人ブログを開設

Amebaブログでは、芸能人・有名人ブログを
ご希望される著名人の方/事務所様を
随時募集しております。