2005-06-25

59.始る恋愛

テーマ:彼女じゃない恋愛

店長に隠れて手を繋いでいる。

店長から繋いだ手は見えないだろう。

そんなドキドキ感。

堪らない。


「お前らってどういう関係?」

繋いだ手が見えなくとも、誰もがそう思うだろう。

バーを辞めたバーテンダーとその客が何年も経ってまだこうして真夜中に会っているのだ。

「どういう関係?」

私も店長の質問に続いた。

私たちの関係に言葉なんてあるんだろうか。

浮気相手?恋人?友達?好きな人?これから付き合う人?親友?

私はね・・・最大級に彼を求めてる。

でも、怖くて直ぐには答えを聞きたくない。


「さぁ?」

彼は誤魔化した。

だけど、彼の手は私の手を離れ、私の腰に手を回し私をより引き寄せてきた。

ピッタリとくっつく体に少しビクついた。

こういう関係です・・・て?!

どういう関係?

「セックスはしてないよ」

私がそういうと、店長はすごく怪しんでいるような顔をした。

こんなに寄り添って・・・ねぇ?おかしいよね、店長?

私はそんな店長と彼がおかしくて堪らなかった。

そして私も少し変。

嘘のない真実の見えない会話。

「へ~、これからするん?」

「するん?」

私はまた店長の質問を繰り返し彼の反応をうかがった。

これに関しては、どうでもよかった。

どんな答えが帰ってこようと冗談にしかならない。

「して欲しいん?」

「いやや~、店長この人すごいエロイ~」

「俺もエロエロやけどな」

「うわ~、もう嫌や、この二人~」

「俺と店長やったらどっちとしたい?」

「え、嫌や。でも店長のがすごそうね」

「あぁ、俺は頑張るで」

「まだ健在ですか!?」

「あたりまえや、お前は1晩で何回する?」

「俺、淡白ですから・・・」

「頭の中はエロエロやのにね」

「そうそう、体がついていかん」

「淡白でも頑張れよ、体がだめなら指使えよ」

「テクもないっすよ」

「女の子鳴かしてなんぼやろ、だろう?」

「知らない!」

何故かエロイ話で盛り上がる。

私は徐々に口数がへってゆく。

そんな私をチラチラと彼はうかがってた。

いつも、彼はこうやって私の心を覗こうとする。

「そうそう、そんな事より明日の・・・」

彼は話を変えた。

エロイ話も苦手だけれど、ソフトの話もさっぱりだった。


眠い。

時刻は4時を回ってる。

まばたきの回数が増えたように思う。

シバシバする。

コクリコクリとなる私を、彼は今まで腰にあった手を私の頭にもってゆき「眠いか?ごめんな」と言いながら、自分の膝へ誘導した。

彼の膝で眠るのは2回目だ。

気持ちがいい。

私は彼のこんな優しさに包まれるのが大好き。

彼はまた、海へ行った時のようにずっと頭を撫でていてくれた。

あの頃とは違い、直ぐに眠ってしまったのだけど。


目を覚ますと「こいつ、風邪ひきよるしそろそろ」と彼が店長に言っているところだった。

体を起こす、半分寝ぼけている。

彼が私の頭を撫でて、自分の肩に私をもたれさせた。

心地いい。

また少し意識が遠くなったような・・・。

ホワホワする。


「ほら、いくぞ」

彼が私の手をひいた。

車に乗せられて、フワフワとした意識の中を彷徨う。

私の右手はずっと彼の左手を感じている。

ずっとこの手が離れなければいいのに。

店長は帰ったようだった。

はっきりと目覚めると、もう私の家の前だった。

ボ~ッとしている私を、エンジンを切ってずっと彼は待っていてくれたみたい。


「ちょっと!もう朝じゃん!!」

「あぁ、ごめんな。今度また来るよ」

「いつ?」

「来月の末あたりになるかな」

「あと1ヶ月も先じゃん」

「その間に、ちゃんと彼氏と別れるんやで」

「うん、直ぐ別れる」

「俺、昼から試合やから実家帰って少し寝るわ。寝る部屋ないけどな」

「うーん・・・・。もうちょっとだけいてよ」

「解かった解かった」

帰りたくなかった。

離れたくなかった。

引きつけられる心があの頃と重なった。

初めて彼の車に乗った日のこと・・・。


「好き・・・ずっと一緒にいたいよ」

私は彼に抱きついた。

今はいいんだよね・・・。

「俺も同じ気持ちだよ」

「離れたくない」

「うん、でも、もう少し待ってて」

「嫌だ!」

「わがまま言ったら嫌いになるよ」

「嫌だ!」

「うわ~わがまま言うたよ~」

「嘘!」

「嘘も嫌い」

「じゃぁ、本当」

「お前、本当、素直になったよな・・・」

「変わった?」

「あぁ、前は本当強がってばっかやったもんな」

「可愛い?」

「あぁ、可愛いよ」

「寝やな、しんどいね」

「そう、徹夜のソフトは厳しい」

「でも、離れない~」

彼は何も言わず、強く私を抱きしめた。

そして、すっと私を引き離し、私にキスをした。


・・・・ぅん・・・・・。


キスでこんなに感じたのは初めてだった。

体の力がすーっと抜けてくのがわかった。


彼はまた私の手を握りなおす。

「よし、明日のソフトが辛いから帰るね。その代わり一つわがままきいたげる」

「・・・・じゃぁ、来月末までに、1回お休みとってね。いっぱい会うの」

「あはは、解かった。頑張って仕事詰めるわ」

「うん、じゃぁ今日は許してあげる」

「ありがとうございますー」


「じゃぁ、帰るね」

「あぁ、連絡するから」

「うん、バイバイ」

戸に左手をかけドアをあけようとした。

繋いだ右手が離れない。

彼はそんな繋いだ手を引き寄せ、チュッと彼はまた軽くキスをする。

「バイバイ、またね。大好きだよ」

ゆっくりと離れ行く繋いだ手。

彼の手から離れた瞬間、すとんと私の手は振り落ちた。

ゆっくり車のドアを閉め、私は何度も振り返りながら家に戻った。

彼はずっと見送ってくれた。

玄関を閉めるのを躊躇う。

すっと玄関をしめ、部屋へ走る。

しばらく彼はずっと私の家の前にいた。

そんな彼をずっと部屋の窓から眺めた。


大好き。


出会ったときからずっとずっと気になってた。

ずっとずっと好きだった。


2004年06月26日。

私たちの恋愛が始った。



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コメント

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8 ■> uraprdさん

うん、こんな感じ。
お互いが胸の内を隠しながらだったから、きっとこんな形になったんだと思う。
お互いが包み込む事でしか現せなかったのかもしれない。

7 ■> いずみさん

ありがとう、伝わった?!伝わった?!
本当に嬉しかったんだ~。
そんな言葉を信じる事が出来たらもっともっと幸せ。
幸せを感じちゃって、距離も気持ちもどれだけ離れているのか、どれだけ待てばいいのか・・・この時全く解からなかった。
見えない先が不安でした。

6 ■> minaさん

ほんと、こうして書いて読んでみるとやっとですね。
ついこの間のように思えてしまう。
思い出は沢山あるけれど、もうこんなに時が経ってたんだなって・・・。
今でも自分の中で「素直」ってどんな気持ちかよく解かりません。
何をどう心の外へだしていいやら。
応援してくれてありがとうございます。
とっても嬉しい♪

5 ■> 亜紀さん

ありがとう☆
でも、まだまだ沢山問題が・・・。
彼氏とも別れていないし、彼には彼女がいるかもだし・・・。
でも、一つ願いが叶った、そんな嬉しさでした。
今は好きだと言ってもらえることだけで良い、そんなズルイ考えが頭の中充満してました。
海外旅行行きた~い♪インドの男は直ぐにプロポーズしてきますよ。
うん、何だかホストチックな国。

4 ■こんなに

優しい始まりだったんだ。
この一言に尽きるっす!

3 ■無題

なんかすごい
嬉しい(´∀`*)
一番好きな人に
好きって言って貰える
すごく幸せな事
でも少し待ってが
苦しいんですよね(^^;

2 ■やっと・・・

スタートラインにたった感じですね♪
素直になるって難しいけど大事だよね!
頑張って!!

1 ■もう過去のことなんだろうけど…

でもおめでとうって言いたいです(≧▽≦)
亜紀は現在進行形で全然ダメ…。
大好きな人に大好きと言われたいなぁ。
せのりさーん!
亜紀と海外旅行行ってください(笑)

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