2005-05-28

22.キャバ嬢もいいかも

テーマ:彼女じゃない恋愛

キャバクラという職場に遣り甲斐というものを感じ始める。

高校生の時からアルバイトとして雇われ働いてきたアイスクリーム屋を私は辞めようと思った。

責任というものから逃げていたんだと思う。

任された仕事はやるが、あまり私に責任というものを背負わせないでくれ、そんな風に思っていた。

パートへの勧め、社員への昇格、店長への推薦、何故か私は7年間ずっと断り続けていた。

私には背負わなくちゃいけないものが、他にあるんだってずっと思っていた。

そんな私が、何故だかキャバクラという職場で遣り甲斐を感じる。

不思議な感覚だった。


流石に地元では働きづらく、私は片道千円以上もの運賃を出し都会に出て店を選んだ。

芸能人が来るなんてミーハーな噂も、嘘ではなかったかとに驚いている。

給料は基本給で二千五百円。

何もしなくても、毎日出勤さえすれば1週間で10万もらえる。

金が入ればそれでいいじゃないか、始めはそんな風に思っていた。

ボーナスや手当てなんてどうでもいい。


マネージャーの男性を一人つけ、その指示の元働く。

私の仕事はヘルプという仕事だ。

助ける、つまり他の女の子のお手伝いだ。

営業もしない、やる気も無い、そんな私にピッタリの仕事。


職場では派閥争いが行われている。

私は何処にも属さなかった。

一人ただ、そこにいるだけ。


ある日、店長に呼ばれ「お前は、ほんまに不細工やな」そう面と向かって言われた。

今まで男にチヤホヤされてきた私は、ハッキリ言って理解しがたかった。

好みの問題じゃん、なんて思ったりもした。

が、店長は「お前は可愛くなる」と独り言のように呟いた。

可愛くなりたかったのか、はたまた、バーテンダーの彼の言葉と重なったからなのか、その言葉に激しく反応した。


「お前さ、マネージャ切れ!」

「え、何で?」

「俺が直々に育てたい」

「はぁ?ってか、店長ずっと店おらんやん!」

「お前が出勤する日は店に来る」

「贔屓にならんの?!」

「贔屓して何が悪い!お前は伸びるよ」

「でも、店長やろ~、何でもかんでもやらされそうやしな・・・」

「あほ!色恋営業でNO.1になれるわけないやろ。スタンスは変わらん。お前は、酒も飲みたくない、色恋も嫌、女とツルむのも嫌、お金が欲しい、それでやっていきたいんやろ!俺に任せたら絶対成功するし、俺にとって都合がいい」


消化しきれないまま、私は店長の言う通りマネージャーを切った。

その日から、店長の指示の元私は働く。

ヘルプにつけようとするボーイを止めに入るのも店長、金を持ってそうな客を見定めては私を誘導するのも店長、客へ打つ営業メールも店長の転送だ。

私の横にはいつも店長がいた。

実質ヘルプと何ら変わりのない仕事。

黙って酒をつくるのみ。

普通なら席に男がいるなんてありえないのだけれど、客も店長が席に座ることを喜んだ。

VIP扱いされていると勘違いしているのだろう。


そんな私をよく思わない人間も出てくる。

「ねぇ、店長と何かあったの?」

なんて聞いてくる子もいる。

私はそんな子たちに愛想は振りまけない。

誤解を解くこともなく働いた。


美容院へ行って、綺麗になる努力にも一生懸命になった。

指名客も増え始め、徐々に店長の手からも離れ、一人で頑張る意欲が出てきた。

私を勢いづけたのは「お前は何の為に働いてる?」という店長の言葉。

店長はハッキリ私に言う。

「俺はお前の為にやってない」

だけど、私はその言葉が好きだった。

私も店の為になんか働かない。

どんな意欲でもよかった。

私と店長は別の方向を向きながら、バランスよく存在したのだ。


悔しくて涙した日もあった。

信頼なんてしてない、必要とはしていない、そんな店長の胸でも涙を流せる程の悔しさがそこにあった。


「賭けをしよう。今月、お前が売り上げランキングに載ったら焼肉」

「マジで!私、頑張る」


賭けには勝った。

ランキングに名前が載る嬉しさ。

上へ登るという喜び。

お金は溢れ、本来の目的以上に稼いだ。

「0」が増えていく通帳。

必要性のないこの仕事を辞めなかったのは何故かな。

この生活に慣れてしまったのだろうか。

遣り甲斐、そんな風に思えた。

錯覚かな・・・この場所には何処を探しても私の心なんて見つからなかった。

でも、きっと知らない内に私は店長を頼ってたんだと思う。

毎日が楽しかった。

とても辛い仕事だったけど。

お互いが利用しあいながら私たちは上を目指した。

店長が私をどう利用しようと考えてるかなんて知らないけれど。


そんな私の元に、ずっと連絡を取っていなかったバーテンダーの彼からメールが届く。

< 頑張れよ!偶には顔を見せてくれ >

私は3日後に返信した。

すぐに返信できるほど、私は頑張っていない。

もう何の為に働いてるのかなんて解からないもの。

ただ、上を目指す快感だけのように、彼のメールが思いなおさせる。


潤い始めた家計。

家族もまた、私に言う。

「あまり頑張りすぎるなよ」

余裕が出はじめ、私がキャバクラにいる意味を失くしたのだ。


私が望んだ自由が待っている。

辞めないのは遣り甲斐だけの所為?

正直、金のある華やかな世界の魅力にどっぷりだった。

夢?恋?そんなもの・・・この世界はそんな風に思わせる。


夜の女。

どんな服を着て出かけたらいい?

どんなメイクをして出かけたらいい?

昼間の私を忘れてしまった。

もぅ戻れない。



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